4歩目「英雄鑑定」
歓楽街と商店街を区切る門、この門は都市に住む子供たちが迷い込んだり反対に危険人物が外に出ないようにと設置されたものだったのだが、今や兵士は不在かあるいは寝ているか、完全なお飾りの門となり果てていた。
その門のすぐそば、紫の天幕がかけられた小屋に、マハリは二人を連れてやってきていた。
受付と思しきベールで顔を隠した女性に、銀貨がいくらか入った袋を渡してすぐ通すように告げると、女性はすぐさま三人を室内の一番奥へと案内した。
「金払いをいい客がやってきたって言ってたから、やっぱりアンタか」
紫色の室内には、何の目的か良く分からないものが数多吊り下げられ、ここに来た者を威圧する。
さらに中央には一抱えある水晶球の先に鎮座しているのは、ベールで口元を隠し目元は蝶のマスク、さらに全身を七色に光沢を放つローブで覆ってた人物だ。
彼女こそ王国一番の占い師であり、数少ない『英雄の能力』を見ることのできる英雄の一人にして、唯一と言ってもいい『フリーランス』名をフーリン。
ちなみになぜ彼女がどこの組織にも属さないかは単純明快、彼女はどの組織よりも切実に、お金を愛してやまないからである。
「相変わらず趣味悪い部屋だねフー」
「略して呼ばないで、雰囲気あるでしょ?最近の客は雰囲気がないと信用してくれないのよ。それが真実であろうとね」
実際の所、彼女の能力の発言に必要なのは目の前の水晶玉だけであるのだが、それだけだと今一客に説得力を持たせられないらしい。
「それで今日なんだけどね」
「皆まで言わなくても分かる、これでもその道のプロだから。見知らぬ二人を連れてるってことはあれでしょう」
フーリンは仮面を取り、目を細める。
「じゃあそっちの坊やから、始めましょうか?貴方の力を量る英雄鑑定を」
今回は時間が危ういので短め。
完結までどれくらいかかることやら。