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入学

小説を書くのも投稿するのも初めてなので、至らぬ点があっても暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。

 15年前、『もののけ』が人を襲った。多くの死者を出したその事件は、『言霊』を使う『語り部』と呼ばれる者たちによって収められた。

 その事件を機に『言霊』の存在は世界に知られた。今や『言霊』は、それを学ぶための学校ができるほどに浸透しつつある。


 今日は、『言霊』を教える実質的な学校ー『ことのは大学』の初めての登校日である。


ーーー


 愛とはなんだろうか。それは、相手を知った上で受け入れたいと思える心である。


 俺はずっと、愛を探し求めている。

 つまり……

 周りからは付き合ってるんでしょ?とか、また痴話喧嘩かよ~とか言われてるんだけど全然付き合ってるなんてことはないがしかし、えっちなことも頼んだらしょうがないなあとか他の子だったら大変なことになってるよ? とか言いながら好意駄々漏れで押しに弱いのにこっちの好きなところを確実に突いてくる天然Sな貧乳の女の子を探し求めている!!!


「おれは担任の鷹見悠だ」

 

 やばい、聞いてなかった。教室って関係ないこと考える場所みたいなとこあるし。

 えーと、鷹見先生ね。

 若くて細くてイケメンで、これは要注意だな。


 もし理想の子がいても取られたら溜まったものじゃない。溜まってるのは精子だけでいい。俺に寝取られや寝取らせの趣味はない。


「それじゃあ、みんなには今から訓練場に移動してもらう」


 全然聞いてなかったんだけど、なんで?


 いや、そんなことよりも大事なのは人を見極めることだ。

 この大学はできたばかりということもあり、人数が極端に少ない。ここにいるのはたった7人だ。内3名が女子。


 期限は……一週間としよう。それまでに、最初の調査対象を決める。そして、俺の理想の相手になりうるかを判断する。


 そうこう考えているうちに、訓練場とやらに着いたらしい。野球場やサッカー場みたいな感じだな。屋外に平らな戦場が広がっている。


「では、教室で言った通り、みんなの実力を見せてもらう」


 あ~試験というか小テスト的な感じ?


「まずは、望月魁」


 俺がトップバッターですか。


 まかセロリで負かせロリ!

 相手はロリじゃないけどね。


「魁、君は戦いが得意なタイプだろう?全力で来な」


 なるほど。戦う流れか。話聞いてなかったから分からなかったよ。


黄昏トワイライト


 その言葉を、中はできたら困るので、口に出す。

 そして、突如として大蛇のような龍が現れる。


「ほう、こいつは強そうだ」


 あちらからは攻めてくる気配がない。

 どうやら先手は譲ってくれるようなので、遠慮なく仕掛けていこう。精子かけていこう。


 初手は黄昏(トワイライト)で包囲して確実に死角と正面から同時に攻める。正面に注意を集めるのがポイント。


「無駄のない綺麗な初手だが、それゆえに読みやすいぞ?魁」


 やはりやるな。先生なだけある。

 だが、順当にやれば勝てない相手じゃないはずだ。


「お前自身と黄昏(トワイライト)、数の有利があるからと油断するなよ」


 いちいち話しかけてくるな……

 そういう戦略か、単なる性分か……

 次話し始めたら攻撃するか。


「えーと、読めているよ。はいここ」


 ここ、と指し示した場所から刃が突き出て、黄昏(トワイライト)の攻撃を防いだ。暫くすると、何もなかったように刃が消える。

 これが鷹見先生の『言霊』というわけだ。


「ついでにそことあそこも」


 示された箇所から、またしても刃が迫る。しかし、黄昏(トワイライト)のバリアによって防がれる。


「へぇ。魁は防御に徹して相手の隙を作って一瞬で仕留めるってのが得意な戦い方かな」


 バリアで防いだが、あの追い討ちの正確さ……

 なにかあるな。


 喋りかけること

 "君"、"お前"と二人称を変えてきたこと

 これ見よがしに攻撃を読んで見せたこと

 黄昏の戦い方をわざわざ言い当てたこと


 これらは本命から目を逸らさせるための陽動にすぎない。


 つまり、こちらの動きをそこまで正確に読める理由、そして刃が出る能力の仕組みを隠すための目眩まし。


 情報戦に持ち込まれたなあ~。

 負けるかもって気がしてくる~。


 こっちのやるべきことは、鷹見先生の情報を引き出すこと。具体的には

 ①正確な読みができる理由

 ②刃が出る能力の詳細

について調べていければいい。


 ①の方は、読みが正確すぎるお陰で既にかなり絞れている。思考が読めるか、未来が分かるかのどちらかだが……

 

 思考が読めてるんだったら何の脈絡もない下ネタで動揺しないはずがないので、未来が分かるで確定。


 ②は、ひとまずは使わせてみる。攻撃をどう防ぐのか、あるいは防がないのかを見てからだな。


 黄昏(トワイライト)のバリアの仕組みを解明される前に、これを明らかにすればこっちの勝ちだ。


 黄昏(トワイライト)と俺自身で、角度をつけて攻めていく。攻撃よりも包囲することを重視する。


「流石は望月だな。ここ」


 攻撃を防がれる。


「そこと……そこ」


 攻撃をいなされる。


 鷹見先生を逃がさないように注意しながら手数を使わせる。


 こんな攻防を続けているが、そう気長にもしていられない。ある程度能力が絞れたら、知らないことがある前提で決めにいかないといけない。

 そもそも、未来が見えているはずの相手に情報戦って時点で厳しい。ある程度無理が出るのは仕方ない。


「バリアは、黄昏(トワイライト)が自分から突っ込むときには発動してないね」


 そろそろタイムリミットかな。


「有害なものが向かってくるのを検知して自動で発動するって感じかな?」


 次で決まるな。

 こっちも言っておくか。


「鷹見先生、よく喋りますね。でも、あなたのその能力ももう分かりました」


 正直全部分かった訳じゃないが、反応で少しでも情報を取れたらいい。


「手で触れた場所に設置する形式で、対応する指示語で刃を出現させられる」


 今まで、明らかに不自然に地面に手を付くように立ち回っていた。だから、多分これはブラフ。恐らく手で触れる必要はない。でも、騙されているポーズはしておく。


「同時に設置できる数は3。"ここ"で起動する刃が最も強く、"あそこ"が最も脆い」


 表情からは読めないな。まあそうだろうな。こんな簡単な手にはかからないよね。鷹見先生はうっすら笑みを浮かべるだけ。


 お互いが距離を詰めたら一気に勝負が決まると分かっている。ジリジリとにじり寄っていく。それぞれの間合いに近づき……


 鷹見先生が動く。黄昏(トワイライト)を踏み台にするような形で俺に向かってくる。接近戦次第か。


 黄昏(トワイライト)に鷹見先生が触れた箇所は3つ。自動でバリアを張るのは、黄昏(トワイライト)から少し離れた位置だ。若干距離がある。だから、黄昏(トワイライト)に触れてできた印から出る刃には、近すぎてバリアは発動しない。


 しかし、バリアは手動で張ることもできる。といっても、範囲が広くなったり数が増えたりすればすぐに脆くなる。最も刃が強力な"ここ"の範囲に入れないようにしつつ、"そこ"に1つ、"あそこ"に2つが該当するように黄昏(トワイライト)にすぐに距離を取らせる。何か手があるのことがバレるけど、どうせ勘づかれているので気にしない。


 こっちにはもう一手隠している手がある。刀を模した武器、斬月だ。威力が高いわけでも、強力な能力を有するわけでもないが、単純に間合いが素手よりも長い。これだけで、このレベルの戦いでは十分な脅威となる。斬月の間合いに入ったときに、仕留める。


 その間合いに……入った。


「ここ」


 足元から現れる刃に斬月を防がれる。やはり手で触れなくていいようだな。

 ここで手数を消費させる。情報が全て明らかになればこちらに軍配が上がる。


「どこか」


 まじか。

 4つ目の起動方法。

 同時に設置できる数も本当は4かな。

 "どこか"ならランダムだろうな。

 賭けだな。


「守れ」


 手動でバリアを"あそこ"の場所に展開する。


 だが...…どうやら山勘は外れたらしい。黄昏(トワイライト)の全身にひびが入る。召喚を維持できない合図だ。


 そのまま鷹見先生に間合いを詰められ、関節を押さえられて拘束される。


「降参です、先生」


 その言葉を聞いて、先生はふぅと息を吐く。


「いやあ、危なかったね。最後は2分の1で負けてたよ。ちゃんと山勘でも対処するのが流石だよねえ」


 ざわざわし始める他の生徒たち。あれ? これあれでしょ。俺、なんかやっちゃいました? ってやつ。いや、それだったら勝たなくちゃ駄目じゃね?

 あれこれ考えながら、元の場所に戻り、他の生徒の見物を決め込むことにした。話しかけて!俺、今すごい人でしょ……?


 そんな俺を見る鷹見先生の目は、まだ本気じゃないでしょ? と言っているように見えた。


「じゃあ次、一之瀬葵~」


 次の生徒が呼ばれても、居心地の悪さは変わらなかった。

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