1 女装アイドル告白される
思いつき。需要があるのかわからないので不定期になりがちかも。反響があれば頑張りますm(__)m
昔から母親譲りの女顔だった。名前も春風瑠美という名前で、女の子みたいだと皆から馬鹿にされるけど構わなかった。
僕は親から貰った名前を誇りに思うし、この容姿も母親に似たことが嬉しかった。今は亡きお母さんの想いがつまっているからだ。
お母さんが死んだのは僕が7才の頃。借金の返済のために無理をして働いていたお母さんは過労によりあっさりとあの世にいってしまった。お母さんを失った悲しみにくれる暇もなく、残った借金とこれからの身の振り方に迷ってた僕に手を差し伸べてくれたのは叔母さんだった。
叔母さんはとある芸能事務所の社長で、ある条件で僕は借金と僕が成人するまでの面倒を見てもらうことになった。
それは、僕が女装アイドルとして芸能界で活躍すること。売れても売れなくてもそれが条件だった。もともと美人なお母さんに似た僕は子役からはじまり、いつの間にかそこそこ有名な女装アイドルになっていた。
教師には黙っていてもらい、学校の皆には内緒でやっていた。そう、内緒にしてたはずなのに・・・
「ねえ、春風瑠美くん。いや、女装アイドルの『ハルるん』と呼んだ方がいいかな?」
そう手元の女装写真をペラペラとみせてくるのは夕陽ヶ丘高校、僕の通う高校の2年生にして生徒会長を任されたエリート美少女の名雲薫先輩だ。
「あの、なんのことですか?」
「とぼけても無駄だよ。私が何年『ハルるん』のファンやってると思っているの」
「何故それが僕だと?」
「男装してても見る人がみれば『ハルるん』だってわかるよ」
男装ではなく普通に男なのですが。そんなツッコミをしたいが認めることになるので言えなかった。そんな僕に構わずに先輩は言った。
「安心してよ。このことは誰にも言ってないから」
「・・・何が目的なんですか?」
「目的?」
お金とかなら無理なので少しだけ身構えていると、先輩は笑って言った。
「大丈夫だよ。私は君のファンだからね。君が内密にしたいならこのことは黙ってるよ。ただひとつだけお願いがあるけどね」
「お願い?」
「うん、私と付き合ってよ」
「・・・はい?」
あまりの唐突な内容に目を白黒させていると、先輩は言った。
「私ね、女の子が大好きなんだ。レズと言ってもいいくらいに」
「あの・・・そんなことカミングアウトされても」
「だからね、私昔から女の子みたいな男の子がいたらいいなって思ってたんだ。そしたら出会ったんだ『ハルるん』にね」
「はぁ・・・」
「だからね、私決めたんだ。どんな手段を用いても『ハルるん』を手に入れようってね」
そう言ってから先輩は僕に壁ドンをしてから真剣な口調で言った。
「だからね、『ハルるん』いや、瑠美くん。私と付き合ってよ」
その言葉に僕は混乱してから、思わず勢いに流されて頷いてしまった。産まれてはじめての女の子からの告白に嬉しくなったことは否定できないけど、ここから先輩と僕の関係が深くなっていくことにこの時の僕はまったく知らなかったのだった。