51歩目「ドラゴンゾンビ撃破」
ガラスを殴ったような軽い音と共にマルスが倒れ込む。
と同時にドラゴンゾンビが尻尾を振り上げたままの状態で止まった。
「……」
ごくりとつばを飲むラドリオ。
攻撃は成功したのか失敗したのか分からない。
赤もガードを解かずにじっとその場で成り行きを見守っている。
数セクたって、ラドリオが何時でも逃げられるようにマルスを抱えた所で、ドラゴンゾンビがゆっくりと倒れ込んだ。
倒れたからと言っても油断はできない。
知恵のあるドラゴンは死んだふりをすることがある、ドラゴンゾンビにそこまで知能はないが操っている者が賢ければその可能性もある。
しばらくにらみ合い、動かないことを確認するとラドリオはようやく肩の力を抜いた。
「……やったのか?」
「……ああ、思ったよりも『軽かった』反動も小さかったな」
青い顔をしたマルスが頭を押さえつつ意識をはっきりさせるように振る。
人間を攻撃した際は……防御された際を除いて……マルスにも強い反動がある。
魂を攻撃する技の反動がどういう物なのかラドリオには想像もつかないが、想像するまでもなくそれが体に優しくないことは分かる。
それが小さいということはやはり動く死体の魂は偽りの魂だからだろうか。
「赤は大丈夫か」
「あはは……あんまり大丈夫じゃないかな」
何度も攻撃された衝撃で赤の体は所々紫に痣になっている。
「おいおい、マルスの坊やよりもそっちの方が重傷じゃないか」
「ドラゴンの攻撃はまともに受け続けちゃいけないって学べてよかったよ」
いつもの世界が『ぶれる』感覚があり赤の姿が木乃美へと戻る。
どうやら見た目以上にダメージを負っていたらしく木乃美の姿へと戻ってしまったらしい。
これ以降防御に秀でた彼女をしばらく使えなくなってしまった。
「……まだまだ先はながって言うのに、赤が使えなくなったのは痛いな」
「いや、さすがにここまで戦果を挙げればあとは黙ってみててもいいんじゃないか? ドラゴンゾンビを真っ先に発見して、さらに空中から叩き落し一匹仕留めた。勲章モノだろ」
「発見は通達してない……それ以外はその通りなんだがどうも嫌な予感がするんだよな」
マルスの顔色もようやく普通に戻ってきてラドリオも周囲を確認する余裕が出てきた。
一番満身創痍だったドラゴンゾンビはまだしぶとく生きているらしく、時折悲鳴と共に人間が空を飛んでいる。
それでも雄たけびを上げて傭兵たちが群がっている所を見ると力尽きるのも時間の問題だろう。
「そういえば……あっちはどうなったかな?」
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