63歩目「青の検査」
「ほら見てみろ、芋に麦にリンゴ。それに一人一切れとはいえ肉もあるぞ、シカのもも肉だ!」
アルトが嬉しそうに全員に見せる様に食料を見せてくる。
背中には燃料用の薪も積まれていて、納屋の中にかなりの量がため込まれていたことが窺える。
「……アルト君、それなんだけどね?」
「ん? どうしたんだピア。みんなもなんだか微妙な顔をしているが」
「それなんだけどな」
フォルテが今までの話を要約して伝える。
長い説明を簡単にと説明を聞いたアルトは軽く笑った。
「木乃美は心配性だな。確かに罠の可能性もあると言えばあるが、調べる術もない以上諦めて食べるしかないだろう? 食べないというなら無理強いはしないが」
「調べる方法……ないこともないけど」
木乃美のぼそりとした呟きに全員の視線が集中した。
「あるのか?」
「そんな力を持っている子がいるの?」
「前衛だけじゃなくてそんなことまで……便利なものだ」
アルトたち三人組が感心する中、ブレル感覚が全員を襲う。
木乃美の座っていた場所に青髪の女性が静かに座っていた。
「青と申します、短い間ですがよしなに」
礼儀正しく礼をする青にアルトたちがぎこちなく礼を返した。
「お前……そんなこともできたのか?」
「実験室も実験道具もありませんが、何とかして見せましょう」
疑うような視線のマルスに青は苦笑いを返しつつ、色々な道具の詰まっているカバンからいくつか道具を取り出した。
茶色い瓶に入った薬が何本かと三角フラスコが二つ、試験管立てと試験官が何本か。
「茶色い瓶と……変わった形のガラス瓶だな?」
「……薬師を思い出すな……なんとなくだが」
アルトとマルスが興味津々と言った表情で、他の三人も二人ほどではないが珍しそうに青の手つきを眺めている。
「こちらの試験管……細い瓶に芋と麦とリンゴを入れてください。そのままでは入りませんから小さい欠片で構いません。お肉と薪はこちらの三角の瓶に入れてください」
「分かった、薪は俺に任せろ」
「じゃあ肉は俺が用意しよう」
「じゃあ俺らはリンゴと芋と麦だな」
各自が役割分担をしてそれぞれを小さく刻んだり欠片を切り取ったり、小さく割ったりして試験官とフラスコに入れていく。
青はそれらの試験管に透明な薬品をそっと注ぎ込んだ。
「こちらの細い瓶はしばらくこのままにしてください。三角の瓶の方は軽く振ってもらえますか?」
青がじっと試験管を見つめながら、三角フラスコを指さした。
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