リルム、がんばる!
2月13日 三回目の更新。
「ししょう!
あたしに、せおわせてください!」
「大丈夫か? 重いぞ?」
「だいじょうぶです!
ふっぐぅ~~~!」
背負子を背負おうとするリルム。
だが全く持ち上がらない。
「ゆ、勇者様、ここはあれを使うべきですよ!」
カティに話し掛けられ、おっさんは小声になる。
「あれ?」
「魔法です! ほら、力を増加させる魔法!」
「力を……ああ、チャージのことか」
そういえば、そんな魔法あったな。
おっさんはすっかり忘れていた。
「このままじゃあの子がかわいそうです!」
「だが、魔法で持ち上げられてもズルになるじゃないか」
「最初は魔法で持ち上げていても、ちょっとずつ力を付けていけばいいんです!」
「……う~ん」
おっさんは悩んでいた。
自分の力を――今の自分にできることを学ぶというのも、勉強だと思うのだ。
「ふぬ~~~~~!」
しかし頑張っている弟子を見ていると、親心ならぬ師匠心が沸いてくる。
まあ、少しくらいならいいか。とおっさんは思った。
そしておっさんは少女に向けてチャージを使った。
すると、
「ふぬ~~~~~~~!
わっ――あ、あれ……?」
ぐぐぐ――と、リルムが背負子を持ち上げた。
「大丈夫か?」
「は、はい!
な、なんだかさっきより軽い感じがします」
「そうか。
とりあえず、一度町に戻ろう」
「はい!」
おっさんとリルムが山を下りていく。
チャージの効力かリルムはすいすいと進んでいく。
「無理そうなら途中で休んでいいからな」
「だいじょうぶです!
なんだかあたし、力もちになったみたいです!」
そう言って、リルムは尻尾をふりふりと振った。
こんな力仕事をしているのに、少女はとても満足そうな顔をしている。
「勇者様、リルムちゃんのステータスを見てみましょうよ!」
「なんでだ?」
「レベルアップしてるかもしれないですよ!」
「そんなに速くレベルって上がるのか?」
疑問に思いつつ、おっさんがリルムのステータスを確認する。
※
○名前 リルム
種族 ウェアウルフ
職業 樵勇者の弟子
年齢 10歳
○ステータス
職業レベル 1→ 2
体力 12→20
魔力 0→ 0
力 7→16
魔攻 0→ 0
魔防 0→ 0
速さ 15→22
運 8→ 8
※
結構上がっていた。
ちなみに上昇する能力は自身の才能以外に職業も関係している。
魔力関係は全く上がっていないが、体力と力、そして素早さの上昇値が高い。
職業が樵勇者の弟子の為、他の職業よりは多少能力上昇値が高いようだ。
「……運がさっぱりですね」
「……そうだな」
それはこの少女が苦労人であることを表しているようだった。
「ししょう、どうかしましたか?」
「いや、なんでもない」
だが、この調子で力が伸びれば、自分の力で背負子を背負える日も近そうだ。
※
そしてリルムは魔法のサポートもあってか、休憩なしで町まで下りることができた。
だが限界だったのか、ドン! と正門の前で背負子を下ろした。
「はぁ……はぁ……」
「お疲れ様」
「す、すみません……本当は、どうぐ屋さんまでもっていければよかったんですけど……」
「いや、十分頑張ってくれた」
「は、はい……」
話を終えたところで、くぅ~と可愛らしい音が聞こえた。
それはリルムのお腹から鳴った音だった。
「腹が減ったのか?」
「……うぅ……」
リルムは顔を赤らめた。
自分のお腹の音を、おっさんに聞かれたのが恥ずかしかったのだ。
「……なら、食事にするか」
「え……」
「腹、減ってるんだろ?」
「ぁ……で、でも……あたし、お金が……」
「ここまで頑張って運んでくれたからな、俺の奢りだ」
「え!?」
「そんな驚いた顔するなって」
詐欺にでもあった形相で狼人の少女がおっさんを凝視していた。
「で、でも、お昼ごはんなんて……あ、あたし……」
「食べたくないのか?」
「……た、たべたいけど……」
「なら食いに行くぞ」
おっさんは背負子を背負う。
「え――あ、あの!?」
「ほら、行こう」
戸惑うリルム。
だが、おっさんは構わず少女の手を引いた。
この町にはいくつか酒場があり、その中で一つ昼に食堂をやっている店がある。
何度か利用したこともある店だ。
道具屋で薪を売った後、その店に向かうことにした。




