俺達は死霊屋敷に戻った…ニュースが色々とある、そしてワイバーンが素晴らしいチームであると改めて思った…俺達は既にファミリーなんだ。
「…藤岡を知っている者もいるし、写真も何枚か残っているわ。
これで藤岡を捜索するのがうんと楽になる。
しかし…あの血に飢えたショッカー対策班に藤岡の事を伝えるかどうか…難しい所ではあるわ。
少し考える必要はあるわね。
とりあえずあの男の子は生け捕りと言うよりも保護の対象として私達は動く事にします。
…彩斗君達…私達の組織の不始末があなた達に疑惑を持たせたことを謝ります。
ごめんなさい、許してください。」
岩井テレサが深々と頭を下げ、俺達はかえって恐縮してしまった。
はなちゃんも、さとも、まりあも岩井テレサに不審なところが無いと納得したようで頭を下げる岩井テレサの手を握った。
「テレサ、どうか頭を上げて。
みちが生きている時、私達たった3人でも多少意見の相違があって話し合った事もあるわ。
テレサの組織はもっともっと大きいわ。」
岩井テレサが顔を上げて俺達を見て、また頭を下げた。
俺達は小田原要塞を後にした。
「どうも、大人数が色々集まると意思統一に苦労するものだな…アナザーが殆どの岩井テレサの組織でもああいう事が起こる。」
四郎が窓から見える海を眺めながら呟いた。
明石が窓を開けてタバコに火をつけた。
「まったくだ…しかし、俺達はなぜかうまくやっているな。
ヒューマン、アナザー、ファンタースマさえメンバーにいる。
かなり多彩な種族が共に行動しているのだがな。」
明石の言葉を聞いてジンコが苦笑した。
「そうね、何だろう?
彩斗リーダーが…誉めているんだからね、誤解しないでよ。
彩斗がとても良い具合いに情けないからかもね。」
「うきゃきゃきゃきゃ!
まさにその通りかも知れぬじゃの!」
「なるほど~彩斗のほど良い情けなさでわれ達もうまくやって行けているのかもな!」
「そうか!彩斗が困ったら何かをしてやりたくなるし、進言もしやすいしな!
俺達ワイバーンはその辺り非常に風通しが良いと言う事だ。
彩斗もその分野その分野で俺達の技量を充分認めているから素直に意見を聞いてスムーズに意思決定が出来る。
案外彩斗のような奴がリーダーで上手くやっているのかも知れないぞ!」
屋根の上に載っていた加奈がスライディングルーフから顔をのぞかせた。
「成る程~!
彩斗リーダーは少しだけグズな所があるけど、人間性は良いし、無茶な事を言わない所は信用できるし、ワイバーンの潤滑剤のような感じですね~!
誉めていますよ~!
個性派揃いの私達をまとめられるのはこれと言った取り柄が無…いやいや、皆の意見を聞いてまとめる事が出来る彩斗リーダーだからですよ~!」
成る程…まぁ、確かに俺には他のメンバーを越えるこれ!と言う能力は無いけどね…。
そして、加奈がため息をついた。
「はぁ~それにしても純さんはかっこ良いですね~!
加奈も、ああいう身体が欲しいかもです~!
そしたらまたRX-7を運転できるし『加奈・アゼネトレシュ』撃てるかも知れないし、美味しい食べ物を楽しめるかもしれないし~!
でも、加奈は上手くあの体を動かせないかもですですね~!」
「あいや、加奈、わらわは肉体を失って1000年振りに依り代に宿ったから動かすのに最初は苦労したのじゃが、加奈が死んで間もなくで体の感覚が残っているから案外早くに上手く動かせるようになるかもじゃの!」
「そうか、加奈が死んでから間もないからな!
それに、あの姿では誰もが人形だと見破れないだろうし、また『ひだまり』のシフトに入れるし、討伐に参加して体が壊れても修理が効くからな。
良い考えかも知れないぞ!」
明石が加奈の顔を見て言った。
加奈が微笑んだ。
「そうなれば素敵ですぅ!」
四郎が頷いた。
「彩斗、中々良いアイディアかも知れないな。
加奈がパワーアップしてワイバーンに戻るか…ちょっと岩井テレサに…あ!ああああ!
彩斗!この元2回と4分の1野郎がぁ!
お前大事な事を岩井テレサに言い忘れておったぞ!」
四郎が大声を出して俺を睨んだ。
「え?なに?何だよ大事な事って…。」
「かぁああああ!やはり彩斗は元2回と4分の1野郎だ!
パトカー!覆面パトカーの件を忘れているだろうが!」
「あ!彩斗、四郎が言う通りだよ!
これは真鈴が怒るわよ!
楽しみにしていたんだから!」
「彩斗!戻れ!小田原要塞に戻るんだ!」
何だよ四郎だって今まで忘れていた癖に…。
四郎がハンドルを掴んでレガシィを急旋回させようとした。
「ちょっと!四郎!危ない危ないよ!
もう神奈川から東京に入ったから引き返すのは時間かかり過ぎだよ!」
「ち!」
「四郎、死霊屋敷に戻ったら岩井テレサに電話して聞いて見るからさ。」
「彩斗!加奈の身体の事も忘れずに言うですよ~!
この、元ケツ花火小学校全焼小僧ですぅ!」
やれやれ…こんなにどうでも良い事で罵られるリーダーがいるのだろうか…。
俺の思考を読んだ四郎が目を剥いた。
「どうでも良い事では無かろうがぁ!」
「ひゃあ~!ごめんなさいごめんなさい!」
明石が苦笑を浮かべた。
「なるほど、彩斗のほど良い情けなさが俺達には必要なのかもな。」
俺達はさと達のジャガーと別れて、死霊屋敷に戻った。
ガレージ地下では真鈴がユキにSIGとUMPサブマシンガンの射撃を教えていた。
真鈴に言わせるとユキはかなり上達が早いそうだ。
無邪気に嬉しそうな笑顔を浮かべるユキ。
俺はユキの笑顔を見て微笑みながら、ユキがSIGどころかUMPサブマシンガンを撃つはめになる状況が来ない事を祈った。
そして、マグネットで屋根につける回転灯とサイレンで俺達の車を覆面パトカーにしたい事を岩井テレサに言いそびれていた事を忘れていた事で真鈴が不機嫌になった。
「ち、やっぱり鯨女顔面鷲掴みキス拒否られ野郎だね~。」
真鈴が爪を噛んで呟いた。
…あ~はいはいごめんねごめんね~。
そして、小田原要塞で初めて会ったコーディネーターである純が行李の粘液の成分などから技術ヒントを受けて開発された新しい依り代に興奮して笑顔になった。
「なによそれ!
実現すれば加奈がパワーアップしてメンバーに復帰するかも知れないと言う事じゃないの!
凄いわね!
それに、また加奈と話したり女子会できるしドライブにも行けるわ!」
不機嫌になったり喜んだり忙しい女子であった。
岩井テレサの組織への疑惑が解けて真鈴達はホッとした。
俺達は夜に暖炉の間で喜朗おじやクラと凛達にも状況を説明する事にして、俺はユキと『みーちゃん』ママを連れて新しい『みーちゃん』候補の店の契約に向かった。
続く