52歩目「ドラゴンゾンビとの攻防」
更新遅れました。申し訳ない。
マルスが一息つくように座り込んだところに木乃美が心配そうに寄ってくる。
「そういえば、力を使ってよかったの?」
自分のことを棚に置いてマルスのことを心配してくる木乃美にマルスは苦笑いを浮かべる。
「忘れていた訳じゃない。周囲にはドラゴンゾンビの力みたいなものが溢れていたから多分誤魔化せるだろ。偽りの魂で手ごたえがなさ過ぎたせいかもしれないが、聖都の時ほど『反響』したような感覚もない。『正常な魂』相手じゃなきゃ何とも言えないが、あの時あそこまで反響したのは防御されたからだろうな」
「じゃあこれからはもっと使うの?」
「……そんな顔をするなよ、なるべく自重する」
怒ったような悲しいような複雑な表情をする木乃美からマルスは目をそらす。
ちょうど先の独り言の『あちらさん』である、アルトとドラゴンゾンビが対峙している所が見えた。
こちらは一匹始末し終わり、傭兵たちに群がられている個体もほぼ虫の息なのに対し、彼らは未だににらみ合いを続けているようだ。
なんどかアルトは相手の懐に踏み込もうとするそぶりを見せるのだが、そのたびにドラゴンゾンビが範囲の広い横振りの爪や牙や尻尾で迎撃する。
そのたびにアルトが大げさに距離を取っている、そんな状況だ。
「……なんで能力を使わないんだろう?」
「不意を衝くためだろうさ、ああやって何度も避けて「こちらの攻撃は相手に通用する、だから回避しているんだ」という意識を持たせようとしているのさ」
「ドラゴンゾンビ相手に?」
木乃美が不思議そうな顔をする。
彼女は動く死体にそのような知恵がないことを思い出しているのだろう。
「唯のドラゴンゾンビじゃなくて、誰かが操っている。俺が攻撃した手応えからそんな感じだな。魂の遠隔操作とでもいうのか?」
残念ながらマルスの攻撃の余波が届く前に、回線? のような物を断ち切られてしまったため、操っている存在にダメージは与えられていない。
以後は向こうも警戒してくることだろう。
なんどか攻撃を掻い潜ろうとするアルトと、それを迎撃するドラゴンゾンビの攻防が続く。
あらゆる方向から攻撃を掻い潜ろうとするアルトに対して、ドラゴンゾンビの方は余裕の迎撃をみせる。
ついにドラゴンゾンビが、正確にはそれを操る存在は『アルト恐れるに足らず』という結論に達したのだろう。
今まで防御一辺倒だった態度を一瞬で変化させると、今まで以上の速度でアルトに腕を振り下ろした。
いつもお読みいただきありがとうございます。
内容が若干矛盾しそうになっていたので捕捉しました。




