51歩目「英雄の末路」
旗を使った戦闘法の勝利への決定力の不足と英雄社会内における地力の不足。フランシスは前者の問題に関しては主に防衛つまり決定力の必要な戦いを避けることで、後者は数十年以上にわたって培われてきた技術のみで解決してきたのだ。
そしてその二つの問題を同時に、そして分かりやすくフランシスは現実にて突きつけられる。
もしもっと決定力、言い換えるならば彼の武器が殺傷力の高い武器やもっと相手を傷つける力のある武器だった場合、相手に出血を強いることで体力の低下と判断力の低下を招くことができたはずだ。
もしもっと地力、言い換えるとこちらは、英雄らしい技能か能力をもっていたならば、旗を掴まれたとしてもその力を行使することでこの場を脱することができたはずだ。
しかしもしを考えてもそれは意味のない話だろう。何故ならそのどちらかの要素が満たされていたならば、旗振りフランシスという存在はどこにもいなくなってしまうのだから。
「……これが自国の世界ならば、意地でも降伏させて部下にしてやりたいところなのだが……あいにくこの世界は戦場だ。しかも英雄が英雄を殺す、強者をより強者を殺す戦場だ。この世界の決まりからは誰も逃れられん」
「ぐお」
地龍がフランシスを掴んだまま歩き出す。体ではなく旗を掴まれているだけなので旗を離して逃げればいいだけなのだがフランシスにはそれもできない。
第一徒手空拳になったところで勝ち目がある相手ではないし旗を奪い返す算段もない。そして何よりもフランシスはこの旗を離す訳にはいかないのだ。この旗だけが唯一自分をずっと見ているのだから。
「許せとは言わぬ、助けてとは言わせぬ、自身が正義だとは言わぬ、翁が正義だとも言わせぬ。どんなに言いつくろったところで我々は人殺しにすぎぬ。少なくても我とお前は」
懺悔の言葉か死刑宣告の言葉か、フランシスには判断がつかなかった。だが無表情に自分に体験を振り下ろした男の顔は、まるで泣いているかのように見えたのだった。
またしてもギリギリで短め、明日からはマシになるとは思います。




