↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
49/94

やって来たのは……。

5月7日 2時更新

       ※




 おっさんたちが家に着いた頃には、辺りは薄暗くなっていた。


「我が家に到着~!」

「と~ちゃ~く!」


 互いに顔を見合わせて、笑みを向け合う仲良し母娘(おやこ)

 その微笑ましいやり取りに、おっさんは思わず頬が緩んだ。 


「待っててね、リリス。

 直ぐにご飯にするからね~」

「おかさん、おかさん!

 リリスもね、おてつだいするよ!」

「あら、リリスってば!

 いつの間にかお手伝い出来るようになったのね!」

「リリス、なんでもできるよぅ~!」


 任せて! と、リリスはポンと胸を叩く。


「ありがとう、リリス。

 じゃあお手伝いしてくれる?」

「あい!」

「よ~し!

 それじゃあ、お父さんがびっくりするくらい、美味しい料理を作ってあげましょうね!」

「うん、つくる!

 おとさん、まっててね!」

「おう。

 楽しみにしてるな」


 そして二人は、台所に向かった。

 おっさんは、居間から二人の様子を見守る。


『やっぱり家は和みますね……』

『……そうだな』


 いつもは庭で聖剣の傍に寄り添っているカティが、今日は家の中に入り、机の端っこにちょんと座っている。


『珍しいな、カティ。

 お前がこっちにいるなんて』

『……ソニアさんのことは、私も気になりますから』

『……そうか』

『今日一日、共に過ごせば不審な行動を起こすのでは?

 そう私は考えていました。

 でも全然そんなことなくて……。

 結局、今日一日一緒にてわかったのは、彼女は正しい心の持ち主ということ。

 それと、勇者様とリリスちゃんをとても大切に思っていること。

 それくらいでした』


 カティの言葉に、おっさんも同意だった。

 共に一日過ごしてみたが、一緒に過ごせば過ごすほど、彼女が本物のソニア・フレイルだという確信が強まっていくだけだった。

 だが、ソニアは……。


『……勇者様、やはりご本人に確認を取りましょう!

 彼女がもし本物のソニアさんだとしたら、なぜ蘇ることが出来たのか』

『素直に教えてくれると思うか?』

『それはわかりません。

 ですが考えてもわからないのなら、尋ねてみるしかないです!』


 カティの意見は至極真っ当だ。

 本当にその通りだ。


『そうだな。

 今日――リリスが眠った後に、ソニアと話してみる。

 話してくれるかはわからないが……』

『はい!

 私も微力ながらサポートさせていただきますので!』


 本当は、おっさんは少しだけ怖かった。

 そのことを尋ねたら、またソニアが消えてしまうんじゃないか。

 おっさんと、リリスの傍から去ってしまうんじゃないか。

 娘と妻と一緒に過ごすこの時間が、あまりにも幸せだったからこそ。

 彼は今の時間を失いたくないと思ってしまっている。


『あ……それとなんですが、勇者様……』


 言い出しにくいことなのか、カティは窺うように口を開いた。


『なんだ?』

『こんな状況化でなんですが……。

 無理だと言われるのを承知でお願いします!』


 真剣な眼差しで、おっさんを見つめる妖精から。


『――教団の子供たちの捜索をしませんか?』


 そんな頼みをされた。

 ソニアに関わる話なのかと思ったが、そっちの話だったか。

 おっさんも、人攫いの話は気になっていた。

 子供だけを狙っているというのが、特に。

 狙われているのは、教団の関係者のみのようだったが。

 その犯人がもし無差別に子供を攫う変態だとしたら。

 うちの可愛い娘が標的になる可能性があるかもしれない。

 そう思うと、おっさんの心にはふつふつと怒りが湧いてくる。


『……仕事もあるから、常に捜索というわけにはいかないが……』

『え、それじゃあ……!?』

『休憩時に酒場で話を聞いたりするくらいなら出来るだろ?』

『勇者様!!

 流石は私の勇者様です!』


 カティは感激し、おっさんに飛びついてきた。

 おっさんが、子供をたちを救うために行動してくれることが、とにかく嬉しいようだ。

『……だが、それは明日からだ。

 今はソニアの件が最優先だからな』

『はい!

 勿論です!』


 カティとの話が一段落した時だった。

 コンコン――という音が聞こえた


『あれ?

 勇者様、扉がノックされたようですよ?』

『ノック……?』


 町外れにあるおっさんの家には、めったに客などやって来ない。

 おっさんの知人たちすら家の場所を知らないくらいだ。

 コンコンコン――さっきよりも、早くそして強く、扉が叩かれる。

 それはまるで、さっさと扉を開けと急かしているようだった。


『……あら?

 お客様かしら?』

『え、だれだれ~?』


 調理中の二人の耳にまで、ノックの音が届いたようだ。


『アンクル、今手が離せないの。

 出てくれないかしら?』

『……わかった』


 一体、誰だろうか?

 疑問に感じつつも、おっさんは扉を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作公開しました。
『フライパン無双~とある呪いを解く為に、冒険者になりました~』
もしよろしければ、ご一読ください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。