表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/30

おれたちの失敗

 コタツの上で、土鍋がぐつぐつと音を立てていた。味噌と魚介出汁が混ざった豊潤な香りが広がる。

 東山はコタツに足を入れ、寝転んでいた。大きく、伸びをする。全身に疲労が溜まっていた。


「上田ー、こんなときにまで漫画読むなよ」


 鍋奉行の平井が視線を鍋に向けたまま言う。上田は寝転がって漫画を読んでいた。進撃の巨人の最新刊だ。


「ほら、もうすぐ完成だから」


 平井が東山と上田に、起き上がるように促す。海老、豆腐、白菜、豚肉が、鍋の中で煮えていた。腹の虫が鳴る。


「あ、そういや、こんなものもあるぜ」


 上田が、赤ワインを取り出した。東山は苦笑した。確かに鍋とワインの相性は良いが、このタイミングで飲むようなものでもない。とはいえ、食欲と飲酒欲に抗うことは出来なかった。3人は紙コップにワインを注いで乾杯した。


 鍋はあっという間に空になった。締めの雑炊ももう無い。


「なあ、今度はこれしようぜ」


 上田が、今度はトランプを取り出した。


「もう、なんでもアリだな」


 平井が呆れた顔で言った。

 片付いたコタツの上にカードが配られた。今夜は長くなりそうだと、東山は思った。


「なあ」


 東山が口を開いた。


「今度登山するときは、Awazon超お急ぎ便をオフにしようぜ」


 雪の吹き荒ぶ音はテントの中にまで響いていた。

 標高3000mの夜は、ゆっくりと更けていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ