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天上天下最強の親バカ

2月12日 本日最終更新(4回目)


0時頃 レベルに修正を入れました。

 考えてみれば、魔法を使えば一瞬で帰れたじゃないか。

 おっさんがそれに気付いたのは家の前に着いた時だった。


「やっぱり勇者様は優しいですね~」

「そんなこと言って、俺に何か期待しても無駄だぞ?」

「またまた~!

 きっとまた何か事件が起これば、勇者様は人助けされるんでしょ?」

「しない」


 おっさん自身、リルムに対しては変に情が出てしまったと思っている。

 しかし、おっさんの行動原理は娘の為にというのが大半のウェイトをしめているのは今も変わってない。

 何せ今日も娘のために、デザートを買ってきてしまったくらいだ。


「って勇者様、受け答えしながら聖剣を庭に突き刺すのはやめてください!」

「やだよ。

 家に入れたら危ないだろ?」

「言い忘れていましたが、聖剣は勇者様が傷つけたくないと思っている相手を傷つけることはありません」

「え? そうなのか?」

「そうなんです!!」

「……だが、刃物である以上は万が一があるだろ?」

「聖剣の力は絶対です!

 なんでしたら、私で試してくださっても結構ですよ!」

「そこまで言うなら試してみてもいいが……」


 正直おっさんは不安だった。

 この妖精は悪いやつではないが、少し抜けているところがある。

 少ない付き合いからでもそれだけはよくわかっていたのだ。


「では勇者様は聖剣を構えてください。

 刃先に私が触れます。

 これで私が傷つかなければ、聖剣の安全性が保障されるわけです!

 あ、先に言っておきますが、振らないでくださいね!

 切れなくてもぶつかったら痛いですから!」


 うわぁ~、なんかそう言われるとめっちゃ振りたくなる。

 誘惑にかられるおっさん。

 しかし、流石に剣を振るのは危険なのでぐっと堪えた。


「じゃあ、いきますよ~、せいっ!!」


 ザクッ――ぴゅ~~~~~~!!


「ほら、この通り全く切れてま――きれてるゥううううううううううっ!!!!

 ギレジャッテマズウウウウウウウウウウッツ!!!」


 この妖精、バカだ。

 軽くちょこん。くらいにしておけばいいのに、思いっきり刃先に手を擦りつけやがった。


「うわあああ~~~~ん。

 勇者様、ちゃんと私を傷つけたくないと思ってくれてたんですか!?」

「あのな、誰彼構わず傷つけたいなんて思ってるわけないだろ!

 それより、まずは治療を」

「……う、うぅ~痛いです~」

「当たり前だろ……」


 包帯を探しに家に入ろうと思った時だった。

 たらたらたたったった~!!


「あれ、レベルアップした」

「うわあああああん、私を切ってレベルアップってどういうことですかあ!!」


 すっごいレベルアップの仕方したなぁとおっさん自身も思った。




       ※




○名前 アンクル


 職業 樵勇者

 年齢 35歳


・ステータス


 職業レベル  3 →  4

 体力    85 → 92

 魔力    15 → 22

 力     68 → 75

 魔攻    10 → 15

 魔防     7 → 12

 速さ    43 → 46

 運     25 → 30



・魔法

 ムーブ

 チャージ

 キュア


○キュア

 

 消費MP3


 回復魔法。

 傷を治癒する。

 軽度の状態異常も回復する。




       ※




「おお、ちょうど回復を覚えたみたいだぞ」

「……私を傷つけることで、回復魔法を覚えるなんて」

ねるなって」


 ぷっくり膨れるカティに、おっさんはキュアをかけてやる。

 するとカティの傷口が一瞬で塞がってしまった。


「おお、これは便利だな。

 リリスが怪我をした時にも使えるぞ」

「ふふ~ん、聖剣は凄いんですよ勇者様」

「お前が威張るな!」

「あいたっ」


 おっさんは、カティに軽くチョップを喰らわした。


「傷はもう平気なんだな?」

「はい、ありがとうございます!

 やっぱり勇者様はお優しいです!」

「じゃあ、家に戻るぞ。

 リリスをこれ以上待たせたくないからな」


 おっさんは庭に聖剣を突き刺した。


「あああああああ、な、なにしてるんですかああ!!」

「安全性を全く証明できなかったよな?」

「うぐ……で、ですが……」

「なんなら、もう一回試してみるか」

「うぅ……勇者様、やっぱり意地悪ですぅ」


 こうしておっさんの家の庭には、今日も聖剣が突き刺さる。

 そしてふくれっ面のカティを放置して家の扉に手を掛けた時だった。


「……うん?」


 なんだかいやな感じがした。

 不穏な気配におっさんは、周囲を見回す。

 意識した途端、まだ夕方くらいだというのに黒い霧がおっさんの家の周りを包み込んだ。


「なんだ……?」

「ゆ、勇者様……こ、これ、召喚魔法です……!」


 カティは焦っていた。

 これは魔物を召喚する魔法だ。

 聖剣の気配を感じ、魔王軍が行動を起こしたようだ。

 だがそれは、カティの想定よりも遥に早いものだった。


「召喚……?」


 おっさんが尋ね返した瞬間――その黒い霧から、魔物が現れた。

 1体や2体ではない。

 次から次に黒い霧が魔物を生み出していく。

 その数は10を超えているのではないだろうか?


「ま、マズいです……。

 どうしましょう、勇者様!?」

「確かにマズいな」


 おっさんは眉根まゆねひそめた。


「に、逃げますか?

 いえ、この場は逃げましょう!」


 カティは今のおっさんのレベルで、この数の敵と戦うのマズい。

 そう思っていた。

 だからこその提案だったのだが。


「え?

 なんで逃げるんだ?」

「なんでって、こんなに敵がいっぱいいるんですよ!」

「バカ野郎!

 だから逃げるわけにはいかないんだろ!」

「え……!?」

「家の中で娘が待ってる」

「……もちろん、娘さんを助けてから――」

「このバカ妖精!」

「ぎゃうん!?」


 おっさんはカティにデコピンした。


「魔物なんて見て、娘が泣いたらどうするんだ!」

「このままじゃ泣くだけじゃすみませんよ~~~~!」

「蹴散らせばいいんだろ?」

「え……?」


 おっさんは庭に突き刺していた聖剣を抜いた。


「俺はな――」


 そしておっさんが聖剣を構えると、今までにないほど強く聖剣が輝きを放った。


「こ、この光は……!?」


 聖剣の妖精カティでさえ、驚愕するほどの神々しい光。

 それは、おっさんの強い想いに聖剣が応えているようだった。


「娘の安寧を脅かす奴は――」


 おっさんは魔物たちに向け、


「誰であろうと許さねえええええええええええっ!!」


 聖剣を振った。

 瞬間――ブワーーーーーーン!!!!!!!!! と、目が眩むほどの強烈な輝きが放射され、まるで浄化の光のように魔物たちを殲滅した。

 当然、家の周りを包んでいた黒い霧すら吹き飛び――夕日を覆い隠していた雲すらも吹き飛ばしキラキラとした光の粒が星の粒のように飛び交っていた。


「す、すごい……」


 妖精はカティは力が抜けて、へなへなっと地面に落ちる。

 

「さて、家に戻るか。

 可愛い娘が待ってる」


 そしておっさんは聖剣を庭に突き刺し、


「ただいま~!」


 何事もなかったかのようにリリスの待つ家に帰った。


「おっかえり~~~~!!」


 バタバタと走ってきて、満面の笑みで天使登場。

 そしておっさんは今日も、何事もなかったように娘との団欒を楽しむのだった。




            ※




 ちなみに先程のおっさんの攻撃で、召喚魔法を行使していた魔王軍の幹部も一緒に殲滅されていたのだが、おっさんと娘、そしてカティすらもそのことには気付かぬまま。

 魔物を召喚することで魔生みのケネブと恐れられた魔人は、レベル4のおっさんに一瞬で葬られたのだった。

 そしてケネブがやられたことを魔王様が知るのは、これから暫く先のことである。





            ※





 そしておっさん、大量レベルアップ。



○名前 アンクル


 職業 樵勇者

 年齢 35歳


・ステータス


 職業レベル  4 →  20

 体力    92 → 170

 魔力    22 →  98

 力     75 → 140

 魔攻    15 → 105

 魔防    12 →  98

 速さ    46 →  88

 運     30 →  62



・魔法

 ムーブ

 チャージ

 キュア

 ターゲット

 タイムアクセル

 タイムフォール


技能スキル


〇天上天下最強の親バカ

 娘を想う気持ちに応じて能力向上。

 このスキルが発動中、能力限界を突破できる。




         ※




 天上天下最強の親バカ――この技能スキルが発現したことにより、おっさんはこの日、地上最強――いや、天上天下最強になった。

 しかし自分のステータスを確認していないおっさんは、そんなこと知る由もなかった。

明日もよろしくお願いします!

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『フライパン無双~とある呪いを解く為に、冒険者になりました~』
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