第4.5話 リズとお嬢様
リズがいきなりリリアのことをおねえちゃんと呼んでいることに違和感を感じたので補足説明的な話を。
「リズちゃんはどうして私のことをおねえちゃんって呼んでいるの?」
「んーとなんでだっけ?」
リズちゃんはゆらゆらと左右に揺れながら考えている。思考や判断力は大人っぽいかわりに、仕草や言葉遣いは見た目よりも幼かった。
「お父さんが初めにおねえちゃんって言って話してくれたんだと思うよー」
「リズちゃんのお父さんが?」
「そうそう。リズのお母さんはリズが2歳の時に死んじゃったんだけどね、マリーお姉ちゃんもお父さんも忙しくてリズひとりじゃ寂しいだろうからって、もう1人のおねえちゃんみたいなリリアっていう凄い子がいるんだよって話をしてくれたんだ。いつか会えるよって話してくれたけど本当に会えて嬉しいよ!」
ローレンヌ家はとても従順だったが、そこまで私にも慕ってくれていたのだと考えると嬉しかったし、一変して私を殺そうとした1家が恐ろしくもなった。
「リズは寂しい時はおねえちゃんのこと考えて過ごしてたんだ。おねえちゃんの凄い話を聞くとリズもわくわくして楽しくなったんだけど、本物はもっと凄かったよ!」
「私、リズちゃんのもう1人のお姉ちゃんになれるように頑張るわ!」
リズちゃんは私にぎゅっと抱きつく。幼いながらも、力いっぱいに抱きしめているのがわかった。
「もう一緒に住んでるんだからおねえちゃんだよ。マリーお姉ちゃんも大好きだけど、リリアおねえちゃんも大好き。リズ、おねえちゃんの為にいっぱい頑張るね!」
「ありがとう、リズちゃん。リズちゃんもとっても勇気があって優しくて凄い子よ。もっと大きくなったら、きっと私よりももっと立派な人になっているわ」
リズちゃんは嬉しそうに私を見上げて笑う。初めに店に来た頃には絶対に見られなかった無邪気な笑顔だ。
「うん。そうなるように頑張るから、応援しててね、おねえちゃん」