57歩目「行くも戻るも」
今回何も進んでおりません
「視線のことは気にしないことにしてだな」
「気になるんだよどうしても」
「……気にしないことにしてだな」
未だ落ち着きなく周囲を気にするラドリオを無視しつつマルスは話を進めることにする。
「このまま部隊行動すべきかって問題だ。ドラゴンゾンビが最後の切り札ならいいんだけどな。その望みは薄いだろう? まだまだ何かしら罠をまだまだ仕掛けてくるはずだ、なにせここは敵地だからな」
これだけ見られていると、マルスは気にならないにしても動き辛いのは事実だ。
近接攻撃の赤はドラゴンゾンビとの戦闘で負傷してしまいしばらく使えない。
青は知略面では頼りになるだろう、部隊指揮に関しても何かしら案を持っているかもしれないが彼女自身の火力はないに等しい。
緑の魔法は不死者相手でも十二分に活躍できるが、灰以上に幼い少女を戦場で連れまわしたくはない。
他の面子は、白は出てこないからいいとして
見える者全てを殺してしまおうという闇と、動くものは的、動かない奴はビビって動けない的という黄この二人を荒くれ者が集う戦場という鉄火場に解き放つには恐ろしい。
結果ドラゴンゾンビを倒したことでアルト分隊は戦力が大きく低下している。
この状態で今までと同じような活躍を期待されたり、上から命令があった場合大変なことになる。
「だからと言って俺たちだけで先行する訳にもいかないだろ。目的の敵の都市までまだ徒歩で数日はかかる。その間の食料や水はどうするつもりだ?」
「それはお前が気合で持っていけ」
「寒いぞ?」
「……離れるのは論外だな」
寒さという問題が出てきた途端あっさりと手の平を返すマルスにラドリオも苦笑いを浮かべる。
「大丈夫だよ、いざとなれば緑ちゃんもいるし。他のみんなだってほら? 流石に敵と味方位は……」
「区別すると思うか?」
「……思わない」
残るという問題に対して木乃美がフォローしようとするが一言でこちらも手のひらを返した。
自分のことだけに彼女も良く分かっているようだ。
「……結論としては、アルトには赤が使えないことを話す。後は敵に不死者以外がいないことを願うくらいか」
「あとは、周囲の視線がもうちょっと和らぎますように。何事も起こりませんように」
「……」
木乃美の目が
「何も起こらないのは無理なんじゃないかなぁ」
という温かい目線をラドリオに送っている。
「何にしても……打つ手なしでなるようになるってことか……運任せとか神頼みは余り好きじゃないんだがな」
「……そうだね」
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