笑ってもらえたら、いいとおもう
もしもし?
ああ、どうもどうも、僕です。ありがとうございます。はい。ええ、いや、その日はあれなんですよ、ちょっと用事がね、ええ……本当に、これはもう僕の責任っていうか、そうしなきゃならないっていうか……ええ。見たいテレビがありましてね、ええ、ヒルナンデス。ええ、いや、やっぱり生のライブじゃないと……ええ、ですから。はい、今回のところはね、本当にもう心苦しいのですが……はい、あ、はい…………
もしもシリーズ
東より進みだす修験者、林修が、もしも、カリスマロックシンガーだったら……
暗転し、また弱々しくステージのライトが滲み出す。
淡い光に薄く煙るのは、地下聖堂にも似た、どことなくスパイシーでアブナイ生気のみなぎるライブハウス。
……キャアアアアーー!
やがてひとりの男の登場に、満場のブラッキーな女子たちが沸いた。彼女たちはスパーキーな思い思いのカラーを見てもらいたい一心で、その長い髪を歌舞伎役者のように振り始める。
修は、マイクを荒々しくセンタースタンドから奪う。そのスタンドがステージに倒れて派手な音を立てたのが合図となり、ファンたちは嬉声をフェードアウトさせた。
ウエットスーツのように親密な黒のレザー上下に、背後からガイコツに抱きつかれているかのような過激でパッショナブルなファッション。修は、その豊満な唇から、甘い甘い蜜を滴らせ始める。
それは魔術的な声色であった。
『オゥ、可愛い可愛いベイビーたち……』修は、世にもメルティーな眼差しで、じっくりと味わうように客席をくまなく愛撫していく。『……会いたかったよ!(噛みつくような囁き)』
ーーキャアアアアーー!!!
爆発的な、興奮。恍惚の振動が、その家をミッドナイトエクスプレスへと昇華させた。
『ベイビーたち……聞いてくれ……』
ファンたちの興奮は、イケナイ領域へと向かう欲求に突き動かされていた。まだ……もっと……、と。
歓喜のボルテージはハイポテンシャルから一向に下りていく気配を見せない。
ーーキャアアアアーー!
やれやれといった様子で修は横を向き、カクンとあごを上げて天を仰ぎ、ぺたんと片手で額をおおった。ねっとりと指にまとわりつく髪を、見せつけるように弄ぶ。その光景に、ファンの数人が、恍惚の夢の中へと意識をララバイした。
と修は、いきなりガバッと前へと襲いかかるように正対し、牙を剥く。
『いつ黙るか?』
今でしょ〜〜!
まるでマイクロフォンショッキングな、完璧なシンクロ。揺るぎなき絆。コール&レスポンス。
『さあ、もっと、見てくれないか。そして見せてくれ……』雄弁な右手はシルバーの星々でギラつき、カモンカモンと激しく振るわれるほどにファンの熱光線は一点に誘われる。『瞳を、その可愛い可愛い子猫の瞳を、このOSAMUに、見せてくれないか、Ah……そうだ、もっとだ、……アハン? 恥ずかしい? 余計に欲しくなるな……その、恥らいごと……』ファンたちの吐息がネオンに染まりながら漂い、やがて修の豊満な唇へと流れつく。舌がチロリとそれをララバイした。そして、妖しい眼差しから一転、カッと目を見開く。『……食べてしまいたいよっ!(噛みつくような囁き)』
ーーキャアアアーー!
わしづかみである。ファンたちの今にも昇天しそうな表情。修は、それを見て不敵に豊満な唇を傾ける。
『いつヤルか?』
今でしょ〜〜!
……ここまでが、だいたいいつものセットであった。この食前酒と前祭が呼び水となって、さらなるエクスタシーの偏差値が留まるところを知らず高まる。
『相変わらずステキだ……仔猫ちゃんたち……。イイコだ。もう、大丈夫だろう。今でしょという魔法は……卒業だ』
困惑が広がり、ファンがざわめいた。
それをパチリ、と指を弾いて修が止めて、言う。そう、豊満な唇で。
『OSAMU、ダディにコールされちまったんだ……光の世界へと、来ないかって……。それは、新宿アルタのヌーンのアワー……“スマイルいいと思う”の神神を束ねる偉大な方なんだ……行かなきゃ、男OSAMUが廃るって。だから、ベイビーたち、その可愛い瞳に、今夜、このOSAMUを宿し続けてくれ……出来るだけ、熱く、深く……。今は、永遠のラヴァーへと昇華するんだぜ。良く憶えておいてくれよスウィートベイビーズ……プレゼントだ、今でしょというOSAMUの魔法、君たちに託すから、大事に心にハグさせておいてくれ……。任せたよっ!(噛みつくような囁き)』
行かないでーーと、ファンの、悲鳴まじりの嘆願がいくつも甲高く発せられ、修の耳から心へと深々と突き刺さる。
どうしようもなく眉間が歪み、そして、そう、豊満な唇も、わななく。
『許してくれ、ベイビーズ……魔法は溶けるからスウィートなんだ……わかってくれ……もうOSAMUは、昼ワールドでは、いや、今のこの瞬間、もう、醒めただろう? だからもう、二度とこの魔法を使わない。もう、使えないんだ……目に見えているんだ、飽きられるのは……。だから、トゥナイトだけ、最後のこのOSAMUの愛の講義を……どうか、聴いてほしい』
ファンたちのすすり泣く声と、嗚咽がいくつか聞こえてきた。修は、心を引き裂かれる思いで、マイクを揉みしだくように握り直す。
『今までで、最高の歌をあげるから……それじゃ、耳にキスしてあげようーーファーストナンバー……“今でしょ!”』
(言うんかい)ファンたちの心はひとつになった。
ーー修は、こうして、もう一つの世界へと、旅立つのであった……。
その、哀しみを知るつぶらな瞳から、ひとつぶのエクスタシーエキスが零れ落ち、引きつった頬をすべりおり、そして、そう、その、イタズラなまでの、世にもふくよかな、それでいて、そう、ワガママバディな、そう、まさに、まさしく、もうこれ以上は、アブナイくらいに、でも、そういえば、あ、いや、いや、そうでもないかもしれないが、まあ、そんな感じの唇に、ララバイした。豊満に。
God Luck
ハヤシオサムさん、とカタカナで書くとオムハヤシに見えますよね、すこし。
早めに言ったほうがいいと思うので言いますと、僕は林さん好きですからね。すごい誤解されそうですけどね、いろんな意味で。
林先生は、本が大好きだそうで、特に日本文学はもうどっぷりたっぷり浸かって読みまくったそうです。本シェルジュですね。やったら楽しそうだけどなあ、だってこのまえヒルナンデスけど、ヒルナンデスじゃない生番組で、夏目漱石先生の『吾輩は猫である』、略して“わがねこ!”を課外授業ティータイムで和気あいあいとウキウキ紹介していたのを見て、ああ、この人は、すごいなあ、本=人という点で見て、惚れて、好きだから入り込んで、読み込んで、その凄さをうれしく発見できる人なんだなあと尊敬したよ。
そのプレゼン力は、受験勉強という過酷なセンター返し世界で、たくさんの生徒たちにそのダイナマイトリップでもって授業を展開し、教え、生徒たちを鍛えると同時に林先生も鍛えられたことが活かされているのだろうと思う。イイ感じに、人生が動いてきたのを、またさらにイイ感じに楽しくウキウキ豊満に、もっと好きな本のことをみんなに知らせる人になれば楽しめそうだよね。僕はもっと聞きたいと思ったなあ。
そういう光の導きが、昼なんです。
そして、くちびるなんです。
僕とダブル握手!
みんな、両手で同時に相手と握手したことはあるかなぁ。
そうするとね、面白いよ。たったふたりの人間が、両方の手をお互い信用して握りあえばさ、ほら、無限につながるんだ。
僕は、その握手のスタイルをちらっと提唱して、そう、そこまで豊満ではないくちびるなので、すこし、静かにして、林先生の楽しい紹介をじっくり聞きたい。その、豊満なくちびるから。ララバイして寝ちゃったら、すみません。
おはようからおやすみまで、拳王の提供でお贈りいたします。
世はまさに聖飢魔II
ラ王「おい、そこの柔道着」
リュウ「波動〜拳!」
ラ王「おいそのワザ、拳じゃ、ないじゃないか。両手ともに、開いているじゃないか」
リュウ「竜巻旋風ー脚!」
ラ王「聞けよ、人の話を」
脚と本と書いて、脚本。
脚で書く本なのかなあ……。
アシ、アシモ……。
その日、フジモンにリモコン操縦された原西が、颯爽と歩いていた。
その勢いのまま、舞台へと現れ、なおもぐるぐる歩きまわる。アシモの、モノマネで。
客席の空気が、引き締まる。
原西は、舞台の中央で動きを止め、天から吊り下げられたかのように、背筋を伸ばした。
充電が、始まった。
静まりかえる客席。
微動だにしない、アシモ。
その揺るぎなき、眼差しと、パッツン前髪。
客達は、黙ってただただ、その充電を見つづける。
理解の度を、超えていた。
♪残酷なプロフェッショナルのテーゼ(作スカシカシパン)
少年よ、神話を抱き、そして神話に抱かれよ
福音「…………(シンクロ中)」
アシモ「…………(充電中)」
カヲル「待たせたね。さあ、今度こそ君を、ポカポカにしてあげる」
薫「ポカポカポカポカ!」
とんがりコーン「痛いよブタゴリラ〜ん!」
グレーゾーン。そういう、ことであった。
魂の提供で、お贈りいたしました。
またね。
明日も楽しみだなあ。




