91歩目「反省会(聖女編)」
『Side 聖女マータ』
どこかに寝かされている感触と腕の暖かな温もりで目が覚めた。
恐ろしい吐き気に襲われて胃の内容物をぶちまけた後の記憶がない。
ぼんやりした頭で周囲を見回そうとしてサビオリスと目が合った。
「聖女様、目が覚めたんですね!」
「……ええ、あれからどれくらいたったの?」
「聖女様は三日間眠られておりました」
体を起こそうとするとサビオリスに押さえつけられた。
「ダメです、絶対安静ですよ」
「上司に文句をつけるつもり? お願いよサビオリス」
我ながら汚いと思うけどサビオリスならば権力と私のお願いと言う形には弱いはずだ。
こんな所で寝ているばいいじゃない、おじ様が……元領主が裏切者だった事実は聖都を震撼させているはずだ、私が皆を落ち着かせないといけない。
「……マータ様のお願いでも決めません、絶対安静は第九騎士団第八班班長として、医療班としての判断です」
「そう・・・・・・」
現にサビオリスに押さえつけられて起き上がれないのは相当弱っている証拠だし。
「どれくらい? 今日だけでいいわよね?」
「何を言っているんですか!」
サビオリスは涙目になりながら冗談じゃないと言わんばかりに首を振る。
「最高位の回復魔法が効かないほどの重体です。今のマータ様はいうならば究極の飢餓と衰弱状態なんですよ? 一ヵ月は絶対安静の上体力のつく料理を嫌ってほど食べてもらいますからね!」
「それで一ヵ月はちょっと大げさじゃない?」
「……それだけじゃありません、マータ様には未知のダメージがあります。回復魔法や静養が効果があるかは分かりませんがそれの軽かも確認を含めての一ヵ月です、長くなることはあっても短くなることはありませんから覚悟してくださいね?」
「そう」
未知のダメージと言うのは最後の魔王からの攻撃だろうね。
自分のダメージを無視、さらには周囲の警戒を怠るほどの無警戒、それほどまでに私は彼女を許せなかったのだろうか?
分からない、彼女の行動、彼女の言動、そして彼女の意志と闘志が私を燃え上がらせた。
そうとしか言いようがない戦いだった。
また会うことがあれば今度は嫌味を言いながらお茶を飲むくらいは出来る。
だけどまた同じ状況になれば私は同じように戦うでしょうね。
「ところで」
「はい」
「私の名前で呼んだわね?」
「あ、すいませんつい」
今はさっさと体を治す方が先だ。
この先出会うかどうか分からない彼女のことを考えていてもしょうがない。
「良いのよ別に……これからはそう呼んで頂戴」
いつもお読みいただきありがとうございます。




