71歩目「圧倒的人手不足」
偵察を終えた二人は野営地点まで戻ってくる。
アルト分隊が野営地に選んだ場所は小さな洞窟、というよりも岩の窪みかもしれない。
首都からは山頂を超えた反対側にあり、背の高い針葉樹があたりに生い茂っている。
この場所ならば火を炊いたりしても大丈夫だろう。
現に馬たちを目隠しにして待機していた4人は夕食を作って待っていてくれた。
「おかえり……アルト君どうだった?」
「まあ食べながら話そう」
夕食は固形スープに乾燥野菜に干し肉を最小限の火力で煮込んだものだ。
保存食であるため少々塩気が強いが体の芯から温まる具だくさんのスープである。
「……現状を報告してくれ」
「はい……敵の状態ですが特別軍を警戒しているようには見えません。戦時体制ということで多少の警備の増加は認められますが、傭兵部隊が接近してくることはもちろん、私たちの存在も気取られてはいないと思います」
「そのために大きく回り道をしたからな」
この地点までやってくるのにアルト分隊は一度南のほうに向かい、右回りに大きく迂回してやってきていた。
雪深い山道を規格外のソリの引手に任せて突破してきたわけだ。
「よい報告は以上です、続いて悪い報告です。町の周囲は険しい崖と城壁に囲まれており、突破は困難だと思われます。加えて城門は巨大で重くこちらをひっそりと突破するのも困難でしょう。以上の観点からステルス……つまり敵に見つからずに進む作戦は不可能であると言わざる負えません」
「……簡潔に言うとどういうことなんだい?」
青の説明がよくわからなかったのか、フォルテが手を挙げた。
「こっそりと忍び込むことはできないから暴れるしかないということです」
「んく……なんだいそりゃ、自殺行為もいいとこじゃないか」
スープを飲み干してフォルテはあきれ顔を浮かべる。
「言葉の通り腐っても首都だぞ? 下位不死者だけで何体いるか分かったもんじゃない。おまけに非戦闘員を含む上位不死者も少なく見積もっても百以上。さらに大将首の最上位不死者に加えてそれに次ぐ実力の精鋭の護衛隊。アルトが千人いても足りないくらいの戦力だ」
「兵力不足は傭兵部隊の時点で明白でした。勿論正面からのダイナミックミッション……正攻法の城塞攻めなど我々には不可能です。単純な人員の圧倒的不足に攻城兵器無し、定石の兵糧攻めも出来ないとなれば傭兵部隊が十倍だったとしてもあの防壁は落とせません」
「じゃあどうするの?」
圧倒的不利の状況を聞き不安そうな声を出すピアに対して青は真顔のままウィンクをする。
「ですから策を使います、作戦はスピード勝負です」
いつもお読みいただきありがとうございます。
どうにか年内にこの章を終わらせたいですね。




