第171話 さかなさなかさかな
私たちは、釣りをしたり、レインに作ってもらったハンモックでお昼寝したりしてアウトドアを満喫した。
「そろそろご飯の準備をしよっか」
「早く作るのだ」
「はいはい、分かってるよ」
釣りで巨大鮭と巨大鮎をたくさん獲れたので、その二つをメインに料理を作る。
巨大鮎の下処理をして串を打つ。
「どう考えても串って言うよりは杭だよね、これ……」
通常の鮎の何倍もの大きさがあるので、串では全く長さも太さも足りない。
そこでレインに木を加工してもらったのはどう見ても串には見えなかった。
巨大鮎を二人係で波打たせて杭を打ち、レンガを積んだとんでもなく長い竈を用意して、中でたくさんの薪を織り火になるまで燃やした。
その上に大量に塩を振った巨大鮎を並べて焼いていく。
焼けるまでの間に次の料理に取り掛かる。
「お任せを」
鮭を取り出すと、何も言わずともレインが捌いてくれた。
指示を出すことさえないなんて助かる。
「鮎の塩焼きもあるけど、鮭の塩焼きも食べたいよね」
鮎と鮭では味が全然違う。鮎の塩焼きを食べたからといって、鮭の塩焼きは食べなくてもいいとはならない。
ただ、注意してほしいのは一般人は塩分には気をつけようということ。巨大鮎と巨大鮭の塩焼きは私たちだから問題ないのであって、普通の人には毒みたいなもの。
用法容量を守って正しく食べましょう。
「この網、ワインビネガーとか塗らなくて大丈夫? 鮭くっつかない?」
「問題ありません。不要です」
鮭の切り身に塩を刷り込んで焼き網に乗せて焼いていく。
網に魚を乗せて焼くと、くっついてしまうってYoTTubeでやってた。酢がないからワインビネガーで代用しようと思ったけど、とくに必要ないらしい。
「エア、火加減見ててくれる?」
「ピピッ!!」
エアは敬礼をして私のお願いを聞いてくれた。
「鮭を生で食べたいんだけど、寄生虫とかいる?」
魚を生で食べる場合、天然ものには問題がある。
そう。寄生虫だ。
私は寄生虫を食べたところでお腹を壊したり、寄生されたりしないけど、ウネウネと蠢く虫を食べるのはちょっと嫌だ。
「寄生虫は除去しました」
「へ?」
レインからの思いがけない返事に変な声が漏れてしまう。
「えっと、今なんて?」
「寄生虫は除去しました」
私の聞き間違えじゃなかった。寄生虫はすでにこの世を去ってしまったみたい。
「そんなことできるの?」
「はい。可能です」
「レインは最高だね」
「ありがとうございます」
私の悩みはレインによって一瞬で解決してしまった。
「それじゃあ、他の魚もお願いできる?」
「分かりました」
他の魚の寄生虫を除去しつつ捌いてもらいながら、私は魚を薄く捌いていく。
そうだ。今使っている包丁は初めて買った時のやつだけど、そろそろ新しいのが欲しいかも。ちょっと切るのが大変。
オークションでなんか良さそうな包丁出たら買ってみようかな。
「おっきな桶を出して」
「かしこまりました」
レインに大きな木桶を出してもらって炊けたご飯を出して、ワインビネガーと砂糖と塩を酢の替わりにしてご飯に混ぜ込んでいく。
私が作っているの寿司だ。
ヴェルナスですっかり食べ損ねていた。せっかくだから寿司を作ってみる。
「うーん、なかなか難しいね」
寿司のシャリを握ってみるとけど、なかなかいい塩梅にならない。硬くなり過ぎたり、すぐに崩れてしまう。
「マスター、どのような料理を作られているのですか?」
「うんとねー」
「念話による思考共有を推奨します」
「そんなことできるんだ」
私はできるだけ鮮明に寿司をイメージを念話で送った。
「なるほど。いくつか作ってみます」
「よろしくね」
レインが私の思考を元に寿司のシャリを握る。
いくつかのシャリが私の前に置かれていく。
「いかがでしょうか?」
「これが一番良さそう」
「かしこまりました」
レインは私が指定したシャリを量産していく。
私はその上にネタを乗せて軽く握って寿司を完成させた。
今度は一人で上手く握れるように練習しておこう。後は各種魚のお刺身に、鮭と色んな具が入った石狩汁風のスープなんかを用意していく。
エアに火加減を見てもらっていた鮎をひっくり返したり、ワサビをすり下ろしたりして準備完了。
私たちの前には巨大な鮎の塩焼きと、鮭の塩焼きとサーモンメインのお寿司、そして石狩汁が並んでいた。
『いただきます!!』
そして、私たちはさっそく鮎の塩焼きに喰らいつく。
パリッと焼き上がった皮目の塩味とほっくりと柔らかい身のバランスがちょうどいい。脂もあまりしつこくなくて淡白な味わいだ。
ただ、量が多いので、大根もどきおろしや薬味、柑橘系のしぼり汁などを用意していた。満足したら次の味に味変して食べられるのは、贅沢な気がする。
「塩味が効いていて悪くはないな」
「ピピィッ」
「ただの塩焼きにもかかわらずここまで止まらなくなるとは……やはり料理はあなどれません」
三人も美味しそうに鮎を食べている。次に私はお刺身にワサビと醤油をつけて食べる。
鼻に抜ける爽やかな香りと醤油の香ばしさが魚の臭みを一切感じさせず、むしろ旨味をグッと引き出していた。
ただ、残念だったのはワサビの洗礼を味わえなかったこと。
「鼻にツーンとこない!?」
私はいくらワサビを多めにつけて食べても普通に食べられてしまった。
それだけが少しだけ心残りだ。
お寿司もお刺身と同じように美味しく食べられた。前世ではほとんど食べたことないので、ついついたくさん食べてしまったのはしょうがないよね。
最後に石狩汁。
「ほっ」
魚の旨みと野菜の旨みが知るに溶け込み、味噌が包み込んでほっこりとした味に仕上がっていた。
これなら何杯でも飲めそう。
私たちは満足するまで魚料理を堪能した。
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