69歩目「救難信号」
青がとりだした箱は何か紋章のような者が刻まれていた。
「……って待ってこの紋章って」
興味津々で箱を眺めていたピアが思わず紋章を指さす。
慌てた様子のピアの指の先を追ったフォルテも問題に気付いて周囲を見回した。
「それは帝国軍の紋章じゃない。しかも緊急用の赤い文字付き、確実に軍の最高機密の部品よ? 何処で手に入れたの?」
「落ちていたので拾ってきました」
僅かに怒気を込めて近づくフォルテにも青はすました顔で答えた。
「落ちているわけないでしょうが!」
「フォルテちゃん、しー!」
思わず掴みかかろうとしたフォルテの腰にピアがしがみつく。
「……どこで拾ってきたの?」
いったん息を整えてフォルテは青への尋問を続ける。
「小屋の中です。如何にも大事な物のようでしたので盗まれたり失くしたりしたら大変だと思いまして拾ってきました。誰にも止められませんでしたし」
「……そりゃ全員寝ていたからでしょうが」
呆れてため息をつくフォルテを無視して、青は箱を開ける。
箱の中身は複雑そうなスイッチやメモリのついた機械だった、使い方の説明と思しきメモも一緒に入っている。
「何々? 緊急用救難信号発生装置?」
「無駄に小難しそうだな」
ラドリオがメモを取り上げ、マルスも斜め下から覗き込む。
マルスが読みやすいようにしゃがんでからラドリオは続きを読んでいく。
「部隊の七割以上が行動不能に陥った場合、あるいは何らかの事故や事件が発生した結果、作戦実行が困難な状態および司令部が退避困難な状況に陥った場合に使用すること。この装置が使用された場合24アワ以内に救援の部隊が駆けつける。ねえ……つまりどういうことだ?」
「この機械を使えば、あの転がっている連中をどうにかしてくれる応援部隊が一日以内に到着するってことだ」
マルスが半ば髪を奪い取ると、手順に従い機械を操作する。
起動した救難信号発生装置は、小さな機械音を発しながらしっかりと作動しているようだ。
「これで待っていれば助けが来るんだね、よかった」
「いえ、私たちはここで待っているつもりはありません」
ほっと一息つくピアの言葉を遮り、青は持ってきたもう一つの者、巻かれた紙をを地面に広げる。
紙は周辺の地理情報や村の名前などが事細かく書き込まれた軍用の地図のようだった。
「この地図さえあれば、単独でも敵の防衛拠点まで進むことができます。ここの後始末は救援部隊に任せて、私たちは先に進もうと思います」
青は現在位置を指さすと、その指をゆっくりと別の街へと滑らせた。
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