49歩目「満身創痍の獣」
視点が目まぐるしく変わりご迷惑をおかけします。
『Side ラドリオ』
「地上に下ろしてしまえばこっちのものだ! 行くぞみんな!」
「お、おう!」
「ドラゴン狩りだぁ!」
アルトの声に勢いづいた傭兵たちが落下したドラゴンゾンビの方へ向かっていく。
ドラゴンゾンビのうち二体は手負いだ。
先頭を飛んでいたドラゴンゾンビは落下の衝撃に加え、後方から二匹がぶつかってきたことも重なって殆ど虫の息だ。
両足と羽があり得ない方向に曲がっていてほとんど動かせない、首も明後日の方向に曲がり左腕に至っては殆ど根元から千切れている。
真面に動かせそうなのは右腕一本だ。
当然勢いづいた傭兵の殆どがそちらに向かっていく。
「勢いだけは一人前だな」
「ラドリオ、マルス俺たちで残りを受け持つぞ! 悪いけど一番生きのいいやつはもらうからな!」
「そりゃ願ってもないけど……って聞いてないな」
分隊長殿は血気盛んなご様子で、フォルテとピアを引き連れて三番目のドラゴンゾンビへと向かっていく。
一番最後に落ちてきたドラゴンゾンビで、前に引きをクッションのようにしたため損傷が一番少ない。
落下時に首が曲がった程度だ。
「つまり残りは俺たちがやれと?」
「……試してみるか」
二番目に落ちてきたドラゴンゾンビは、前後を挟まれる形になり首や両腕足と羽がすべて変な方向に曲がっている。
ただし痛みは感じていないようで不自然ながらすべての部位を振り回してこちらを威嚇してきている。
「飛べないからって腕力もブレスも健在だろうに」
「……その心配はない」
背後からの声に悪寒を感じてラドリオは身震いをしながら振り返る。
いつのまにやら木乃美が……この場合は灰が背後を取っていた。
ラドリオとしては心臓に悪いからやめてほしい行動だ。
「心配はないってどういう意味だ?」
「……飛行とブレスに関する魔力は殆ど吸い取ったから、しばらくは飛べないし撃てない」
どうやら落下させる際同時進行でこなしたらしい。
それなら今のドラゴンゾンビは腕力だけの巨大な獣に過ぎない。
「灰、奴を抑え込め。鱗に攻撃が通らなくてもそれくらいはできるよな?」
「……どうするつもり?」
「不死者の仮初の魂に俺の攻撃が通るのか試す……気は進まないが」
「そうだな、今回はマルスの坊やは働いてないがっ!?」
余計な一言を漏らしたラドリオの足に、マルスのかかと落としがさく裂した。
「ちゃんと仕事していただろうが、全体の監督と指示を」
「確かに……頭脳労働はしていたご様子でおっと!?」
足を擦りながら余計な一言を漏らすラドリオに更なる一撃が見舞われる。
今度はどうにか回避した。
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