現代の師走は12月じゃないかもしれない
大学にいると面白い話を聞く。
「もうすぐまた坊主になるんですよ」
おしゃべりな職員さんがそう言っていた。彼は普段は大学職員だけど、婿入りのお坊さんらしい。(とてもしゃべる人なので聞いたら全部話してくれる)
お坊さんだけど煩悩の塊みたいな人。
大学時代のエピソードが破天荒だった。
エロ漫画の主人公みたいだった。
つまりあまり人には聞かせられない内容だった。
なぜそれを私に話すかというと。
多分彼が何も考えていないからでしかない。
仕事はできるし、頭の回転もいい、ただあんまり褒められた人でもない、お酒と女性に目がないまぁ良く言えば人間らしい人だなというのが私の感想。
でも現在は鬼嫁の尻に敷かれてる話を聞いたりする。本当になんでもしゃべる。しゃべっていいのかなぜかこっちが心配している。
でもお嫁さんの話を楽しそうに話す。しばかれた話もたまに入る。どうしようもない人だけどお嫁さんのことが好きなんだなと見ててわかる。
そんなおしゃべりで人懐っこい愛嬌、それだけで許されてるだろう彼はお坊さんなので、お盆の時期になると袈裟を着て家を巡るお坊さんになる……ために伸ばした髪をその時期には刈ることになる。
「もうすぐ刈らないとだからやなんですよねーダサくなるんで、ははは!」
豪快に明るく笑うそれは夏の風物詩。
彼の決まり文句で挨拶の言葉。
多分会う人全員捕まえては言っている。
なぜお坊さんになったか聞いた時「非課税で儲かるから」と言ったお金第一主義者だけど、やることはちゃんとやる人ではあるからそういう部分でサボることはない。
だからこの時期には、袈裟を着てバイクに乗るし、走るし、でも訪問先には人はいなくてお経だけあげて帰る生活になるらしい。(たまにテーブルにお茶とかだけでてる、お金は玄関やテーブルに置いてある、玄関は空いてるので勝手に入ると言っていた)
とにかく檀家の家をお盆中に回らねばならず、この時期はあまり寝たり食事の時間もないので毎回痩せる。
年々お腹の蓄えが増えていく彼は、毎年夏にその蓄えを減らしても笑顔を絶やしたことはない。多分煩悩を絶やしたこともないけれど、仕事量の手間を省いたこともない。
1年で1番忙しいと、いつか言っていた。
お盆の長期休みは檀家回りで消えるらしい。
私は彼の頭を見て季節を感じている。
私が普通に生きてたら、まぁ関わることのない人の1人。多分一生理解はできないだろうなと思う。
ただ線引きがちゃんとできるところだけは良いところだなと思ってる。とてもパリピなお坊さん。