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ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第三章「聖女であるか聖女になるか」
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90歩目「脱出」

 生き物と言うのは予想外の出来事に弱い。

 海を泳いでいた魚がいきなり陸へと打ち上げられれば混乱するし、雪を知らない獣が雪を初めて見た時は警戒する。


 人間の場合はそれでも指揮をする人間がいれば混乱は多少は治まる。

 たとえ指揮をする人間が事態を把握して居なくとも

「仔細無い、いつも通りに動け」

 と胸を張って支持をすれば人は意外と動けるものだ。


 つまり今の教会内の混乱は混乱を修める指揮官の不在と予想外の出来事にあるらしい。

 というのが逃げながら周囲を観察したマルスの感想だ。


 本来ならば小競り合いさえ起きることのない教会内で起きた派手な殴り合い、それに加えて夜間だったこともあり指揮能力のある人間の多くが就寝中、万が一に備えていた者たちも真っ先に事の発生源、つまり領主の部屋へと向かったらしい。

 この場で右往左往しているのは何も知らない騎士やシスターたちばかりだ。


「聖女様は礼拝堂におられます、至急人を集めて救援を」

「お、おう、承知した」

「負傷者を救助しております、皆さまも騎士様と一緒に」

「は、はい直ちに」


 マルスがシスター姿の木乃美を担いで移動していても、このように言って回れば怪しまれない。

 一切礼拝堂に聖女がいることも、負傷者(ゲロ女)がいることも嘘ではない。


「君、彼女をどこへ連れていくんだ?」

「中ではまだ戦闘が継続しています、負傷者は一旦聖堂内から退避させよとの聖女様の指示です」

「承知した」


 門番ですらあっさりと道を開けてくれたので逆にこれは罠なんじゃないかと思い始めてきたマルスであった。


 大聖堂の外周部、そこでは出立の支度を整えたラドリオが馬車を止めて待っていてくれた。

「……無事ではないみたいだな、まあ五体満足なら何よりだ」

「この国を出る準備は出来ているか?」

「宿も引き払ったし、それに、マルスの坊やに言われた物も買い占めておいたぜ? 店じまい寸前だったから安くたくさん仕入れられた……けどこんな物何に使うんだ?」

「木乃美の治療用だよ」


 ラドリオが買い占めてきた者は、周囲に出ていた屋台の売れ残りだ。

 割と遅い時間まで屋台を開いている彼らだが、それでも店じまいはする。

 それに販売している者は串焼きもお菓子にしても日持ちがするものではない。

 余ったものは廃棄するしかないのだ。


 それを割安とはいえまとめて買い上げてくれたのだから、彼らにとってはラドリオは本日最高の良客だったことだろう。

 マルスがこれを買い占めておくように指示したのは、十中八九聖堂内で戦闘があることを見越してだった。

 流石に聖女本人とボロボロになるまでキャットファイト(ガチの殴り合い)をするとは思っていなかったが。


「もうこの街に用はない、さっさと脱出しよう。教会騎士団とやらが出張ってきても面倒だ」

「そうだな、脱出といこう。次の目的地は帝都だな」

 ラドリオはジェニファーを操り静かに広場を出ていく。


 教会連中が侵入者が誰か気づく頃には三人はとっくに道の彼方だろう。


いつもお読みいただきありがとうございます。

やはり戦闘があると読んでくれる人が増えますね。

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