表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第三章「聖女であるか聖女になるか」
215/327

90歩目「痛み分け」

『Side マルス』


「はぁ……くそ……どこまで行ったんだ?」

 聖女たちが肉体言語を駆使している頃、マルスは所々に残る戦闘の残滓を追いかけながら必死に階段を駆け下りていた。

 戦いの後のあまりの激しさに皆が呆然しており、マルスは咎められることなく礼拝堂までやって来ることができたのは不幸中の幸いであろう。


 マルスが礼拝堂に飛び込んだ時はちょうど決着の瞬間であった。

 白の拳にめり込み、聖女が苦悶の表情を上げながら白の顎を打ち上げる。

 

 不味いと反射的にマルスは思った。


 マルスの目から見て白のタフさは彼女の人格内で随一ではある、だが人間には限界と言う物があるのだ。

 白は礼拝堂の天井近くまで打ち上げられそのまま落ちてくる、あの高さから頭から落ちるようなことがあれば間違いなく即死だ。

 そうなれば木乃美が出てきてしまう。

 対して聖女の方は脇腹を抱えて蹲っているが未だ戦意は衰えていない。


 白の戦闘でかなりの貧血状態にある木乃美では逃げることすら難しいだろう。

 そう思った瞬間、マルスは聖女に向かって駆けだしていた。


「……だけど、これでとどめを刺して終わりよね」

「そうはさせん」


 迷いなく自身の能力を解放する、その一撃は肉体でも精神でもなく魂その物を砕く必殺の一撃。 


 『魂砕き』

 『比肩されざる盾よ』

 

 今までにない手ごたえにマルスは数歩後ずさった。

 今までの魂砕きはそれこそガラスを殴ったかのようなあっけない手ごたえなのに対して、聖女の防御魔法越しに叩いたそれはまるで教会の鐘を殴ったかのような重く、しかし動くものを殴った手ごたえ。


「う……なにこれ……」

「意識があるだと!?」


 マルスは知らないことだが、聖女の使った防御魔法は単体最強の『万能』障壁だった。

 この万能は本来『他属性物理含む攻撃を何でも防げる』という意味なのだが、どうやらこの万能はマルスの攻撃に対しても通用したようだ。

 効力が完全に現れなかったためかマルスに対する反動も小さく、聖女も魂を砕かれるまではいかなかったようだ。


 そうはいっても得体の知れない魂への攻撃に、聖女の体と精神は様々な不快感を訴える。

 聖女は何度も吐き気とめまいと悪寒で一歩も動くことができなくなっていた。


「……オロロぉ」


 聖女が人間噴水になったことを確認してしまったマルスは目をそらし木乃美の元へと駆けつける。

 案の定落下の衝撃で白はこの場から退場していたようだ。


「動けるか?」

「分からないよ……凄く寒い」


 まるで幽霊のごとく青白い顔になっている木乃美にどうにか肩を貸すことで、ゆっくりではあるが二人はこの場を後にした。


 予期せぬマルスの介入があった結果二人の戦い、至高天対魂の魔女の戦いは痛み分けと言う形に終わった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

あと数話程度挟んで新章となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ