54歩目「ドラゴンゾンビを終えて」
アルトとドラゴンゾンビの戦いはその後は一方的だった。
手足は愚か尻尾まで失い最終的に首根元から切り落とされ、さらに体の中を炎で焼かれたことでようやくドラゴンゾンビの息の根を止めた。
傭兵たちが群がっていた方もようやく決着がついたようだ。
襲撃当初はどうなることかとラドリオは心配していたが、終わってみればあっけないものでこちらの損害は一割程度。
一割と言うと冗談ではないほどの損害に聞こえるが、ドラゴンゾンビ相手にこの損害はむしろ大勝利と言ってもいいくらいだ。
実際木乃美がドラゴンゾンビたちを地上に落とさなければ、上空を悠々と飛行するドラゴンゾンビたちを落とす手段はなかっただろう。
木乃美が、いや灰がドラゴンブレスを無効化しなければそれだけで全滅していてもおかしくなかった。
「……なんとか終わったな」
故にドラゴンゾンビの脅威を十二分に理解しているラドリオが情けない声を出しながら座り込んだのも仕方のないことだ。
ラドリオ以外にもフォルテとピア、そして一部の妖精たちも同じようにへたり込んでいる所を見ると彼らはドラゴンの脅威を理解している者たちらしい。
「……そこまでやばかったのか、今の状況は」
「ドラゴンの恐怖を知らないって言うのはいいよなぁ」
「知っていてもあの通りな奴もいるが?」
マルスの呆れ気味の視線の先にはいい汗をかいたと言わんばかりに汗を拭っているアルトの姿があった。
「……能天気な奴はいいよな」
「言い換えるな、後何時まで座っているつもりだ?」
マルスの表情が苦笑に変わりラドリオに手を刺し伸ばす。
流石に十歳の子供の手を借りるかどうか迷っていると木乃美も同じように手を差し伸べてきてくれた。
二人ならいいだろうとラドリオは子供たち二人の手を取った。
「ふう……それでこれだけ戦果を出したんだ、流石に評価してくれるんだろうな?」
「ドラゴンゾンビ二匹に加えて、それを攻撃するチャンスを作ったんだ。普通は評価してくれると思うんだが……」
「うん、今までのことを考えると難癖をつけてきそうだよね。命令前とはいえ完全な独断専行だったし」
前回の大軍を蹴散らした際も「命令を待たず、独断専行した」という理由で評価を拒否されたのだ。
木乃美が心配そうな声を出すのもうなずける
「今回はさすがに評価なしってことはないと思うぜ? これで評価しないなんてことになったら傭兵たちが暴動を起こしかねない」
全滅の危機を圧勝へと導いた人間を評価しないという話になれば
「この軍に居ても評価してもらえない」
という話になり傭兵たちの士気にかかわるからだ。
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今回も二回更新です。




