31歩目「予測は当たるもの」
「よう、お疲れ!」
「……どうも」
「……お邪魔します」
マルスたちが三人が固まっている所に分隊の半分がやってきた。
正確にはアルトは分隊長会議という名の連絡事項を受け取りに、残りの二人は居心地が悪くアルトが帰ってくるまで席をはずしていただけなのだが。
フォルテもピアも木乃美に対して視線が集中しているのが分かる。
「……何か用か?」
「分隊員と絆を深めようと思ってな? 二人も無理やり連れてきた」
「そりゃ殊勝なことだな」
マルスにしても迷惑は話だが、だからと言ってこの場を離れる訳にもいかない。
周囲の雰囲気が最悪なのもあるが、何より出鱈目に寒いこの地方の夜に目の前のたき火から離れたくないのだ。
「可愛くない……で、絆を深めるって言うのは腹を割って話してもいいってことかしら?」
「そうだなこの際、不満は全部ぶちまけよう」
「……正気か?」
ラドリオが思わずツッコミ、木乃美は目を伏せる。
アルト青年にとっては、悪意も何もない。
ただ周囲の雰囲気がよろしくないから、分隊員として団結しようと思っての行動だろう。
指導者としてマルスは責められない。
当事者としてはもう少し周囲を見ろとか空気をよめと言いたい気分であった。
「じゃあ単刀直入に言わせてもらうけど……貴方達の称号は?」
いきなり核心に迫るかと思いきや、フォルテは少し搦め手から攻めてきたようだ。
いきなり核心をつくと警戒されると思ったのかもしれない。
「木乃美は『打倒者』、ラドリオは『竜に寄り添う者』、俺は『竜を看取る者』だ」
マルスとしては隠しておきたい情報の一つであったが、今隠し事をして後で揉めても厄介だ。
比較的優先度は低いと自分の中で優先順位をつけて正直に話すことにする。
「そっちの優男君はなんとなくわかるとして、以外ね? 君たち二人には竜を倒す力があると?」
「……一応な、こっちの木乃美には経験者のお墨付きもある」
ラドリオから称号の裁定方法について聞いておくべきだなと心の中にメモをしつつ、マルスは話を進める。
後半も一応嘘ではない。
経験者は人族ではなく大鬼なのが問題かもしれないが、言わなきゃばれないだろう。
「そりゃすごい……木乃美ぜひ一戦手合わせしないか?」
これがこの情報を隠しておきたかった理由だ、称号について、特に木乃美の称号がでればこの青年は絶対に食いついてくる、そうマルスは予測していたし実際喰いついてきた。
そして
「……分かりました、じゃあ明日の早朝に」
木乃美がその誘いを断れないことも、周囲がそれを許す空気でないことも予測通りになってしまった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
一日や二日で変わる訳もないですね。




