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ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第四章「アンデット戦争」編
244/327

24歩目「睨まれながらの行軍」

 出来ることならば中隊長や上の連中を捕まえて文句を言いたいマルスであったが、傭兵のしかも子供が何を言ったことろで無駄であろう。

 唯でさえ目を付けられているのに、これ以上目立つような真似をすれば。

「部隊の規律を乱す行為をしたために処刑」

 だとか

「光栄なる一番槍(無策で真っ先に突撃)」

 とかをやらされかねない。


 上に文句は言えないが、作戦はあくまで全力を出して敵を撃退もしくは押しとどめるだ。

 自分たちで作戦を立てる分には問題はない。


 そうマルスは思っていたのだが。


「まさかこうなるとはな」

「あんまり喋るな、アイツら目がマジだぞ?」


 簡単な保存食、たき火で焼ける簡易パンに固形スープで朝食を済ませた後、上官たちに示される場所に並んで進軍を開始したのだが。


 中隊長の部隊……他の傭兵たちが近接武器や弓、良くてラドリオのような単発式の銃なのに対して連発式の銃を装備しているためよくわかるのだが……彼らがじっとマルスたちの方を見ているのだ。

 見ているだけならば別にいい、気にはなるが喋るくらいは出来る。

 問題は彼らが目線と一緒に武器の銃口を向けてきていることだ。


 彼らとはそれなりに離れているのだが、それでもこちらに向かって敵意というか悪意があるのが丸わかりだ。

 彼らとしては厄介な傭兵に早く死んでほしいようで、命令さえあればいつでも喜んで引き金を引くことだろう。

 忠衛さえ足場の悪い雪道、足を引っ掛けて暴発させやしないかとマルスは気が気ではない。


 そんなわけで脅されながらの行軍で真面に話し合いなどできる訳もない。

 小声での会話、筆談、アイコンタクトなどいろいろ試してみたが。

 会話はしようとするたびにわざわざ隊列を組んでこちらを狙ってくる。

 筆談をしようにもカバンに手を伸ばしただけで頭に狙いを定めてくる。

 アイコンタクトに至っては木乃美が気づかないので意味はない。


 結局何の相談も出来ぬまま、マルスたちは敵が待ち受ける雪原に到着してしまった。

 

「こうしてみると、壮観というか威圧されるというか、妙なプレッシャーがあるな」

「命無きとはいえ、こちらの十倍の軍だからな。後ろの連中もやっとこっちから銃口を外したけども、このあと突撃! とか言われるんだろう?」

「十倍の敵に真っ向から突撃とか正気じゃないだろ……そもそもちゃんと統率するんだろうな? あいつ等」

 先ほどからこちらに銃口を向けていた連中は及び腰で今にも逃げ出しそうだ。

 無能な指揮をとられるのも困るが逃げられるのも困る。


 こうなった以上は木乃美の新しい人格に期待するしかなく、その活躍を連中が見ていないと評価がもらえないからだ。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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