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標本係の事件簿  作者: 不思議の国の憂華
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第3話 暗号とクローバー

部室に戻ってきてからは机に押収した品を並べ、鑑識のやる仕事を3人で役割を決めて行い始めた。

18時ぐらいになったときに標本部室に顧問の紫山先生が

現れた。

「お疲れー。嫌、入ってきてまずかったか?」

「紫山先生いいですよ。」

と亜璃朱が対応する。

「なんだ。動けと指示しようとしたらもう勝手にやっていたのか。」

「はい。」と亜璃朱は正直に言う。

鑑識のような仕事を行っていた大雅と遼河も一通りの区切りをしてから、紫山先生の元に集まる。

実を言うとこの紫山は学校の先生の教員の免許を取ってから警察の仕事に興味を持ち、警察の鑑識と刑事の職に就いていたことがあった人物なのである。

標本係には、1から徹底的に鑑識の仕事やらを小さいことから教え始め、今や弟子は3人にもなっている。

3人というのが、亜璃朱、大雅、遼河である。

「先生もこの話の内容を聞かせて貰おうではないか?その前にお茶お願いしてもいい?」

「分かりました。」と、亜璃朱がそそくさと全員のお茶の準備を始める。

事件内容が書いてあるホワイトボートを大雅が奥から引っ張ってきて、紫山に説明を始める。

「…と言うことでした。」と大雅がいう。

「後、紫山先生聞いて下さい。」お盆にカップを4つ載せながら、こちらに戻ってきた亜璃朱。

「なんだね?」

「紫山先生、事件現場で、四つ葉のクローバーの花が5つありました。

それも血が付いていました。

四つ葉のクローバーの花言葉は、『私を思って』、『幸運』、『約束』、『復讐』の意味があります。

だから、この場合だと復讐という言葉が良いでしょう。」

「なるほど。

クローバーにも、そんな花言葉があったとは。それにしても、何で殺されたのだろうな?」

「はい。先生も知っているのですか?」と聞く亜璃朱。

「野薔薇、お前この間、助けて貰っていたじゃないか?」

「なんか、ありましたっけ?」

「すっとぼけしているのではないよ。本当に忘れているようだね。」と先生が言う。

「何かあったのですか?」と遼河。

紫山は頷きながら、「この間、4組と5組で色々問題あったばかりでね。」

「なんで?」と大雅。

「くだらない、人間関係だよ。」と言う亜璃朱。続けて「お前達は、1組と2組だが平穏だろ?

この間は、4組と5組の奴が喧嘩になってしまって本当に奴らはみっともない。」

「何部?」と慌てて聞く遼河。

「サッカー部だったような。」と記憶を思い出している亜璃朱。

「それって、関係しているのではないか?」と大雅。

「過去の記録を先生に教えて貰って調べよう。でも、今日は、ここまでだ。遼河、あなたは、帰りな。」

「は?でも?」と言い返そうとする。

「こんな時間だから先生が家まで乗せていく。お前らは、残るのだろ?」

「私は、この結果と暗号を解かないといけないので、言われなくても残ります。」と亜璃朱。

「俺は、亜璃朱を一人では放置しておけないので、残ります。」と大雅がいう。

「そうか。分かった。遼河送ってから、戻ってくるからな。行くぞ。」

「はい。」と遼河は、自分の鞄を持ちながら帰った。

「あれで、よかったのかな?」と亜璃朱が呟いた。

「どうだろうね?」と言う大雅。

「私が取った対応は?」

「亜璃朱がいて、助かったよ。いいと思う判断だった。」

「そっか。でも、」

「でもの言葉は聞かなくっていい。どうせ、自分のことを責めるのだろ?責めなくてもいいのではないか?正しいことをしたと思うぞ。」

「そう?なの?」

「嗚呼。」と言い、大雅は亜璃朱の頭に軽く手を載せた。

「仕事…始めよ。」

「嗚呼。」

亜璃朱は、部屋に閉じこもる。

数字の暗号を解くため。

俺は、検査薬を見たり、して指紋をコンピュータに入れる作業をしたり。

サッカーの調査分や、大会のメンバーの名前をさらっと見たりしていた。

「お疲れ。」といい部室に入ってきたのは、遼河を送り届けた紫山先生でした。

「紫山先生?」

「大雅か。亜璃朱はどうした?」

「籠もりました。」

「そっか。ご飯食べたのか?」

「いえ、まだです。先生は、情報得られたのですか?」

「まだなのか。とりあえず、コンビニでおにぎりは買ってきたぞ。後、味噌汁作るから手伝ってくれ。

嗚呼。勿論話は聞いてきた。」

「はい。おにぎりありがとうございます。話はどうでしたか?何か感触ありましたか?」

紫山先生は台所で手を洗いながら、話し始める。

「それが、長くなる話だが。お湯わかしてくれ。

遼河と被害者は小学校の頃からの友達らしい。お互いよく遊びに行っていた。一緒にサッカーを2人でやっていたが、中学校の頃に遼河はサッカーを辞めたが、隆義は、サッカーを続けていた。

たまに、練習でミスをしたときとか、試合の公式練習で失敗したときでも、遼河から意見などを貰っていたらしい。」

豆腐を紫山は切っていく。

「それは今でもですか?」と大雅がきく。

「嗚呼。この間の月曜日にみてもらったらしい。

わかめ洗ってくれ。」

大雅はわかめを洗いながら「今日は、金曜日なので、3日前ですよね?」と紫山の顔を見る。

「嗚呼。隆義のポジションを奪いたい奴がいたとかって言う話だ。

後輩とも仲は良かったようだが、同級生からは何を言われていたのかはわからない。

わかめ洗ったならよこしてくれ。後、お湯はもう沸いただろ?ガスコンロの火を消して、食器を出し。後、野薔薇呼んできてくれ。」と

「誰か、から陰湿ないじめ受けていた?」

「それが今日、3年の部長と会って話したのだが。いじめみたいな物はなかったらしい。」

「それもそれで不思議ですね。」と言いながら大雅は食器を出し洗い始める。

「閃いたわ。」と言いながら籠もりの亜璃朱専用の部屋のドアが開く。

「あ、紫山先生お帰りなさい。何作っているのですか?」といい亜璃朱は流し場に駆け寄ってくる。

「野薔薇お疲れ。今日、妻が部室で作れと言って渡してくれた物物だ。何が分かったのか?」

「はい。数字の暗号です。」

「それは、遅い夕飯を食べてからにしません?」と大雅がいう。

「だな。さぁ、夕食の準備をしてくれ。」

「はい。」

夕食は、おにぎりとから揚げと先生が作ったわかめの味噌汁でした。

「いただきます。」と3人が、いう。

「先生の作った味噌汁温まります。」と亜璃朱が、いう。

「先生、味噌汁美味しい。」

「それは、良かったよ。」と微笑む紫山。

食べ終わると亜璃朱が食器を洗う。

その一方、大雅がお茶の準備を始める。

先ほどお湯を沸かしておいたので、急須にほうじ茶を入れる。

その後に急須にお湯を注ぎ、マグカップ探しをしていた。

紫山は、ソファーの上でクッションを抱えながらゴロゴロしていた。

「先生、お茶できました。」といい大雅は、テーブルにお茶を置き、ソファーに座る。

「先生片付け終わりました。」と亜璃朱がこちらに戻ってくる。

「みんな、お疲れ様。では、さっきの亜璃朱の話から聞こうか。」

「はい。」といい、亜璃朱は時系列が書いてあるホワイトボートに立つ。

「まず、私が分かったことを話します。

この写真を見て下さい。

犯行現場に残された数字のカードです。

2 9 4 7 5 4 3 1 の暗号がとけました。

」と亜璃朱は正直に言う。

「そうなのか。」と紫山先生が言う。

「はい。」

亜璃朱は慣れた手つきで、番号を並べていく。

「ふ く し ゅ う し た い 。


復讐したい。」と声にだして読む亜璃朱。

「四つ葉のクローバーと同じなのかよ。」と大雅。

続けて大雅は、「相当復讐したい相手だったのか。なんか、難しい。」

「だな。それだけか?」

「はい。」と悩ませながら亜璃朱は言う。

「防犯カメラ調べるぞ。」

「はい。明日で良いですか?」

「勿論。」



「先生、防犯カメラで分かるのですか?」

「嗚呼。勿論。それで、その証拠は逃さないのだから。さぁて、明日やろう。

お前らは寝てもいいぞ。後は、先生がやるから。」

「先生、体気をつけて下さいね。」と大雅に言われる。

「嗚呼。」と紫山は答えた。

仮眠室に亜璃朱と大雅が入る。

ベッドは、離れた箇所に置いてある。  

大雅は、ドアが近いところのベッドに座って寝ようとしている。


亜璃朱は窓側のベッドに腰掛ける。

「ね。ぇ。」とおっかなびっくり声を出す亜璃朱。

「どうしたの?」と大雅が言う。

「嫌、何でも無い。」と亜璃朱が言うが、大雅は、


「待てよ。

それは、どういう意味?」

「私は…答えが見つからない。」

「いいんじゃない?と言っても駄目か?

少しは、ほどほどもいいんじゃないのか?今日は、寝るぞ。」と言いながら、布団に入る大雅。


「そうかも。」とぼそっと答えながら窓の外を見ている亜璃朱がいた。





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