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ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第四章「アンデット戦争」編
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64歩目「発覚する毒物」

 マルスが慎重に、アルトが豪快に三角フラスコを振っている。

「零して皮膚にかかったら危ないから気を付けてください」

 試験管しか見てない様にみえてしっかりと見ていた青に注意されてアルトが慌てて振り方を穏やかにする。

 無言で試験管を見つめる青にフラスコを振ってない女性陣も無言になり試験管を見つめる。

 三人の見つめる先では、試験管に入れられた芋や麦やリンゴは液体にゆっくりと溶けていった。

「変わりませんね」

「これはどういう反応なの?」

「何ともないように見えるけど」

 液体は透明な色のままで変化はない。

「……私の持っている道具の範囲では、これらの食料に問題はないようです」

「思い過ごしだったみたいだね」

「手間はかかったけど安全だと分かったんだ、それだけ手間をかけた価値があるさ」

 三人がほっと息を吐いた、その時マルスの驚いたような声が響く。

「おい、これは正常な反応なのか!?」

 マルスが降っていたのは肉のかけらが入っていたフラスコは透明な液体から、毒々しい黄色い液体へと変化していた。

 しばらくよそ見をしていたせいでマルスも気づくのが遅れたのだが、肉が解け始めた頃から色はゆっくりと変わり始めていたのだ。

「これは……お肉に体をマヒさせる毒物が添加されています」

「毒だと……それは命を奪うほどか?」

「そこまでは何とも……この薬は人体に有害な異物を感知するための薬ですので、毒の強さについては何とも言えません。ですが入れた瞬間に反応がなかったということは触った程度ならば大丈夫と言うことです」

 毒と聞いて慌てて自分の手を……お肉を触った手をそのあたりの雪で洗っておうとしていたマルスに青が安心させるように声をかけた。

「脅かすな……アルト、そっちはどうだ?」

「こっちはなんか紫色になってるが?」

「こちらには眠り薬の類が……恐らく熱することで拡散するタイプです」

 薪の方には熱することで拡散するタイプの薬が仕込まれていたようだ。

「つまりこれらの備蓄物は罠か」

「植物類は元々本当にため込まれていたモノでしょう。他の者は村民が脱出した後に仕込まれたものだと思われます」

「……不味い! 上官連中はとっくに酒盛りを始めていたぞ? 他の連中もとうに調理を開始しているはず」

 慌ててアルトがフラスコを置いて立ち上がる。

 どうやら他の人々に危険を知らせに行くつもりらしい。

「どこへ行くんですか?」

「決まっているだろう、毒があると分かっているのなら全員に食べない様に注意を」

「恐らく無駄だと思われます。私の実験だけでは証拠になりませんし、仕込まれているのが肉と薪という事実を離せば「嘘をついて肉と薪を奪おうとしている」と取られる可能性があります」


いつもお読みいただきありがとうございます。

作中の薬は「英雄の力で生まれた都合のいいお薬」です。

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