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にっき  作者: コスミ
夜明けまえ
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想いと、情報


人間が文字のプロフェッショナルを目指すならきっと、この二種類くらいに大別する意識は役立つと思う。


人間は、内部に心をもっている。それを、いろいろ言い換えてもいい。

感情、信念、イメージ、好き嫌い、そして想い。


人間は、外部を情報で包まれている。社会、他人、空間、時間、動き、みんな情報だ。



ふと気づいたのだが、文字は、情報だ。


あらゆる情報を伝えるための、記号なのだ。


想いは、情報ではない。

情報とは、誰が見てもある程度同じような認識のできる、つまり共有しやすい物事のことを指すはずだ。


「そこにリンゴがある」

「うん、リンゴだね」


となる。しかし想いは、文字に適さない。


「あの人、いいと思う。好きだな」

「いい人だとは思う。嫌いだけど」


それなのに人間は、文字の細かな意味に囚われしまう。想いが全て100%こめられて伝えられているわけがないのに。


思うに、想いは、文字以外で伝えた方が誤差が出にくいだろう。



誰も、そうそう頷けないとは思う。僕も。



ヘビ、タカ、ヒョウ。

その三つをそれぞれに表す鳴き声を使いわけることができるサルがいるという。彼らは、仲間がそのどれかを鳴くと、それぞれの脅威に対して適切なところへ逃げる。



そして、ちょっと時間旅行。


文字や言葉が生まれた頃の人類を見てみよう。彼らは、動物を獲って食べ、食べても平気な植物を採って食べ、安全な広い洞窟で眠って暮らしていた。


動物を狩るとき、道具を使い、狩人達は連携して追う。そのときに、意思の疎通が狩の成功率を高める。


狩以外では、道具を作る時。言葉は、技術の継承に役立つ。

そしてもちろん、危険を察知し合う時にも。


言葉は、明確な物事を指し示すための道具として生まれた。


想いは、きっと道具を必要としなかった。人はサルと違って白目があるので、どっちを見ているのかがわかる。それは捕食者にもバレテしまうのだから、危険である。それでもそのように目を塗り分ける進化を選んだ。


なぜか。動物的なサバイバルの効率性よりも、仲間とのコミュニケーションを選択した、とも思えるだろう。


仲間と暮らす、その前提の生き物だ。そのような機能を備えた生き物。想いは、もしかしたらそうした進化によって得たシステムなのかもしれない。


言葉は、当然もともと生物として組み込まれたものではない(人間は、教わらなければ言葉を話せない)。ただ、話すために必要な声帯の器用さの向上は、起こったと思う。


想いは、きっと生まれながらの能力だ。誰かに教わるものではない。


だから、もっともパーソナルなもので、共有ができない。情報のようには、詳しく的確には共有できない。


共感、という言葉が使われる。



んー、わからん。難しい。



と、とにかく想いを文字にする難しさというものを考えてみたのでした。


自分の想いすら文字にはできない。ただ、想いを持っている。それだけは確かで、誰でもそうだ。

想いと向き合う度合いは、人によって全然違うけど。


作家になるためには、一番つらく、一番難しい、この想いと向き合う度胸が要るのかもしれない。


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