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ラッキーじいさん、世界統一!?  作者: アーモンドフィッシュ
修行のはじまり─まだ人生ははじまったばかり─
2/2

転生じいさん、悪魔とご飯します

俺の名前はマーク・ゼン。前世の名前は佐久間善太郎。

前世の人生とっても満足。百年長生きおちゃのこさいさい。

家族もハッピーワシもはっぴー。

天国にいって明子(妻)とハッピー………


したかった。


目覚めば僕は多分二十歳。

出会った竜とファイトして

なんやかんやで勝っちゃって

村の人たち喜んで

そしたら誰かがやってきて

「魔王になって」と頼まれた

あーどうしましょおあーどうしましょお

僕は人間 魔王は悪魔

魔王になったら人間潰す

そんなの僕にはできっこない

迷えばこのかたこう言った

お城でお食事しませんか?

僕は腹ペコ飯食いたい

こうして魔界にレッツゴー


………というわけで、俺は今人なのかよくわかんない方たちと一緒にドラえもんのタイムスリップの空間みたいなところを進んで魔界に移動中なのです。雲みたいなフワフワしたのに乗ってね。


「マーク様、もうすぐ着きますよ」


うう、何か緊張してきた…… 魔界ってどんなところなんだろうな。


あ、急に、まぶしくなってっ………!








「…マーク様、着きましたよ。」


「ん…………わぁ!」


お城でっか!しかも想像通りにまわりにコウモリが飛んでるよ!

俺たちは今お城の前の前の門に来ている。この門の先に長い長い石橋の一本道が続いていて、一本道の先にお城の敷地に入る門があるみたいだね。

ここの門番をしているのは二人のゾンビ? でもゾンビってもとは人間だし…

よくみるとなんか若干違う気がする。まあ分かるまではゾンビって呼ぼ。

よく研がれている長い槍を持ってこっちを見てる。不気味ぃー。


「門を開けてくれ」


代表がそう言うと、ゾンビは黙って横にあったハンドルをゆっくり回し始めた。

開き終わると、自分の乗る雲が石橋の方に向かって動き始めた。


石橋を通っている間、俺は代表と話をしていた。


「そういえば、あなたは何の種族なんですか?」


「それはそれは、申し遅れていましたね。(わたくし)は、由緒正しき悪魔の一族でございます。今ここにいる皆さんも全員、悪魔の方ですよ。」


おぉ、この人っぽい奴らはみんな悪魔だったのか。なるほどなぁ。

確かに頭に悪魔っぽい角が生えてるしねぇ。肌の色も人間と同じ色以外に青とか紫とか緑とかいろんな色がおるしなぁ。

ていうか、今まで俺は悪魔と一緒にここまで移動してたのか……俺ってヤバすぎだろっ!


石橋をわたり終え、二つ目の門の前に来た。

上の方を見上げてみると、門番らしきゾンビが5人こちらを見ていた。

ご、5人って……吐き気がしてきたっ。


「門を開け!」


代表の悪魔がそう言うと、ゾンビの一人が誰かに声をかけ、門がゆっくり開き始めた。


門をくぐると、ヘドロのようなものが流れる噴水が目の前にドンと現れた。 

っ、くさ……

周りを見てみると、みんなはいつものことのように平然とした表情でいる。

お、俺は、きつい…… 全力で鼻つまもっと。

ヘドロの噴水の周りを通り、城の大きな玄関的なところの前に着いた。

乗っていた雲がふっときえ、地面に着地した。


「さあ、ここがわが魔界が誇るシンボルであり最高峰、デモンデル城です!

 中へお入り下さい。」


わお…


中に足を踏みいればそこは別世界。

長い長いレッドカーペットが奥まで続く、広い空間。

上を見上げれば豪華でろうそくがきらびやかなシャンデリアが高い高い天井から一つぶら下がっている。とにかくでかい。

左右には大きな窓がたくさんあって、とっても開放的だな。

入ってすぐの左右と、カーペットの先の大きなドアの両側に上へと続く長いアーチ階段があるんだけど、めっちゃ気になるわ。


うう……


上を向きすぎて首が痛くなってきた…


「マーク様、こちらですよ。」


「あ、すまんすまん…」


代表が前にたって、残りの8人は俺の後ろに並んだ。

なんか、捕まってるみたい… 守られているはずなんだけどなぁー。


歩き始めると、レッドカーペット沿いにはいつの間にか召し使いたちが並んでいて、俺たちが並んだ召し使いの前を通るときに、ようこそ、と言ってふかーくお辞儀をされた。

すごいな、よっぽどあの竜強かったんか、大歓迎されてるぜ。


「ここが、大広間になります。」


カーペットの先の大きな扉を開けると、きっとこの城で一番広いであろう大広間が俺の前に現れた。

ここは何か大きなパーティーに使われるのだろう。舞踏会とか。

広さは……田舎にある学校の校庭ぐらい? 要するにめちゃめちゃ広い。


「食事は別の部屋で行いますので、そちらへ向かいましょう。」


「あ、はい」


大広間は紹介だけだったんかい! まあいいか。あの部屋でいかにこのお城がすごいのかがわかった気がするし。


大広間から、さっきのシャンデリアのところに来て、実は左右にも通路があったんだね、そこを右に曲がって、通路の一番奥のドアの前に来た。


「ここが、お食事会場となります。」


そう言われて開かれたドアの先を見て、俺は言葉を失った。


そこにあったのは、大きな縦長のテーブルに並べられたたっくさんのごちそう。そして、どれも見たことがない。

さすが魔界だ。俺のいた世界とは全然違うぜ。

どんな食材なんだ? 聞きたいけど、聞いたら自爆しそうだからやめておこう。


「マーク様は真ん中の席にお座りください。」


席に着くと、ごちそうの迫力が2倍、いや3倍増して見える。周りを見渡せばたくさんの召し使いたちが配置についていた。

代表と8人の悪魔たちはテーブルの反対側に座った。


俺の横に召し使いが来てこう言った。


「こちら、我がデモンデル王国特産の、ウホソンレとベキャッツを使ったサラダになります。そちらにありますオニオンドレッシングをかけてお召し上がりください。そして、目の前にありますのがメインディッシュとなります、竜のステーキでございます。」


ほうほう。オニオンドレッシングというのだけ唯一しっくりきた。

適量をかけて……


「いただきます」


はむっ! もぐもぐ…


うーん、ウホソンレって、ほうれん草みたいな味がする。見た目もほうれん草に似てるかも。あとベキャッツはキャベツに似たシャキシャキ食感がある。

てか、これほうれん草とキャベツのサラダやん。これにオニオンドレッシングも相まって、とてもおいしいよ。

うんうん、このドレッシング食材の味を邪魔しなくていいね。一つ買いたい。


「お味はいかがですか?」


「これ、すごく美味しい!いいね、ウホソンレとベキャッツ!」


「そうでございますか!そのような感想を述べていただけて嬉しいです!

 よろしければ竜のステーキもお召し上がりください。」


り、竜のステーキ…………………………………。

竜って、ドラゴンのことだよね。ドラゴンステーキってことでしょ。

ていうか竜って食べれるんだ。不思議。

まあこの世界が俺のいた世界とは大分違うってことは分かる。


それにしてもこれ、ホントに大丈夫なのか……?


「で、では…」


……………………………


おおおおおおーーーー~~~~~!!!!!!!?!!!!


なにこれ普通にうまい!食感は固くて、繊維っぽいんだけど鶏肉みたいにほぐれて、なんじゃこれぇぇぇ!!!

でもね、味付けからしてこの肉自体を生かせるわけではなさそう。

デミグラスソースの濃縮したみたいなのでしっかり味付けされてるから。

ほのかに独特な、未経験の風味を感じる。別に嫌な風味ではない。

ただ、この濃い味つけがないと結構くさいんじゃないかなぁ。

結果として、おいしいです。


「ふふ、そのお顔からして、随分お気に召されたようですねめ」


「はい!随分!ありがとう、召し使いさん!」


「いえいえ。恐縮です…」


召し使いは顔を少し赤らめながら後ろに下がっていった。


「さて、マーク様、本題に参りたいのですが」


あ、そうだ!魔王になるかどうかを決めるためにここに来たんだった。

ご飯のせいで全部ふっとんでたわ。


「そうだな」


少し威厳を演出してみる。


「魔王、それは、ここ魔界の最高支配者であり、最高にして最強の能力を持つ方のみが得られる地位です。もちろん、得られるのはたった一人。しかし、1000年ほど前に魔王が突然姿を消し、魔王の座が空席になってしまったんです。その理由は今も分かっていません。」


視線を少し下に向けて代表は続けた。


「それから、我々魔界の者は新たな魔王になろうと争いを繰り広げていきました。様々な種族の、低い身分から高い身分の者が殺し合い、魔王になろうと思っていない者たちまでを巻き込み……(みな)がそれぞれの正義を貫いていました。100年前までは。」


数秒の沈黙の後、またしゃべり出した。


「争いの間に強力な魔法を無鉄砲に使っていたのでしょう、この世界に負担を掛けすぎて時空の裂け目が出来てしまったのです。そこから、古来より恐れられていた、最恐竜が侵入してきたのです。実はもっと昔に、我々の先祖が独自に作った空間に追い払って、こちらにまた侵入しないよう封印していたようなのですが……結局自分で自分の首を絞めることに…

そして魔界も耐えきれなくなり、魔法があまり発達していない人間界にも侵入し、それこそ伝説のヒーローが来ない限り、我々に破滅以外の道はない状況に陥ったのです。誰もが死を覚悟していました。」


すると代表は突然立ち上がった。


「その時、あなたが再恐竜を、どのような方法かは知りませんが、退治ではなく倒してくださったのです!誰もが為し得なかった偉業を、あなたは成し遂げたのです!あなたには、どんなにお礼をしてもしきれないでしょう。だからこそ、誰もあなたが魔王になることに不満はありませんし、あなたに魔王についてもらえば、後任争いは無くなり、人間界の支配もうまく進むと思うのです!どうか、魔王になって下さい!お願いします!」


《お願いします!》


他の悪魔たちも一斉に立ち上がり、頭をさげた。

悪魔って、意外に礼儀正しいんだなぁ。

いや、そこじゃなくて、えぇっと…どうしよう。


確かに、この世界の人達にとって、俺があのドラゴンを倒したことは、本当に救いになることだったのは分かる。村人たちのあの安堵した顔は、よく目に焼き付いている。あのひげもじゃおじさん含めてね。

それに、今聞いた感じだと、ドラゴンが来る以前から魔王の跡継ぎ争いをしていたから、元々とても荒れていたのだろう。

でも、なんで人間界と魔界で2つに住み分けているのだろう…?

しかも、なんでわざわざ人間界に侵略しようとするのか…?

そしてそれを俺に任せるとか…頭ぶっとんでんじゃないの?

何はともあれ、俺は今日疲れているんだ。

こんな大事なこと、すぐには決められないよ!


「みなさんの気持ちはよく分かりました。でも、俺にとって突然の事で、しかもかなりの重要事項だから、ちゃんと考えて答えを出したいんです。そのためにも、俺にもう少し時間をくれませんか?」


悪魔たちは頭を上げた。

代表がしゃべった。


「そうですよね、申し訳ございませんでした!あんなに大変な事をなさった後だというのに、我々の気持ちが先走って、マーク様のお身体の心配をしてなかったのは、誠に恥ずかしいです。もちろん、この城でゆっくりお休みになって下さい。そして、早ければ明日にもご決断頂ければと思います。」


「え、この城に泊まってもいいのか?」


「はい!あなたは将来魔王になるかもしれないお方ですから!」


「ありがとう」


俺は笑顔になった。

同じ空間にいるみんなも笑顔になった。


「さあ、食事を楽しもう!まだ食べきっていないものが沢山あるぞ。」


「はい、マーク様!」


こうして俺と悪魔たちは食事を楽しんだのであった。

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