4.プリンを食べる
更新遅れました。
最近眠くて眠くてたまりません。ねむねむですよ。
プリンを作った翌日。
余分に作ったプリンを一つ、小箱へと入れ、保冷魔法材を持って学院に向かった。
今日の私は、昨日に引き続きテンションが振り切っており、クラスメイト達から変な目で見られたけど、気にしない。
「おはよう、アリア。なんだかご機嫌だね。」
「あ、おはよう、二人供。」
教室に入るとミントちゃんとリリスちゃんが挨拶しに来てくれた。
私なんかと比べ物にならないぐらい、可愛い女の子を朝から見る事が出来て眼福眼福。まぁ、リースとか御母様とか、もっと可愛い人も見てるけどね。...あれ?私の周り可愛い女の子、多くない?
なんだか考えてはいけない気がするから、考えない。
「ふふ、そんなに魔法の授業が楽しみだったの?」
「あはは、実はそうなんだ。楽しみにしすぎて、胸がドキドキだよ。」
「もう、今からそれだと、今日一日身体もたないよ?」
魔法の授業が楽しみと言う気持ちは確かにある。何せ、元の世界にはなかった物だ。それに、誰もが一度は憧れる魔法を実際に、自ら使う事が出来ると言うなら、なおさらだ。
「ああ、楽しみだな。」
「もう、アリアちゃんったら。」
なおも、うかれている私を見て、二人は苦笑を浮かべていた。
▼▼▼▼▼▼
時間は進み、魔法の授業が始まった。
よぼよぼのお爺ちゃん先生 (推定、60歳ぐらい)が黒板に板書しながら、説明をしている。
「...で、あるからして、魔法とは精霊の力であり、我々は、彼女達への敬意を忘れてはいけないのです。」
初っぱなから、宗教臭が凄いです。
え?魔法って精霊信仰か何かですか?なんだか、やたらめったらと難しい事を並べ立ててるけど、要は精霊様を大事にしようねって事だよね。まぁ、無神論者の私とは言え、迫害なんてするつもりはない。もちろん、信仰するつもりもない。
この間も、魔法の基礎部分の説明は続き、魔法は風、火、水、土の4属性に別れ、それぞれの精霊達へと自身の魔力を渡して、魔法を発現させる...と言うだけの説明を午前中いっぱいかけて、説明された。
お爺ちゃん先生、同じ事何度もリピートしすぎだ。
「ええ...それでは、午前中の授業はここまでとします。午後は、室内運動場へと集まって下さい。」
そう言い残すと、そそくさとお爺ちゃん先生は教室を後にした。
先生がいなくなると、教室室内が騒がしくなってくる。待ちに待った昼食の時間だ。
「さぁてと...」
「アリアちゃんも食堂に行くの?」
「ええ、今からお二人を誘おうとしていたところです。」
ちょうどミントちゃんとリリスちゃんが私の席へとやって来たので、いっしょに食堂へと向かう。今日から御母様特製のお弁当を持って来ているので、今から楽しみで仕方ない。もちろん、自作プリンの味も気になるところだよ。
この魔法学院は、基本的に飲食が禁止である事もあり、昼食時は飲食が可能な場所へと生徒達が殺到する。その1つがこの食堂だ。
え?昨日も食堂へ来たって?それはね。この学院には食堂がいくつかあって、昨日の場所は少人数でお茶を楽しむ為の場所、いわゆる、カフェ。ついでに、今いる食堂はカフェテリア方式だ。
「席が空いてて良かったね。」
「そうですね。」
ココ以外にも、食事をとる事が出来る場所はあるとは言え、この食堂は値段のわりに料理が美味しいと有名で、席の倍率がすこぶる高く、現世で言う場所取りまがいの事をして通貨を受け取る平民もいるぐらい人気がある食堂なのだ。
もちろん、このときの私たちはそんな事、知りもしないので、楽しく昼食をとりましたとも。
「ところで、アリアはデザート頼まなくて良かったの?」
「ダイエット?」
「えへへ、うん、大丈夫だよ。だって自分で作ったのを持って来たんだからね。」
あれ?二人供固まちゃったよ。ところでリリス。私ってダイエットが必要なぐらい太って見えるの?ね!もしそうなら、どうしよう。御菓子を止める事なんて出来ないよ、私。運動量を増やすしかないのかな?
「...その発想はなかった...アリアって貴族らしくない。」
「...うん、お手伝いさんにじゃなくて自分でだもんね。ビックリしたよ。」
「そうかな?」
そうなんだよね。うちって御母様も普通に家事をしているから、私も手伝いとか普通にしてたけど、一般の貴族って普通、執事さんとかメイドさん任せただもんね。それを考えるとうちって一般貴族から外れてるのかな?
まぁ、そんなことよりも今はプリンだよ、プリン。せっかく持って来たのに食べないのはもったいないよね。
パンが乗っていたお皿をハンカチでパン粕をキレイにして、持って来たプリンを器から移します。皿に出たところでプルプルと揺れる黄色と茶色の姿とその対比がたまりませんな。
「...ね、ねぇ、アリア......それ、なに?」
「なにって『プリン』。」
ああ、やっぱりこう言う反応になるか。まぁ、初めて見るだろうし、そうなるよね。二人供、皿の上でプルプル揺れるその姿に興味深く見つめているけど、得体のしれない食べ物に少し警戒しているのがわかる。
もお、そんなに警戒するような物じゃないのに...しょうがない、ここはさっそくいただくとしますか。
料理といっしょに運ばれて来ていた食器から、予備のスプーンを取りだし、プリンを切り取る。切り取られたプリンはスプーンの上でなおも揺れ、食べる者を楽しませている。
「いただきます...ハム。」
モグモグ。
ん~、キャラメル部分は問題ないけど、プリン本体の方にスが少し入ったのか口当たりが少し悪いわね。少し蒸す時間が長かったかな。あと、お酒はもう少し少なくても良かったな。まぁ、その辺は、追々手直ししていくとして、今はこのプリンを楽しむとしよう。
「アリアちゃん、大丈夫なの?」
「口に入れてからずっと黙ったまま。」
あれまぁ、次の事考えてたら、二人に心配されちゃったよ。
「大丈夫だよ、ちょっと失敗してたから、改善点を考えてただけだから...それより二人も食べて見る?スが少し入っちゃたから、口当たりが少し悪いけどね、甘くて美味しいよ。」
「......なら...少しだけ」
「同じく」
二人へとプリンを差し出す。
二人は恐る恐る予備のスプーンをプリンへと伸ばし、すくう。スプーンの上でプルプルと揺れるプリンに二人はおっかなびっくりと言った感じだったけど、意を決したのかプリンを口の中に運んだ。
「「あむ......モグモグ。」」
プリンを口に含んだ瞬間、二人の目の色が変わった。目尻は下がり、とろ~んと蕩けた顔をしている二人。失敗したプリンでこんなに喜んでくれるなら、今度はちゃんとしたプリンを是非とも食べていただかなければね。
なんて事考えてたら、いつの間にか二人供、次々にプリンをすくい口の中へと入れて行ってしまう。私のプリンがみるみる内にプリンが減って行くよ。
「...ちょっ!?......二人供ストップストップ。無くなっちゃう、私のプリン無くなっちゃうから。」
「「...ハッ!?」」
止めた時には、時すでに遅し。お皿の上のプリンは全て二人のお腹の内へと消えてしまった。わ、私のプリンが......ガックシ。
「ご、ゴメンね。あんまりに美味しくてつい。」
「ご馳走様、初めての感じが良かった。」
あはは、二人が喜んでくれているなら、私も満足だよ。例え私が一口しか食べてなくてもね。はぁ~。
「元気出してアリアちゃん。私の分あげるから...ね。」
「私の分も贈呈する。」
「あはは、二人供。ありがとね。でも、こんなに食べきれないからみんなで食べよ。」
落ち込む私を気遣ってか、二人が私の前に自分の分のクッキーを差し出してくれた。でも、口直しのクッキーとは言え、食後に二人分はキツいから、それをみんなで別けて食べた。
午後の授業が始まる前......
「そう言えば、プリンまだ家に有るじゃん。」
って事を思い出して、機嫌が良くなるアリアであった。
次は早めにあげられたらいいなぁ。....zzz