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ナインライフス~不幸な少女と最弱魔王~  作者: 狐狗猫
第三章「聖女であるか聖女になるか」
203/327

78歩目「人任せに出来ない性格」

・・・

『Side ラドリオ』

 時間はサビオリスが聖女に報告に行った少し前にさかのぼる。


 時刻は既に夕暮れの中、マルスと木乃美は服を着替えてラドリオと合流してきた。


「……これだけまたされて収穫なしかよ……泣けてくるな」

「……」

「俺は真面目にまっていたのになー」

「……その割には楽しそうだな」


 一人待たされることになったラドリオは聖堂の見えるベンチに座っていたらしいのだが、周囲にはそのあたりの店で買ってきたであろう食べ歩きに最適な串焼きやらお菓子やら、お酒と思われる瓶もみえる。

 一応分別して紙袋にしまうことで隠してはいるつもりらしいが一人で随分エンジョイしていたようだ。


「おれが必死に芋を洗っている間、お前は酒飲んで串焼きを食べてたってか?」

「お、おう……仕方ないだろう、暇だったんだからさ」

「……私たちの分は?」

「……ぁ」

 木乃美の何気ない一言に、ラドリオは形勢の不利を悟る。

 

 マルスのにらみつける様な視線と木乃美の感情の良く分からない視線をぶつけられ、ラドリオの頬を一筋の汗が流れた。


「すみませんでした」

「分かればいい」

「それで、ラドリオさんは何か情報は手に入れました?」

「お、おう、そっちはどうだった?」


 ラドリオが新しく買ってきた串焼きを手にしながら三人は情報を交換する。

 といっても一日ここに座っていただけのラドリオには精々串焼き屋のおばちゃんとの世間話程度しか情報がないが。


「……元王様が黒幕ねえ……そこまで大物だとは思わなかったな」

「ああ、それでこれから先どうするかって話だが」

「そりゃ後はシスターのお嬢ちゃんに任せるしかないだろう。顔も分からないお偉いさんには流石に喧嘩は売れないな」

「俺もそう言っているんだが……」

 マルスの視線が、アツアツの串焼きに苦戦してフーフーと息を吹きかけている木乃美に移る。


「本気か」

「人任せにはできないとさ」

「どっちが説得するんだ?」

「これで決めるか」

 マルスがとりだしたのは銀貨、この国で発行された物らしく表面にはいかつい髭の男性が描かれている。


「……これどうしたんだ?」

「ああ、教会内で聞き込みしている最中にお駄賃としてな……どうかしたか?」

「いや……串焼き屋のおばちゃんが、この国……というかこの聖都の銀貨は王様の顔が記されているって言っててな……この顔だが見たぞ?」

「あちゅ……本当ですか!?」

 ラドリオの言葉にお肉にかぶりついていた木乃美が、顔にソースをつけたままラドリオに詰め寄る。


「これでも目はいい方でね……あの窓の位置だ」

 苦笑いしながら口元を拭ってやりつつ、ラドリオは教会の上層部、一つだけ離れた部屋と思しき窓を指さす。


「この距離から顔が見えたのかよ」

「目が良くないと竜乗り(ドラゴンライダー)なんてやってられないんだよ」

「……二人ともまた手伝ってくれる?」


 すっかりそこへ行くつもりの好みに対して、ラドリオはマルスと顔を見合わせて苦笑しながら首を縦に振って返した。


いつもお読みいただきありがとうございます。

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