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チョコの日
ダルビッシュが黒髪になっていた。元々の男前に渋みを効かせて更なる高みへと登っているのを、変に安心したような、暖かい心持ちで眺めた。
芥川龍之介の短編を読むと、力強いストレートなメッセージと、頻繁に現れる読点が目に飛び込んでくる。迫力がある。しかし文を硬く見せようという意図は見えない、むしろ柔らかく、広い読者に伝えようと配慮しているように思えた。大正当時の雑誌に掲載するのだから、そういうものか。識字率も低かったかもしれないし。
引用する。
僕たちは、時代と場所との制限をうけない美があると信じたがっている。僕たちのためにも、僕たちの尊敬する芸術家のためにも、そう信じて疑いたくないと思っている。しかし、それが、果たしてそう“ありたい”ばかりでなく、そう“ある”ことであろうか。……
著作権は時間制限により切れているので、大丈夫です。
全体の印象として、人情家というか、人間を好いているのだなあ、と感じた。どの短編の動機も、輝いて見えた。