67歩目「状況変わらず」
更新遅れました。
『Side ラドリオ』
ピアたちの警告は今度はすんなりと受け入れられたらしい。
残った傭兵たちが身をもって危険性を認識したから……というよりは残っていた者たちが人の言うことを素直に聞くことのできる人間ばかりだったせいであった。
ピアたちが警告を行い、ラドリオが食べ物を『回収』している間にアルトはたたんでいたテントを設営し直した。
「昨晩は結局眠れなかったからな……しばらく仮眠を取ろう。マルスもこの通りだしな」
「……ねてない……」
青に背負われたマルスがつぶやいた。
寝言だったのかもしれないが。
目を瞑ってぐったりとしているので寝ているのかどうかラドリオにもよくわからなかった。
「マルスをお願いします、私は女性用のテントへ後で向かいます」
「後でって、花摘みか?」
「……どちらかと言えば薬草摘みです」
寝不足のラドリオの失言を青は冷たい瞳で返した。
ラドリオの目が覚めたのはそれから数アワ後、テントから這い出してみれば太陽はすっかり登りきっていた。
ラドリオが動いたことで目が覚めたのか、マルスも目も擦りながらテントから外に出て身を震わせる。
アルトは未だいびきをかいて眠っているようだ。
「……寝ていたのか、あれからどれくらいたった? いまはどれくらいだ?」
「日の高さを考えると昼過ぎって所じゃないか? 状況は……むしろ悪くなってるみたいだな」
テントの外ではある種の地獄絵図が広がっていた。
「くそ……体が」
「うう……うごかん」
「くそ……」
傭兵たちへの睡眠薬の効果は抜けたようだが、麻痺毒の方は未だに強固に残っているらしく眠っていた人間は相も変わらず呻き声を上げながら地面に転がっていた。
むしろ眠っていた間は静かだった連中が呻き声を上げたりパニックを起こしたりして周囲は何とも言えない喧騒に包まれていた。
「どうするんだこれ?」
「どうしようもないだろう、白の姉ちゃんがいれば全員治療できたのかもしれないけどな」
治療能力を持っている白は現在謹慎中と言う話をラドリオは聞いている。
一体どういう状態なのかラドリオにはさっぱりわからないが、出てくることができないということだけは確からしい。
「状況は良くなって……ないね」
「もっとひどくなってるね……いっそのことまた眠らせるか?」
「昼間は兎も角、夜間になれば暖を取らなければいけませんから、嫌でも薪に含まれた薬を服用することになります。最低限栄養と水だけ摂取してもらいましょう……下の方は我慢してもらうしかありませんが」
ラドリオ達の声で目覚めたのか女性側のテントから女性陣も這い出してきた。
木乃美は未だ青のままだ。
「それで、これからどうする? 状況は改善しないし俺たちにはどうにもできない」
「任せてください。ここから先の作戦もちゃんと立ててあります」
すまし顔でウィンクをした青が、テントの中から大きな箱と巻かれた紙を取り出した。
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