第153話 ドレスコード
「よし、それじゃあカジノに行くよ!!」
「よかろう」
「賭け事ですか。マスターに損をさせないように全力を尽くします」
「ピピィ!!」
少し休憩を挟んだ私たちは、早速夜の街へと繰り出す。
「出かけるのかしら?」
宿の入口に向かうと、女将さんがカウンターに気怠そうに座り、キセルをふかしていた。
「はい。ちょっとギャンブルしてみたいと思って」
「そう。のめり込みすぎないように気をつけるのよ?」
「分かりました。鍵はどうすればいいですか?」
私は鍵を取り出してカウンターに置く。
「そのまま持っていって。ここに戻ってくる時に迷わないようにしてくれるし、玄関の鍵も開けてくれるから」
「ありがとうございます。お借りしますね」
「この街のカジノならウィザーズカジノがおすすめよ。地図も渡しておくわね」
「分かりました。何から何までありがとうございます」
私は鍵と女将さんが差し出した地図を受け取ってポケットにしまった。
本当に女将さんにはお世話になって頭が上がらない。
何かお礼でもできたらいいな。
「いーえ、このくらいサービスのうちよ。楽しんできてね」
「はい、いってきます」
ひらひらと手を振る女将さんに見送られ、私たちは意気揚々とカジノに向かった。
「お客様、その格好ではご入場いただくことはできかねます」
「え……」
女将さんの地図のおかげで無事にカジノに着いた私たち。
しかし、武具を外していつもの旅装で行ったら門前払いされてしまった。
ちょっと高級感があって場違いな気はしたけど、まさかドレスコードがあるお店だとは思わなかった。
「せっかく女将さんに紹介されてきたのに……」
楽しみにしてたけど仕方ない。他のお店を探そう。
「今なんと?」
悩んでいると、入り口で対応してくれた人が声を掛けてきた。
「え? いえ、特には何も」
「紹介された、とおっしゃいませんでしたか?」
「えぇ、はい。泊まってる宿の女将さんがここがおすすめだと言っていたので……」
「そ、そうでしたか!! 申し訳ございませんでした。まずは中にどうぞ」
女将さんのことを話した途端、従業員の態度が一変。
私は恭しい態度でお店の中に通された。
女将さんはいったい何者なんだろう。もしかしたら、ものすごい偉い人なのかな。
部屋にはメイド服を着た女性が整列していた。
「お前たち、この方を磨き上げて差し上げろ」
『かしこまりました』
「えっと……どういうことでしょうか?」
意味が分からず、困惑してしまう。
私はただカジノで遊んでみたいだけなんだけど……。
「申し訳ございません。いくらご紹介と言えど、そのままのお姿で遊んでいただくわけには参りません。私共で皆様をドレスアップさせていただきます」
「いいんですか?」
私としてはそれで遊べるのなら有難い話だ。
「はい、お任せください」
私たちはメイド部隊によって磨き上げられ、ドレスに着替えさせられた。
「大丈夫かな」
「マスター、大変お似合いです」
「ありがとう。レインも似合ってるね」
「ありがとうございます」
レインはゴーレムなのでエステなどが意味があったのかは分からないけど、着飾ると何処かのお姫様と言われても納得してしまうような気品と美しさを感じた。
この体は美少女だから問題ないと思うんだけど、前世も今世も着飾ったことなんてないので、似合ってるかちょっと不安だ。
レインが褒めてくれたから問題ないと思いたい。
「アーク、エア、ネクタイ似合ってるね」
『ふんっ、我ほどの気品があればなんでも似合うものだ』
『ピピィ』
二人は従魔だと分かるように首元に蝶ネクタイを付けられていた。可愛い。
褒めると、二人とも満更でもなさそうな顔をする。
「私は似合ってる?」
一応アークとエアにも聞いてみる。
「我は人間の美醜など知らぬ」
「ピピィ!!」
エアは褒めてくれたのに、アークはそっぽを向いてしまった。
エアを抱き上げてヨシヨシと撫でながらじっとりと睨む。
「エア、ありがと。アークは女心ってもんが分からないんだから」
「そんなものを厄災の我に求めるのが間違っている」
まぁ、私も女心なんてよく分からないけど。
「私たちは二柱の神を生み出してしまった……」
「この方たちこそ至宝」
「世界にこれほど美しい方がいたというのですか……」
アークたちと話していたら、メイド隊の人たちがなぜか涙を流している。
いったいどうしたんだろう。
──コンコンッ
ノックする音が聞こえてきて、メイドが扉を開ける。
「準備ができたとお伺い……」
入り口で対応してくれた従業員さんが頭を上げるなり、固まってしまった。
「あの〜、どうかしましたか?」
「い、いいい、いえ、何も問題ございません!! 誰か警備員を集めろ!!」
従業員さんがしどろもどろな様子で指示を出す。
「ボス、いかがされましたか」
「この方々がカジノにいる間、お守りしろ」
『はっ、かしこまりました!!』
集まってきた警備員たちは私たちを見るなり、ガードするように周りを囲んだ。
いや、これはさすがに居心地が悪い。
「あの〜、これだとちょっと遊びづらいんですが……」
「失礼しました。少し離れて警備させていただきます!! お前たち少し離れろ」
『ハッ!!』
警備員たちが後方から私たちをじっと見ている。
私はちょっと不安になった。
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あとがき
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