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ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第一章「王都の光と闇」
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78歩目「知美の物語」

 知美は木乃美と言う少女と自分は同郷、同じ世界の人間だと勝手に思い込んでいたが実際の所二人は別の世界の人間だ。知美は『帝都東京』生まれの18歳、彼女の世界は木乃美の世界と比較的近い形態と時代経過を経た世界ではあったが、どこか螺子がずれたようなそんな世界であった。


 知美と呼ばれていた少女は幼いころから非常に好奇心旺盛であった。口もきけない頃からあらゆるものに興味を持ち笑い泣き時に恐がり、言葉を覚えてからはあらゆるものについて両親に質問して両親をうんざりさせていた。


 特に彼女が知りたがったのは人間の構造そのものについてだ。どうして人間は歩くのか?何をどうしてどうやったら歩くのか?どこがどうなって歩けるのか。まだまだ幼く哲学的なことも力学的なことも分からぬどころか感じすら読めない頃から、彼女は人間のことについて非常に興味を持ち休みの度に最寄りの科学館に連れて行けとせがんだものだ。

 知りたがりの彼女は就学できる年齢になり、より多くのことを質問し優秀な成績を修めた。明るく賢い彼女はクラスの中でも中心的な存在となり楽しい学生生活を送っていたが高学年になるにつれて一つの運命的な出会いをする。


 二次性徴と快楽である。


 事の発端は女子生徒だけ集められての保健体育の授業だ。男性と女性の体の違いや子供を作るということそれに関するもろもろを学んだ日の夜、授業で学んだ「快楽を得られる好意」を試した時だ。まさに全身に電流が走ったような衝撃、知美は二重の意味でこの時目覚めたのだ。


 この時から知美は性と生、そして快楽について積極的に調べたり話したりするようになった。勘違いしてはいけないが彼女は決して男女の一線を越えたり、犯罪に手を染めたわけではない。彼女は唯々知りたかったのだ、幼い頃と同じように人間はなぜ快楽を得るのか?どうすればもっと得られるのか?どうして快楽を得るのか?そういった取り止めもないことを。


 しかし知美の行動を周囲は快く思わなかった。友人たちは暗に、両親や先生は直接公でそのような言動を慎むようにと何度もいう。子供が踏み込むにはデリケートな問題だ、現に知美の知識欲にかこつけて自身の性欲を満たそうとする輩も僅かだが現れた。しかし知美は持ち前の頭脳で危険を回避し周囲の反感を押し切って自身の態度を貫いた。自分は周囲と大きくずれているのかもしれないが間違ってはいない、そんな思いが彼女の中に会ったのだ。


 そんな彼女を一人だけ肯定してくれる親友がいた。親友は知美が周囲の反対に落ち込んでいるといつも言ってくれた。

「知美は知美らしく生きるのが一番だよ。ただみんなは心配しているだけ、悪い人なんてあんまりいないんだから」

語られると8割お亡くなりになる物語編始まりました。明日も続きます。

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