ジャンプNEXT
本屋で仁王立ち読みしました。堂々と、一片の悔いなし、といった風格を目指した。もちろん嘘だ。
ジャンプNEXTとは、栄光のジャンプ漫画家を目指すルーキーの作品を集めたジャンプの姉妹雑誌といった物体で、バクマンでその存在を知っていた僕は、今日初めて実物を手にしたのでした。
ずいぶん参考になる。漫画はご存知の通り激戦区な分野で、お笑い芸人、ラーメン屋と同等の競争率な、カンブリア紀の生命たちによる生き残りバトルのような熱き友情努力の世界である。勝利なんかレアすぎる。
一言、核となることを伝えるとすれば、読んでくださいと言う他はない。同じストーリーメーカーならば、刺激を受けやすい。
そして新人達であるので、僕らでもその制作過程をトレースしやすいというか、ああそういう不器用さがあるのね…といった共感をしやすく、ならばどのように改善すればもっと映えるのか、とスムースに前進的思考を促されます。だいたい、同輩の仲間として他人の作品を眺めれば、そのような共感が働いて自分ならば…と戦術改善案を自然と編み出したくなるもので、とにかく良いトレーニングになると思うのです。
半分、ライバルとして意識するくらいがちょうどいいのでしょう。たとえば、偉大な過去の巨匠達の作品に学ぼうとするのももちろん素晴らしい心がけでしょうが、何しろ自分とのレベルが違いすぎて全く共感も理解を及ばず、結果なんにも吸収できない、なんてことに陥りがちです。もちろん、早めに到達点的な一流を知っておくのも重要だとは思いますが。
実際に、さあ一歩一歩成長していこう、というフェーズでは、先に言ったような、同輩たちへライバル的バチバチ火花視線を送ることが効果的だと、僕は今振り返ってみて思うのです。
自由がウリの美術系の専門学校にいたころ、やはり、自分の選んだ道に近い同輩たちの人間っぷりや作風を眺めている内に、知らず知らず勇気とやる気をチャージされていたように感じます。心強かった、とも言えます。ああ、自分以外にもこういうことにのめり込む奴がいるんだ、その姿は、案外かっこいいんだな、と。なんとなく、許されたような、励まされたような気持ちになるものです。
小説家は、もう少し孤独で、内にこもったものかも知れません。というのは、作品の形が特殊だから。絵や彫刻やデザイン物体は、だいたい、パッと一瞬見ただけで凄さがほとんど伝わります。有無を言わさない、瞬発的な競技なのです。ところが小説という作品形態は、読んでみなくちゃわからない、というところもあるし、なにしろ他の小説との比較が難しい。
特に、自分の書いた作品と、他人の書いた作品を、です。自分の作品は、なぜか良く見えてしまうという怪現象に悩まされます。
絵や物体ですと、並べて交互に見てみれば、否応なくクオリティの差に恐怖することになります。アイデア、形質、センス。何もかも剥き出しな印象。巨匠って、すごいです。
まあ、えっと、何を言おうと思っていたのかというと、競争心を利用すると客観的に自分を伸ばせるし、そして、作品の良し悪しを見抜き、良化への策を見つけやすくなる、そうした目を鍛えられるんじゃね? ってことでした。
小説のすごいところは、この世界のすべての物事が材料になるところでしょう。
どんなものにも、どんな分野にも、思考を伴う目を向ければ、輝くような材料とアイデアの種を発見できるはず。
様々な分野の、チャレンジャー達と、トップランナー達のやり口を分析してみると、ひるがえって、自分の進み方もまた見つけやすくなる…かも!