44歩目「ホラー映画にドラゴンは?」
「でもほら! 木乃美ちゃんの能力を使えば。一昨日の子は不死者に強いんでしょ!」
ピアの期待を込めた視線が木乃美に向けられる。
「任せて!」という声を皆が期待したのだが、木乃美は少し考えた後困った顔をして首を横に振った。
「そうだけど……ドラゴンゾンビは無理かな」
「なんで!? 一昨日は動く死体の群れを簡単に蹴散らしたじゃない! だったらドラゴンゾンビだって楽勝で―――」
「そのドラゴンってところが問題なの……ドラゴンの体はどれくらい頑丈なの?」
「そうだな……鱗や体表は下手な城壁よりも硬い。並みの剣や槍じゃ傷をつけることすら難しいな」
この世界のドラゴンはどうだか知らないが、という言葉を飲み込みながらラドリオは説明する。
「やっぱり……確かに灰ちゃんの能力はお化け……じゃないや不死者に対してはほぼほぼ無敵だと思う。だけどわた、じゃなくてあの子のイメージ……じゃ分からないかな、世界にはドラゴンに匹敵するくらい硬い不死者が存在しないの。だからダメージを与えることはできると思うし、時間をかければ倒せるかもしれないけど。そんな悠長なことをしていたら……」
「その前にブレスで焼かれて一環の終わりか」
木乃美ともう一人を除いて大きく肩を落とす。
「……ジェラートを呼ぶにしても間に合わないな」
ラドリオにも『ドラゴンシャウト』という切り札があるにはあるが、それを使うには試作型錬金馬車であり、普段は馬の姿をしているジェラートが必要だ。
呼ぶことはできるが、おいてきた前線基地の町からここまで来るのに、ジェラートの足を使っても5ミニ(分)はかかる。
充填時間も考えると三匹は間に合わない。
「一ついいか?」
先ほどから黙って木乃美の言葉を聞いていたマルスが小さく手を挙げた。
「いいよ、なに?」
「瞬殺できないのは分かった、じゃあ足止めはどうだ? 連中を地面に引きずりおろせるか?」
マルスの質問で再び木乃美に視線が集まった。
「……出来る出来ないで言えば出来るよ?」
「よっし! それならあとは俺が仕留めればいいな」
木乃美の言葉にアルトが意気揚々と剣を振り上げた。
「ただ地上からやろうとすると、こっちの攻撃が届く前に向こうからブレスが……えっと……マルス君。まさかだけど私に飛べとか言わないよね?」
「飛べるなら飛んでもらうが、俺はそんな無茶は言わないさ」
マルスの言葉に木乃美がほっと息を吐く。
「でも飛ばされることならできるよな?」
「……やっぱりそれしかない?」
にやりとアルトの剣をみるマルスに対して木乃美が苦笑いを浮かべた。
いつもお読みいただきありがとうございます。
次回からVSゾンビドラゴンです。




