シュラバナ王と鬱金
鬱金としばらく話をした後、虎杖が城内を案内してくれることになった。正直他の人にお願いしたい。
「そう言えばこの城は女性が少ないですね?」
むしろ見かけないね、と鬱金に向かって何の気なしに立花が言うと物凄く悲しげな顔をされた。
あれ? いっちゃいいけなかった? と立花は戸惑う。
「女なんて煩いだけだろ?」
虎杖の言葉は冷たい。
「そう、ですか? 個人差の方があると思いますが……」
「確かにね、前にレオモレアから来た男は煩いだけだった。あれなら女の方がマシだね」
女の方がマシとは虎杖にとって最下級の評価である。一体誰を寄越したのかと鬱金は疑問に思う。
「まぁ、あんなのが相手じゃ仕方ないけど、桐生はどうして王になろうとしてるんだい?」
「さあ? 俺如きでは分かりませんが、安心して負けてられないとは言っています」
クスクスと虎杖は笑う。
「まぁ、あれを見れば統治が下手なのは誰にでも分かるね。安心して負けられないか、その点桐生は負けても安心だろうね?」
「そう、ですかね? 特に酷くはないと思いますが」
「謙遜するねぇ。もう少し誇ってもいいんだよ? この私が戦いたくないと思うぐらいには君達のやり方は出来上がっているよ? ただ、全く美しくはないけれど」
「ウチは田舎者ばかりで美しさとか分かるものがいませんから」
「絶対にこの私と同じ舞台で戦わないからね、まぁ、鷲尾が警戒する程度には頑張っているよ。一応は味方の自国相手にも容赦しない所とか好きだし」
「何かしているのですか?」
疑問に思った鬱金は立花に聞いてみる。
「……別に特別なことは何も? 強いて言うなら、買占め?」
「今回ウチに融通してくれたのは、それで余ったからだろう?」
「ええっと……はい、すみません」
ごまかす事を諦めた立花は丁寧に謝罪する。
「いいんだよ。使える物は何でも使わないとね、でも立花君? 君少し正直過ぎるよ?」
「すみません」
「フフ、でも本当にエゲツないよね? 兵糧攻めは古典的だけど、やり方としては最悪の部類だよ」
「すみません、ウチは兵糧攻めとか懐柔とか最低の方法を使わないと勝てないので……」
「思想があってやってる様にも見えるから、余計質が悪い」
「はい。人気取りです……」
「領主に厳しく、領民に優しく、かい?」
「……領主は邪魔なものですから……」
「まあいいんだけどね、追加の要求は鷲尾から聞いて。それを受け入れてくれるなら、今回は傍観してあげる」
「ありがとうございます」
「暫くはゆっくりしていきなさい」
「はい」
「鬱金もだ。一人だけ帰ったりしたら許さないよ?」
「心得ました」
こうして立花のシュラバナ王との話合いは終わった。
「怖かった……。何であんなにうちの事知ってたんだろう……」
「桐生軍は新世代と呼ばれてますからね…」
「新世代?」
「ご存知ないですか? 金に物を言わせて戦に勝つなんて昔は考えられませんでした。今まで誰も使っていない手なので対抗策がないんですよ。最も出来ることろが殆どありませんので、これに対する最善手は争わない事ですが」
「へえ、知らなかった」
「立花様は実際にやってらっしゃる立場ですよね?」
「だって初めからやってたし、」
「桐生軍はどうやって稼いでいたのですか?」
「……知らない……でも今考えると昔からやたら金と情報はあったなぁ……昔からみたいだから、なんか特別なルートがあるんだろうなぁ」
「立花様も知らされてないのですか?」
「俺文官だし、機密系ことは分からないよ」
「そんなもんでしょうか?」
鬱金の国では文官も機密には関わっていたし、軍部内に専門の文官は居なかったが桐生軍では違うのかもしれない。




