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第54話 堪能

「ふわぁ~、良く寝た」


 私は最高の気分で目を覚ます。


「この寝心地、なかなか悪くないな」

「だよねぇ、いつまでも寝られそう」


 キングサイズみたいな大きなベッドの上でアークと一緒にまどろむ。


 昨日は高級な宿で一夜を過ごした。


 もう、なんか凄かった!!(語彙力)


 イタリアンやフランス料理のコースっていうのかな? そういう感じの料理が次々運ばれてきた。アークの分も。


 食べ方が全然分からなかったけど、自室で食べたので気にせずに済んだ。助かるね。


「すみません、量を沢山もらえますか?」

「かしこまりました」


 部屋にはルームサービスを呼べる道具があって、ダメ元でお願いしたら、本当に持ってきてくれた。


 見た目にもこだわってるはずなので、ちょっと申し訳ない。だけど、美味しい物を沢山食べたいアークには関係のない話。


 アークは沢山盛りつけられた料理を満足そうな顔で堪能していた。


 その後、お風呂でアークを綺麗にしたり、


「ぐわぁああっ、やめろぉおおおおっ!!」

「ちょっと大人しくしてて!!」

「むぐぉおおおおおおっ!?」


 高級そうなベッドに横になっておしゃべりしたり、


「あぁ~、このベッドふっかふかぁ~」

「全く我の体を弄びおって……」

「綺麗にしただけでしょ」

「ふん……」


 なんかしてるうちに寝落ちしていたみたい。


 しばらく野営だったから、少し気疲れしていたのかもね。


「さて、市場に行って買い込みと、情報集めに行くよ」

「お前を監視しなければならないからな。我もついていく」

「分かってるよ。それじゃあ、その前に朝ごはん食べようね」

「そういうのであれば、やぶさかではない」


 この宿は朝ごはんも食べ放題。しっかりと腹ごしらえを済ませた私たちは、早速街へとくり出した。


「やっぱり冒険者が多いねぇ」

『そうだな』


 街を歩いているのは、ダンジョン目当てでやってきてる人たちが多い印象。関所で出会った冒険者のように皆、武装している。


 強そうな人ばかりだ。


「おぉ~、バンドールとは品揃えが全然違う」


 市場にやってくると、バンドールにはない物が沢山並んでいた。


「んっ、嬢ちゃんはバンドールから来たのかい?」


 私の声が聞こえたらしい果物屋の店主らしきお爺さんが話しかけてくる。


 露店には色とりどりの果物が並んでいた。どれもどんな味なのか想像がつかない。


「はいっ、昨日ついたばかりです」

「ありゃ? 落石で道が塞がってたんじゃ?」

「それなら邪魔だったのでどかしましたよ」

「えっ、お嬢ちゃんがかい?」

「はいっ、これでも力持ちなんです」

「はーっはっはっ!! そりゃあいい。これ持ってきな!!」


 力こぶを作ってみせると、お爺さんはお腹を抱えて笑った後、果物を手渡された。


 あれ? もしかして冗談だと思われたのかな?


 まぁ、いっか。誰がやったかどうかなんて関係ないもんね。大事なのは道が通れるようになったっていう事実。それが伝わったのならいいや。


「ありがとうございます。それじゃあ、ここの果物を各種一個ずつもらえますか?」

「おおっ、そうかい? こっちこそありがとな」


 味が気になったのは勿論だけど、買ったのには理由がある。


「いえ、ちょっとお話を聞きたいんですけど」

「ん? なんでも聞いてくれ」


 それは情報を手に入れるため。


 情報を聞く時は、先に商品を買ってあげるのが有効だっていうのは、沢山物語を読んできたおかげですでに履修済みだからね。


「ダンジョン都市についてなんですが」

「あぁ、それなら――」


 お爺さんからダンジョンについての情報を手に入れた。


 その後もいくつかのお店で消耗品や食べ物を買いながら、同じように情報をゲット。ある程度ラブリス共和国やダンジョン、それに周辺のお国事情が分かった。


 まず、この国には、東西南北とその中央に五つのダンジョン都市がある。


 ここ東の街モスマン、中央のアルパ、北のイエルド、西のイノリゴ、南のミノスというみたい。


 そして、この国は、東西南北別々の国に囲まれている。


 東が今世の私が生まれた国、北が年中寒い国、西が農耕が盛んなのんびりとした国、南が海に面した暖かい国という感じ。


 目星をつけていたダンジョンがこの街にあるみたいだから、しばらくは滞在しよう。その後は南の国に行ってみたい。


 生まれてこの方、海なんて見たことがない。だから、一度見てみたい……。


 ただ。話を聞く中で、


「あぁ、でも、ここのダンジョンだけは行かないほうがいいよ。すぐに逃げ帰ってくることになるからね」


 というのは皆に口を酸っぱくして言われた。


 いろんな人が餌食になったんだろうな。でも、それは私にとって都合がいい。

 

 それだけ人に見られる可能性が減るし、素材やアイテムを独占できるわけだしね。アークと一緒に行くのならその方が楽だ。


「この果物悪くないね」

『まぁまぁだな』


 それから、買い物したり、情報を集めたり、街を散策しながら過ごした。


 そして、日が暮れる前に再びあの宿に戻り、至高の料理と、


「美味しー!!」


 お風呂に、


「ひょわああああっ!! やめろぉおおおおっ!!」


 調合をして、


「念のため、状態異常に効く薬を作っておこう」


 睡眠をとり、


「おやすみ、アーク」

「ふんっ!!」


 しっかりと英気を養った。




 そして、翌日。


 ――ゴクリッ


「ここが噂の……」


 私はダンジョンの前に立っていた。

いつもお読みいただき、誠にありがとうございます。


「面白い」

「続きが気になる」


と思っていただけたら、ブクマや★評価をつけていただけますと作者が泣いて喜びます。


よろしければご協力いただければ幸いです。


引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
この風呂ギライの犬ちょっと面白い
さあ、毒も罠も魔物さえものともしない主人公の独壇場が始まりますよ~
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