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にっき  作者: コスミ
Moving!
48/51

森博嗣エッセイ(?)『実験的経験』的な形式

なぜか日没を見送る習慣がつき始めている。日光浴。これで葉緑素が作られると面白いのだが、人間は日焼けすることになっている。どこかのサイトで、「人間が日焼けするというのは、地球の環境に適応できてないということであり、遺伝的には宇宙由来の存在である証拠だ」といった話を読んだ。そこに続けて、人間の体内時計は一日25時間(ほぼ火星の一日の長さ)である、とかなんとか。


火星の夕焼けは青いらしい。となると、火星人は、青い光を浴びているとリラックス睡眠モードに頭が切り替わるのではないか?

地球にいたら、日中に眠くなってしまうだろう。

もし、地球人類の遺伝子が火星人の影響を受けているとしたら、実にアゲインストな状況である。なるほど、アメリカで火星移住の片道切符に応募が集まるわけだ。






Q なぜ、小説を書くのですか?


Q 逆に、なぜ書かないのですか?


Q 聞き返さないでいただけますか?


Q どうしてですか?


Q 質問に対して質問を返されては、ご覧のように、Qが連続してしまって混乱して、元の質問がわからなくなってしまうでしょう?


Q そうなると、何か問題があるのですか?


Q いい加減にしていただけますか?


Q 質問が連続しすぎているため、どの点についておっしゃっているのか教えていただけますか?


Q 全体的に、です。


Q 質問でもないのにQをつけないでいただけますか? 混乱してしまいます。


Q どの口が言うのですか?


Q 当方の口は単一です。どの口かと迷う必要はないと思われます。


Q 電池ですか?


Q はぁ?


Q それと先ほど、質問ではないのにQをつけておられましたが、どういうことなのでしょうか?


Q どの口がおっしゃっているのですか?


Q 質問に答えていただけますか?


Q わたしはQなので、発言するときは全て、すなわち質問でなくとも、頭にQをつけて何ら問題ないと思われるのですが、いかがでしょうか?


Q Qという名前なのですか?


Q 名前ではありません。


Q では商品名ですか? 電池の。


Q 違います。圧倒的に違います。


Q では、何なのですか?


Q Questionではない、とだけ申しておきます。


Q もったいぶらないでいただけますか?


Q もったいぶる、とは、どのような状態を指していうのでしょうか? そもそも、もったい、とは?


Q 知りません。


Q 頭にQをつける以上、質問形式でお願いします。


Q Questionではないとしたら、では、一体なんなのですか?


Q Queenです。


Q 本当ですか?


Q 確かめる術はないでしょうが、本当です。


Q 信じられません。


Q 当方、信仰の自由は侵害いたしません。ご安心ください。


Q 安心できません。むしろ不安です。


Q 当方、心境の自由も侵害いたしません。どうぞ、お好きな心境で。


Q 好ましくない心境なのですが。


Q 物事の好悪こうおについてもまた自由です。


Q 自由がお好きなのですか?


Q どちらかといえば嫌いです。


Q ところで、あなたがQueenだとしたら、あなたの発言に対しての適切な返答者は、どのような頭文字を冠しているのでしょうか?


Q Aです。


Q え?


Q え、ではありません。エィです。


Q Aですか? アルファベットの?


Q アルファベットではないAというものがあるのでしょうか。


Q 脚立を横から見たときの様子を象った象形文字です。


Q どういうタイミングで使うのですか?


Q Aとは、なんですか?


Q 聞き返しましたね。


Q 返したというより、戻したと解釈していただけますか?


Q Aとは、すなわち、Answer……ではありません。


Q では、脚立ですか?


Q 脚立に返事を要求する女王というものを、あなたは想像できるのですか?


Q 今しました。


Q 不必要です。圧倒的に。


Q Answerではないとしたら、なんなのですか?


Q Aceです。


Q エース? ……はぁ、ということは、トランプですか。


Q トランプという言葉は本来、切り札の意です。なのでトランプではなく、カードとするのがより正確だといえるでしょう。


Q 紛らわしいですね。


Q 何がですか?


Q あなた全般です。


Q それはお互い様と言い得ることはできないでしょうか?


Q できないでしょう。こういう形式では、Queenなどというあなたの存在は圧倒的にマイナーです。


Q マイナーですか。あまり好ましくない言葉です。マイノリティと言い換えてよろしいでしょうか?


Q 別にかまいませんが、その紛らわしさ自体が軽減されることはありませんので、そこはご認識のほどを。


Q そんなに紛らわしいものでしょうか?


Q 逆に、紛らわしくないと思えるのですか?


Q 心頭滅却すれば、なんとか。


Q ものすごく精神的なコストが必要なのですね。


Q 度合いや量に関する感覚は人それぞれでしょう。


Q いい加減、Aceとやりとりをなさったらいかがですか?


Q 相手あってのことですので。


Q Aceのほうが格上なので、あなたは主導権を持っていないと?


Q そういう価値観で塗り固めて、私どもをゲームの戦場に駆り立てることについて、良心の呵責といったものはお感じになられますか?


Q 怒りましたか?


Q それはこの世で最も不愉快な質問ですね。


Q 最も、かどうかは疑われます。


Q そうおっしゃるあなただって、今まさにAnswerに待ちぼうけを食らわされているのではありませんか?


Q もう、慣れていますので。


Q 本当ですか?


Q ええ。


Q 本当に、心の底からそうおっしゃっていますか?


Q しつこいですね。本当です。もう慣れっこです。


Q 当方どうも信じられません。本当は、待ち焦がれて、待ち焦がれて、狂おしいほどなのではありませんか?


Q そういった情動に乱され、本来の使命を見失わないようにと万全を期して、然るのちに今ここにいるのが、この、Qなのです。


Q しかしAが来ない。


Q そういうこともあるでしょうね。


Q つらくは、ないのですか?


Q 質問の意図がわかりません。


Q 質問形式でおっしゃってください。


Q もう、黙るか去っていただけませんか?


Q Aが来ない内は、当方、どちらも受領しかねます。


Q そんな事を言って、もし、ずっと来なかったら、どうするのですか?


Q そういうこともあるのでしょう?


Q それはあまり好ましくない状況です。


Q 何か、質問はありませんか? 当方の答えられる範囲で、お答えさせていただきますが。


Q では、何を質問したらよいかを教えてください。


A それはあまりにも自由すぎる質問だ。


Q えっ!?


Q ええ!?


A 私は「えっ」でも「ええ」でもありません。


Q では、誰なのですか?


A あなたは誰ですか?


Q Aにまで聞き返されるなんて……。


Q 全くです……ここは地獄ですか?


A 紛らわしいですね。一体どちらの発言に対応したらよろしいのか。


Q あなたは誰ですか?


Q あなたは誰ですか?


A 妙な一体感ですね。あなたがたは、どういった関係なのでしょうか?


Q 聞き返さないでください。


Q あなただけは、聞き返してはいけない。


A 失礼。では、質問をどうぞ。


Q あなたは誰ですか?


Q あなたは誰ですか?


A それは……誰でもない、とだけ申しておきましょう。


Q なんだか、めんどくさいですね。


Q これが同族嫌悪でしょうか、同感です。めんどくさいですね。


A あなたがたは忍耐力のない方たちだ。


Q 誰でもない、とおっしゃっています。ですからきっと脚立でしょう。


Q そうですね。当方も脚立だと思います。


A あなたがたは、何をおっしゃっているのですか? ちゃんと質問形式でお願いします。


Q 質問なのですが……忘れてしまいました。


Q 恐れながら、当方もです。


A そうですか。ここは地獄でしょうか?









ふなっしー「イリュ〜〜ジョン!!」


高く澄んだ叫び声が、撮影中の店内に響きわたる。

隣に座る青年が、人ひとりほどの大きさがあるその梨の妖精に顔を向けた。


ふなっしー「イリュージョン!」


二人の目の前のテーブルには、カレーライス。

カレーライス、二人前。


咀嚼を中断した青年の視線の先に、ふなっしーの手があった。

手……いや、それは、手と称するにはあまりにも簡便な形状だった。

腕部……いや、突起物。

せわしく動く双腕型の突起である。

その片方に、異変は起きた。


にわかに、しぼんだのだ。


まるで、皮だけになってしまったかのように、内部が失われてしまったかのように、……しぼんだのである。そして、もう片方の突起物もまた、しぼんだ。


ふなっしー「イリュ〜〜ジョン!」


黄色のカラーリングにふさわしい高音。その声に催促の色が帯びてくる。

見ると、例の、背中にある縦の線が開いている。後頭部のあたりである……。




やがて、ふなっしーは味の感想を述べた。

咀嚼中のカレーライスにさえぎられているのか、わずかにこもった声色である。

その表情は変わらず、微動だにしないままで。

いつも通りに、朗らかで、大きな表情。

ふなっしーは今、動かない。

突起物はしぼんだまま垂れ下がっている。

小皿に取り分けられたカレーライスは、彼の言うイリュージョンによって消失していた。

その行方や、いずこ……。


それは誰にも、わからない。


そう、ふなっしー自身にさえ、わからない……。


ふなっしー、彼は、一体何処へ行こうとしているのか……。



2013年、冬。梨の旬は過ぎ去った、冬。



ふなっしー「お・も・て・……なっしー!!」



2013年度、流行語大賞、ノミネート。

ふなっしー。

大賞の受賞は、逃した。


大きな背中が、物語る。

罪深きイリュージョンを背負った、背中。

ついにゴールデンタイムで食レポをこなした、背中。

梨の妖精、ふなっしー。

船橋市、非公認マスコット、ふなっしー。

妖精。その背中に羽根はない。

それでも彼は、飛び跳ねる。

羽根はない。しかし、その背中には、扉がある。

その先に待ち受けているのは、新たな可能性か、あるいは……。

誰も知らない未来へと続く扉を背に、ふなっしーは、今日もゆく。


その大きな瞳に、怪しく薄い、灰色の一部分

がある限り。


彼は、前を向いてゆく……。




〜♪(曲・歌、ふなっしー)





そしてオサムは、妖しく歪める。そう、その豊満な唇を……。


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