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ソフィア クルーズ①

 新しい授業体制になってから、各々能力を順調に伸ばしていっているようだ。


 今は、坂道君の作った道具を触ってみている。


「この剣は面白いな。長さが変えられるのか」


「ああ。斬る瞬間に伸ばせば不意打ちになる」


 単なるおもしろ道具から、実用的な武器まで、様々あるようだ。


「剣だけでも色々あるな」


「『言霊』である関係上、銃なんかは微妙でな。戦いのことを考えると必然的にこうなってしまう」


 まあ、その辺は追い追いでいいんじゃないだろうか。鎧とか、盾とか、できそうなことはある。

 早見先生も、中々に気に入ってたしな。やっぱり未来は、こういう新しいものが好きなんだろうか。


「前回の戦いでは、俺は何もできなかった。だから、次こそ必ず皆の役に立つ働きをする」


「気負いすぎるなよ。戦いのメインは先生たちなんだからさ」


「お前に言われてもな……。いや、言いたいことは分かっている。有り難う」


 だが、次の戦いは少し気を引き締めないといけなそうだ。

 だからこそ、こうやって坂道君の様子を見に来た。こうやって、他の奴らの調子も見ていった方が良いな。


 未来が2人とも、表に出てきている。

 今まで、裏で指揮を執っていた彼らがそうせざるを得ない事態だということだ。


 全体の状況を把握できている人間が今どれだけいるのだろうか。

 水上さん達お偉いさん方は、前回の戦いの後処理に今も追われている。

 遊戯はそんなことしているわけない。

 父さんも先生役で忙しい。

 母さんは有事じゃないとここに来られない。


 俺がやるべきだと言われている気がした。

 鷹見先生が、そう言っているのだ。


ーーー


 そういえば全然話してなかったな、ということでソフィーちゃんに話しかけでみようか。


「調子どう? How's it going?」


「Oh, you speak English? Then I'll talk to you...


 ああ、挨拶を練習してた弊害が出た。挨拶だけ聴いたらめっちゃ英語話せそうな雰囲気出てるもんね。実際、そんなペラペラではない。

 聞き取りはいけるし、読むのもできるけど、自然に会話を繋ぐだけの瞬発力が足りてない。


 なんとか意思の疎通を図った結果、ソフィーちゃんの気遣いもあり、ゆっくりながらもきちんと会話ができた。

 どうやら、こより様と高崎クンとチームを組むことになったらしい。前回の戦いを見れば、それも当然か。そもそも鷹見先生はそのつもりだったんじゃないかな。


 そして、俺が皆の様子を見て回っていると言ったら、ソフィーちゃんも一緒に来ることになった。

 ソフィーちゃんも色んな人と話してみたかったらしい。留学生となると、やはりそこが難しいのかなあ。


 そうしてまず、ミーアちゃんの元を訪れた。

 なんだか、前よりもスタイルが良くなっているような……? 努力の賜だな。どんな努力したらこうなるのか知らんけど。

 留学生同士、それなりに交流はあるらしい。


 ミーアちゃんは、変装のレパートリーが少し増えたらしい。俺の姿になるのを見せてもらった。いつの間に……。


 次に、さっちゃんに話しかけに行ってみた。俺とソフィーちゃんが一緒に居ることに嫉妬してくれないかな。無理か。


 通信機には色々と新機能が搭載されたらしい。音質が上がったり、感度が上がったりしたらしい。高崎クンの助けもあったらしい。なるほど。

 ソフィーちゃんとは、すぐに意気投合して楽しそうに話していた。やっぱり物怖じしない姿勢が大事なんだろうな。流石さっちゃんである。


 あと、こより様のことについてアレコレ訊かれた。さっちゃん、こより様のこと好きすぎ。直接関係ないのにそんなに気になるかね。

 告白されて振ったと言ったら、「こよりん、やっちゃったかー」と言いつつどこか嬉しそうだった。さっちゃんって、レズ? こよりんは君のものだ。


 続いて、星野さん達の様子も見に行ってみた。大人に戻ってからちゃんとやってるだろうか。


 彼女らは、なぜか、水遊びをしていた。大学構内に居ると言うから何してるのかなと思ったらこれだ。

 ソフィーちゃんはかなり興奮しているらしい。まあ、楽しそうではあるよね。あり得ない程水出てるし。水鉄砲結構良いやつな上、水を操る『語り部』と、それっぽい擬音が合わさって凄いことになっている。


 星野さんは、ずぶ濡れで楽しそうだ。いくつなんだっけこの人……。

 えりちゃんは、水が出るハンマーを作ろうとしているらしい。それはハンマーなのか?

 みきちゃんも、なんだかんだ楽しそうだ。あれから少し打ち解けたらしい。「水心あれば魚心でしょうか……」って言ってた。


 折角なので、犬を遊ばせておいた。ソフィーちゃんもがっつり遊んでいる。


 それから、ソフィーちゃんが寮で着替えてから、『語り部』巡りを再開した。


 咲子さん達の元へ行ってみることにした。一応、鷹見先生から頼まれていることでもあるし。


 目が見えないのに、家じゃなくて大学に居るとは思わなかった。というか、どうやってメッセージ返したんだろ。


 実際に会ってみて、その疑問は解消された。どうやら、俺のアドバイス通りなぎささんの見る『言霊』を習得したらしい。視点が自分の目とは違ったり、本との兼ね合いで難しいこともあるようだが、概して上手く行っているらしい。

 というか、なんか本にすごい落書きされてない? 訊けば、加筆し放題キャンペーン中らしい。命名はなぎささんだな。

 折角なので、ソフィーちゃんと俺も加筆に参加しておいた。てか、父さんも書いてるじゃん……。

 この本、最強になっていってない?


 そうして、そろそろ遅い時間になってきたので、ソフィーちゃんとは別れた。

 結構楽しめたらしく、これをきっかけによりクラスに馴染めるといいなと父親みたいなことを思ってしまった。


 ちなみに、これからことあるごとにソフィーちゃんから連絡が来るようになった。

 話しやすい奴が1人でも居ると気が楽だよねえ。

 日本語の質問とか、結構こっちも考えさせられて面白い。

 何回と何度って何が違うの? とか訊かれても難しいよね。回は数が多く、規則的に繰り返すことが予想されるとき、度は、数が少なく続かないかもしれないときに使う傾向があるらしい。


 何度も続くってなんだか素敵だねってソフィーちゃんが言ってた。

 ソフィーちゃんって、フワッとしてそうできちんと鋭い感性を持ってるんだよな。

 私たちのやりとりも、何度も続いたらいいねって言っていた。


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