16歩目「ラドリオ先生言いくるめる」
同質とはまた厄介な話だ。
そんなことは顔には出さずにラドリオは笑みを浮かべる。
「そりゃ、魔力なんだから同質なんじゃないか? 確かに一見するとあの力は異質というか不気味に見えるかもしれないけどさ。だからって不死者と同じような物だっていうのは流石に言いすぎじゃないか?」
当たり障りのない言葉で説得をしていくラドリオ。
「それ、本気で言っていますか? 私自身も何度も体を撫でられましたから分かります。あれは現世の存在ではありませんよ、そうでなくとも識別もなしに選択範囲の魔法という時点であり得ませんし」
ピアの話によるとだ。
範囲魔法っていうのはふつう味方のいない密室だとか、遠くから向かってくる敵だとかに向かってぶち当てる物で、先ほどのような乱戦で使用するものではないそうだ。
そんなところで無差別に範囲内を攻撃する魔法を使うのは余程の馬鹿か、命知らずか、錯乱した間抜けなのだそうだ。
範囲識別型魔法というのは、王国で最近開発された最先端の魔法で、識別証を持っている存在以外を範囲攻撃する魔法らしいのだが、それにしても一帯を吹き飛ばすような魔法ではなく、一撃一撃の攻撃を複数ばらまくタイプで、用意するのに手間と魔力と希少な触媒が山のように必要なのだそうだ。
つまり、先ほどの木乃美のように大ざっぱの振り回すだけの物体で、赤の他人を巻き込まず不死者を吹き飛ばす魔法はこの世界には存在しないのだ。
では魔法以外ならばどうか? 一番身近な例が先ほどの幽霊で任意に物質に干渉できるがこちらから物理的に干渉することは難しく、さらに幽霊同士ならばお互いを干渉できるらしい。
長々と余計な説明をしたけれど簡単にいえば目の前のピアちゃんは
「お前のところのあれは、巨大な幽霊の腕を操っているんじゃないか? 間者なんじゃないか? こら」
ということだ。
ラドリオは背中に嫌な汗をかきながら考える。
間者でないことは間違いないのだが、探られて痛い腹は持ち合わせている。
上手く言いくるめないことには、敵地に到着前に火あぶりにでも処されかねない。
どこの世界も、敵にばれた間者やそう疑われた者の末路は悲惨だ。
「……そーなのか、実は俺も詳しいことはよく知らないんだ。お嬢ちゃんは詳しそうだから何なら徹底的に調べてみてほしい」
「あ、いえ、詳しいというわけではないですけど……では野営の時にでも」
こういう時は下手に語らず堂々とがラドリオの持論だ。
相手も逆に調べることをお願いされるとは思っていなかったらしく驚いた顔をして去っていった。
「後は二人に相談でもしておけばいいか……マルスのやつがうまくやるだろ」
面倒なことは得意な奴に任せるもラドリオの持論であった。
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