6.精霊の神子
魔力測定から数日後。
「神子様、おはよう」
「神子ちゃん、今度魔法教えてよ。」
何故かこんな事に為っている。何でさぁ。ただ、魔力の測定しただけだよ。ねぇ、おかしいよね。
『お母さん、大丈夫?』『ママ、元気出して。』『母様、元気の方が良い?』『そうね、御母様は元気の方が良いわ。』『マーは元気。』
それもこれも、この子達のせいだ。
▼▼▼▼▼▼
時間は戻り、魔力測定のあった日。
「せ、精霊様が顕現なされたぞ。」
『え、えェェェェェェェ!?』
どわ、びっくらこいた。何々、なんでみんなそんな驚いてるの?てか、精霊ってどこどこ、私も見たいんだけど。
『お母さん』『御母様』『ママ』『マー』『母様』
ん?おかしくないか?コレ、今私の事、お母さんとか言わなかった?てか一人中国語混じってる。
そんな私の、心の内でのツッコミを知らない他の人達は、この子らの言葉に過剰に反応してきた。
『お、お母さん!?』
「うお、ビックリした。」
「そんな事より精霊様のお母さんってどう言うこと。」
「さすがはアリア。精霊様の親になるなんて、只者じゃないね。」
そうだよね。いきなり現れた存在が知り合いを母様扱いしたら、さすがにビックリするよね。てか私もビックリしてるよ。それと、リリスちゃん、私の何がさすがなの?
ん?、コレが精霊なの?。なんか思ってたのと違うなぁ。漫画とかゲームとかだと、もっと妖精に近い外見だったし。まぁ、この光の玉がこの世界の精霊なんだろうって事で納得しよう。
そんな事よりも重要な事があるしね。
だいたいなんでだよ。「親」ってどう言う事だよ。私、前世 (って言って良いのか?)でも子供はおろか彼氏すら居なかったのに、なんでいきなり精霊の親なんだよ。
『母様の魔力で』『僕らは産まれたの』『だから御母様です。』『...だよね』『マーなの』
はは、さようですか。
「おお、精霊をお産みになるとは。貴女は伝承に出てくる精霊の神子様の生まれ変わりなのでしょう。」
なんだろう。私の横で教員がむっさ喜んでんだけど。あはは、もうなるようになれよ。
▼▼▼▼▼▼
以上が回想である。
あの後、偉い人(理事長&学院長)と面談させられるわ、他の学生達にはもみくちゃにされるわで心身共に疲れはて、家に帰れば御父様と御母様、リース達へと説明しなくちゃだし。
もう、ダメだったよ。部屋に入るなり、ベットへとダイブだった。
翌日には私は学院中から《精霊の神子》として認識される出来事として、臨時集会が開かれ学院長の奴が大々的に発表、再びもみくちゃにされると言う状態になるし。機会が合ったら、全力で殴っちゃる。
そして、本日《土の日》。
私の気分は少しだけ盛り返していた。何せ...
「明日はお休みだぁ!!」
『『『『『お休みだ』なの?』ね』だよね』』
そう明日は学院に入って、始めての休日なのだ。
人の噂も75日。少しでも人目に付かない日があるのは、はた迷惑な状況にある身としてはありがたいのだ。
この世界は1週間が6日で、精霊にちなんだ曜日が設定されている。すなわち、火、水、風、土、光、闇の日の6日間だ。ついでに、光と闇の日がお休みである。
え?魔法は4属性じゃなかったのかだって。うん、前にも言ったけど魔法は4属性に別れているよ。あくまでも、初級中級わって注釈はつくけどね。だいたい、精霊が4種しかいないとは一言も言ってないしね。
だいたい、私だって白餡から聞いて始めての知ったんだよ。
『ママ、呼んだ?』
「いやいや、呼んでないから。」
この子達、私の考えてる事がわずかながら通じるのか、たまにこう言う事がある。
それと、白餡は光の精霊の事だ。他の精霊達にも名前をつけたんだ。そろそろお前とかこの子とかじゃ自発性が鍛えられないと思うんだよ。
火の精霊...イチゴ (イッちゃん)
水の精霊...ブルーベリー (ベリちゃん)
風の精霊...緑茶 (みーちゃん)
土の精霊...烏龍茶 (うーちゃん)
光の精霊...白餡 (しろちゃん)
てな感じだよ。
最初は戸惑ったけど、こうして一緒にいると意外と可愛いし楽しい事が解ったので今は、この子達それなりにやって行けると思っている。...って、それは横に置いておいて
「今は初の休日の予定を決めるんだった。」
『決めるよ!』『決めるの?』
しろちゃんは良いけどうーちゃん、なんでこの子はいつも疑問符をつけるんだ?今度聞いて見よ。
「うーん、入学前にプリンを作ったけど、今度は何を作ろうかな。」
結局御菓子作りかって?そんなの決まってるじゃない。何、もしかして、私がミントちゃん達と何処かに遊びに行ってキャッキャウフフなのを想像してた。
まぁ、それも悪くないわね。でも、入学して初の休日でそれはさすがにねぇ。仮にも私達貴族だよ。気軽に外に遊びに行くって出来ないよ。
それならおとなしく家で、なにかするしかないよね。
「あ、アリアちゃん。良かった、まだ教室にいてくれた。」
「あれ?ミントちゃんとリリスちゃん。...どうかしたの?」
さっき教室から出て行ったから、もう帰ったと思ったよ。
でも、教室に戻って来たって事は私になにか用でもあるのかな?まぁ、私に出来る事なら断る気は更々ないよ。
「じ、じつわね...」
な、なに、この緊張感。ちょっとミントちゃんが恐いんだけ。それに、顔近い、近すぎだよ。
「な、なにかな。」
「わ、私にプリンの作り方、教えて欲しいの。」
「ついでに私にも。」
なんだ、そんな事か。ふふ、二人供プリンがよっぽど気にいったんだね。まさか、作り方を習おうと思う何てね。
「もちろん、良いよ。」
むしろ、ウェルカム。ようこそ、甘美なる御菓子の世界へ。プリンだけじゃなくて、機会があれば別の御菓子の作り方だって教えてちゃうよ。
「「ほ、ホント!?」」
と言う事で休日は二人にプリンの作り方を教える事になったのだった。
ベリちゃん「明日は御母様がお出かけになるみたいです」
イッちゃん「お母さんのお友だちといっしょだよ」
みーちゃん「マーとお出かけ」
うーちゃん「お出かけなの?」
しろちゃん「盛り上がってるけど、ママ達に迷惑かけちゃダメ」
しろちゃん以外「ハーイ(なの?)」
精霊ちゃん達は後ろでこんな感じで盛り上がってましたとさ。そして、いつの間にかしろちゃんがまとめ役に。
次回はみんなで御菓子を作るよ。