盲目的な推し活にご用心!
私は変な人が周りにいすぎらしい。
同僚の友達にそう言われてしまった。
変なのかはよくわからない。
ただ話のネタには事欠かない。
そうたとえば、高校時代の友達とか。
私の高校時代は友達には恵まれていたと人生の中では思っている。実際、いまだに交友があるのは小学校でも中学校でもなくて、高校の友達だったりする。
でも当然、2度と会わない人もいる。
その1人が部活の友達。
この人は多分2度と出会わない人の1人。
女の子だけれど、中性的な子だった。私服はパンツルックしか見た事がない、というよりは少年みたいな感じだった。私の周りにはいないタイプで目新しかった。
たしかきっかけは歌い手みたいな事をしてるという話を聞いたからだった気がする。
何人かとそういうのを、レコーディングスタジオを借りてやって、コスプレしたりしてやっていると言っていた。それで私が聞いてみたいといったから、CDを持ってきてくれた。
それがとてもうまかった。
うまかったのでうまい棒をあげた。
うまい棒すきな子だったから。
それはCDの音声と遜色ないレベルの歌で——ただその時点で怪しむべきだったのかもしれないけれど、私はとても純粋だったので何も思わなかった。クールな彼女がうまい棒で喜ぶ姿にも味を占めていた。
その子は大学生とかの友達がいて(みんな男性とのこと)、その人たちの歌もきいたけどCD音源だなーと思った。
いや私も馬鹿ではない。
ので、めちゃくちゃ粗探しはした。
あと友達にも聴かせたこともある。
けれどなんか1回だけここ違う? という声はあった(オタクなので元音源良く聞き込んでいた)ので、本当なんだと信じた。ちなみに、聴かせた友達は疑っていたけど。
でもまぁ友達だし嘘つかんやろと思った。
最初はそのくらいだからよかったのだけど。
そのうちレコーディング前とかに会うようになり、なんかそんな忙しい時に申し訳ないからと私が生菓子を差し入れて持っていってもらって、音源くれるみたいな構図が完成してしまった。
あと私のPSP本体貸したりしてた。
一狩り流行ってた時期なので。
それは今も手元に帰ってきてない。
まぁそれがヒートアップしていった結果……彼女は、私とは同級生なのだけれど、遊ぶ時にお財布を持ってこなくなってしまった。
さすがにそれはと思って。
2回目の時にはあってすぐ別れた。
それ以来疎遠になった。
どうも私は、金払いが悪いファンに成り下がってしまったのだろう。
ちなみにこの話の面白いところはここで終わりではなく、大学生の時にオチがある。
大学時代この話を友達にして、コスプレのクオリティもすごいという話をした時があって。例の子が仲間がしてるというコスプレ画像を貰っていたので見せた事がある。
その途端、「え」と言って友達が止まって。あわてた様子でスマホを取り出して、その画面を見せてきた。
「騙されてるよ、それミュージカル俳優の写真だから」
そうして見せられた写真は。
そう、たしかに瓜二つで。
というかどう見ても同じもので。
驚いたけど、なんだか逆に面白くなってしまった。無知とは怖いものだし、盲目に信じることもまた恐ろしいものなんだなぁと。
まぁ、ワケはあるのかもしれない。
彼女の髪にはよくゴミがついていた。
あとで知ったけれどあれはフケだった。
親がちゃんとみていない——たぶん、そういう家の子だった。あの時の勉強代のおかげで、私は今後ホストにハマることも、推し活を頑張りすぎることもなく、人を観察する目を手に入れたとは言える。
あのときの貢ぎは万単位だと思うけど、いや子供の時だからそれで済んだよねよかった〜(前向き)
いやしないで済むならその方がいいけれどね!
でも話としては残念ながら面白いんだよな。
だって読んじゃったでしょ? 人間の罪なところですねぇ。