やって来たのは……。
5月7日 2時更新
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おっさんたちが家に着いた頃には、辺りは薄暗くなっていた。
「我が家に到着~!」
「と~ちゃ~く!」
互いに顔を見合わせて、笑みを向け合う仲良し母娘
その微笑ましいやり取りに、おっさんは思わず頬が緩んだ。
「待っててね、リリス。
直ぐにご飯にするからね~」
「おかさん、おかさん!
リリスもね、おてつだいするよ!」
「あら、リリスってば!
いつの間にかお手伝い出来るようになったのね!」
「リリス、なんでもできるよぅ~!」
任せて! と、リリスはポンと胸を叩く。
「ありがとう、リリス。
じゃあお手伝いしてくれる?」
「あい!」
「よ~し!
それじゃあ、お父さんがびっくりするくらい、美味しい料理を作ってあげましょうね!」
「うん、つくる!
おとさん、まっててね!」
「おう。
楽しみにしてるな」
そして二人は、台所に向かった。
おっさんは、居間から二人の様子を見守る。
『やっぱり家は和みますね……』
『……そうだな』
いつもは庭で聖剣の傍に寄り添っているカティが、今日は家の中に入り、机の端っこにちょんと座っている。
『珍しいな、カティ。
お前がこっちにいるなんて』
『……ソニアさんのことは、私も気になりますから』
『……そうか』
『今日一日、共に過ごせば不審な行動を起こすのでは?
そう私は考えていました。
でも全然そんなことなくて……。
結局、今日一日一緒にてわかったのは、彼女は正しい心の持ち主ということ。
それと、勇者様とリリスちゃんをとても大切に思っていること。
それくらいでした』
カティの言葉に、おっさんも同意だった。
共に一日過ごしてみたが、一緒に過ごせば過ごすほど、彼女が本物のソニア・フレイルだという確信が強まっていくだけだった。
だが、ソニアは……。
『……勇者様、やはりご本人に確認を取りましょう!
彼女がもし本物のソニアさんだとしたら、なぜ蘇ることが出来たのか』
『素直に教えてくれると思うか?』
『それはわかりません。
ですが考えてもわからないのなら、尋ねてみるしかないです!』
カティの意見は至極真っ当だ。
本当にその通りだ。
『そうだな。
今日――リリスが眠った後に、ソニアと話してみる。
話してくれるかはわからないが……』
『はい!
私も微力ながらサポートさせていただきますので!』
本当は、おっさんは少しだけ怖かった。
そのことを尋ねたら、またソニアが消えてしまうんじゃないか。
おっさんと、リリスの傍から去ってしまうんじゃないか。
娘と妻と一緒に過ごすこの時間が、あまりにも幸せだったからこそ。
彼は今の時間を失いたくないと思ってしまっている。
『あ……それとなんですが、勇者様……』
言い出しにくいことなのか、カティは窺うように口を開いた。
『なんだ?』
『こんな状況化でなんですが……。
無理だと言われるのを承知でお願いします!』
真剣な眼差しで、おっさんを見つめる妖精から。
『――教団の子供たちの捜索をしませんか?』
そんな頼みをされた。
ソニアに関わる話なのかと思ったが、そっちの話だったか。
おっさんも、人攫いの話は気になっていた。
子供だけを狙っているというのが、特に。
狙われているのは、教団の関係者のみのようだったが。
その犯人がもし無差別に子供を攫う変態だとしたら。
うちの可愛い娘が標的になる可能性があるかもしれない。
そう思うと、おっさんの心にはふつふつと怒りが湧いてくる。
『……仕事もあるから、常に捜索というわけにはいかないが……』
『え、それじゃあ……!?』
『休憩時に酒場で話を聞いたりするくらいなら出来るだろ?』
『勇者様!!
流石は私の勇者様です!』
カティは感激し、おっさんに飛びついてきた。
おっさんが、子供をたちを救うために行動してくれることが、とにかく嬉しいようだ。
『……だが、それは明日からだ。
今はソニアの件が最優先だからな』
『はい!
勿論です!』
カティとの話が一段落した時だった。
コンコン――という音が聞こえた
『あれ?
勇者様、扉がノックされたようですよ?』
『ノック……?』
町外れにあるおっさんの家には、めったに客などやって来ない。
おっさんの知人たちすら家の場所を知らないくらいだ。
コンコンコン――さっきよりも、早くそして強く、扉が叩かれる。
それはまるで、さっさと扉を開けと急かしているようだった。
『……あら?
お客様かしら?』
『え、だれだれ~?』
調理中の二人の耳にまで、ノックの音が届いたようだ。
『アンクル、今手が離せないの。
出てくれないかしら?』
『……わかった』
一体、誰だろうか?
疑問に感じつつも、おっさんは扉を開いた。




