想定外のお願い
2月11日 2回目の更新です。
今日中にもう1度更新入れたいと思います。
0時8分、魔法名 リチャージの名称をチャージに変更させていただきました。
「じゃあ行ってくるな」
「いってらっしゃ~~い!」
天使のような娘に見送られ、今日も今日とておっさんは山に伐採に向かった。
「くちゅん」
可愛らしいくしゃみをしたのは、今日も今日とておっさんに付いていく妖精カティだった。
「なんだ風邪か?」
「外で眠っていたので、寝冷えしたのかもしれません」
妖精も寝冷えとかするんだな。と、おっさんは思った。
「無理せず家に入ってくれば良かったのに」
「昨日はあのまま眠ってしまったんです。
まあ、我々妖精は自然界の力を糧に直ぐに怪我や病気を治すことができるのでご心配なく」
「別に心配していない。
ただ、ちょっと気になっただけだ」
「う~、ならもっと心配してください~」
適当な扱いにカティは嘆いた。
しかし、今の発言はおっさんにとって、カティが少し気になる存在になったということ。
その事実に、おっさん自身もカティも気付いていなかった。
「ところで勇者様、今日こそは魔物を倒してレベルを上げられるのですか?」
「いや、伐採に行くぞ」
「そうですよねぇ……」
流石にカティも、おっさんの行動原理はもう理解してきている。
娘のことと樵の仕事。
この二つが勇者様の世界の中心だと。
「むぅ……ま、まあいいです。
樵の仕事をしても、とりあえずレベルは上がるようですし」
「レベルを上げておくことに意味があるのか?」
「それは勿論です!
いざ強敵が出現した際の用心です。
明日には魔王がやってくるかもしれません!」
「へぇ、魔王って暇なんだな」
「軽いです!
勇者様めっちゃ軽いです!」
この辺りにはほとんど魔物は出ない。
そもそも、出ても衛兵が対応するはずだ。
ドラゴンでも出るのであれば話は別だと思うが。
「ま、とにかく今は伐採に励もう」
そしておっさんは今日も森の中で伐採をした。
※
今日の仕事を終えると、たらたらたったった~~~♪
レベルが上がった。
※
○名前 アンクル
職業 樵勇者
年齢 35歳
・ステータス
職業レベル 2 → 3
体力 80 → 85
魔力 5 → 15
力 63 → 68
魔攻 6 → 10
魔防 3 → 7
速さ 39 → 43
運 20 → 25
・魔法
ムーブ
チャージ
※
「おっ!? また新しい魔法を覚えたみたいだな」
「チャージ……攻撃を溜められる能力のようですね」
おっさんはチャージの詳細を確認した。
※
○魔法 チャージ
消費MP 1~
対象者にチャージ効果。
チャージは時間に比例して魔力を使用。
溜める時間が長ければ長いほど効果は上昇する。
※
「これまたいい魔法ですね」
「そうか?
あまり役に立たない能力だと思うが?」
「なんてこと言うんですか!
攻撃や魔法の効果を上昇させられるなんて凄いことです!」
「……使う敵がそもそもいないんだが?」
「これから魔物や魔王と戦うじゃないですか!」
「え、そうなの?」
「なんで他人事なんですか!」
「もっと生活に役立つ能力が良かったなぁ……」
心から出たおっさんの言葉だった。
どうせなら割った薪が一瞬で乾く魔法とか覚えないかなぁ。
そんなことを思いながら、おっさんは丸太を割って薪を作り背負子に乗せる。
「さて、カティ掴まれ」
「あ、ムーブを使うんですね」
おっさんが頷いた。
カティはおっさんの肩の上にちょこんと乗った。
「じゃあ、飛ぶぞ」
ムーブを使用すると、二人は一瞬で町の片隅にある道具屋の前に飛んでいた。
「え……お、おじさん?」
「うん?」
聞きなれない声に、おっさんが顔を向ける。
視線の先には目を丸めたリルムがいた。
「おお、リルムじゃないか」
「い、いま、と、とつぜん出てこなかった?」
「ああ、そうだぞ」
びっくりしているカティに、おっさんは平然と答えると。
「もしかしておじさんはまほう使いなの!?」
目を輝かせながらリルムはおっさんに詰め寄った。
「魔法は使えるが、俺の職業は樵だな」
「きこりってまほうを使えるの!?」
感心したように声を上げ、リルムは興奮しワクワクと表情を弾ませている。
「ああ、俺も最近知ったんだが、樵も成長すると魔法が使えるようになるらしい」
「勇者様、それは間違った知識です!
勇者様は樵ではなく勇者だから魔法が使えてるんです!」
おっさんは、嘘を吐いているわけではない。
なにせ彼は自分が今も樵だと思っているのだから。
「きこりってすごいんだね!!」
リルムはおっさんの言葉を信じていた。
普通は樵が魔法を使えるなんて話をしたら失笑されるだろう。
しかし、リルムがおっさんを疑うはずがない。
なにせこの狼人の少女にとって、おっさんは大恩人なのだから。
「ところで、なんでまたここに?」
「ぁ……そ、それは……」
興奮していたリルムの表情に影が差した。
「勇者様勇者様、もしかしてあの子、また困ったことがあったんじゃないでしょうか?
耳打ちしてくるカティ。
確かに少女の様子はおっさんに何かを伝えたいようだった。
少し思案した結果、おっさんは尋ねてみることにした。
「リルム、どうしたんだ?」
「う、うん。
きのうのおれいを言おうとおもって」
「なんだ、それなら気にすることはない。
昨日も言っただろ?
俺は労働に対する対価を払っただけなんだからな」
「でも、ありがとうって、つたえたかったんだ。
ごはんも食べられて、おかあさん、よろこんでくれて……」
「それは良かった」
「うん……おかあさんのわらったかお、あたし、ひさしぶりに見れたんだ」
母親の笑顔を思い出しているのか、リルムの顔はとても優しかった。
それから意を決したように、少女は真剣な眼差しをおっさんに向ける。
「あ、あのね、おじさん!
あたしを――おじさんのでしにしてください!!」
「……弟子……?」
呆気に取られたのは、おっさんだけでなくカティもだった。
だがそれも仕方ないだろう。
少女の発した言葉は、二人の想像を遙かに超えていたのだから。




