86歩目「聖女の物語4」
書いている途中に少しトラブルが起こりました。
最後の方が変になっている場合は少々お待ちください。
「そこで何をしているんだい?」
この世界に落とされ当てもなくさまよっていた少女は聖都にたどり着いた。
この世界に落とされる際神から聞いた言葉は
「お主の好きに生きるがよい」
だったが、彼女には何をどうすればいいか既に分からなくなっていた。
そんな折に、お忍びでで歩いていた領主、当時の公王に出会ったのだ。
「君も英雄だったのか」
あまりにも生気のない瞳をしていた彼女を公王は自分の城、大聖堂に招き入れたのだ。
「君の名前は?」
「……八号です」
「それは名前とは言えないな……今度きちんとした名前を考えよう、見習いシスターさん」
少女は見習いシスターとして働くことになる。
元より潜入任務のために人当たりは良くすることができるし、何より彼女は要領がいい。
あっという間に彼女は周囲の人気者になった。
今までは誰かを害した時や壊した時にしか褒められなかったが、今はちょっとしたことで褒められる。
感じたことのない感覚が彼女の中を埋めていく。
次第に彼女は明るく自然に感情を出すようになっていった。
嬉しいことは続く、彼女の能力は癒しの力であった。
最高峰の聖なる力の使い手、彼女の力で怪我が治り病気が治る。
彼女は次第に求められるようになった。
「君の名前が決まったよ……これからは聖女、聖女マータと名乗ると言い」
「マータ……分かった、今日から私は聖女マータよ」
こうして彼女は聖女となった。
しかし良いことは続かない。
帝国の進撃が始まったのだ。
機械の力で領土を広げる帝国に対して、当初教会騎士団はマータを含め徹底抗戦を主張した。
最強の剣、剣聖と最強の盾、聖女マータの力をもってすれば勝てる。
誰もがそう思っていたのである。
しかし公王自身がそれに待ったをかけた。
「戦えばおそらく君は勝てるだろう、だけどそのせいで多くの人が死に苦しむんだ……」
「……確かにそれは私の望むところではないわね……それにおじ様がそう望むならば」
恩人のつよい説得により聖女が折れ、最終的に公国は帝国の支配下となった。
それでも彼女は公国の、おじ様から受けた恩を忘れることはない。
この恩に報いるためならば彼女はなんだってするだろう。
恋愛感情と言うには苛烈で親愛と言うのは親密な、まるでひな鳥が親鳥の後をついて行くような感情。
彼女が生まれたのはこの世界ではない、それは間違いないだろう。
だが聖女マータが生まれたのは紛れもなく、この公国であり聖都であった。
この街のためならば彼女は彼女は喜んでどんなことでもするであろう。
たとえ誰からも感謝されることがなかったとしても。
いつもお読みいただきありがとうございます。




