恐怖の国のシイラ
シイラが目覚めると、そこは恐怖の国でした。どういう訳か、シイラは夜の病院を彷徨っていました。自分がどこから来たのか、自分が何者か、自分がどこへ向かっているのか、何もわかりません。暗い廊下の先には、細長い部屋がありました。
その部屋の左端で、頭を抱えてうずくまっている茶色い人を見つけました。その人に近づく途中で、シイラは自分がナース服を着ていることを知りました。
「患者さんですか? ここで何をしているんですか?」
看護師として、シイラは聞かずにはいられませんでした。シイラが看護師かどうかはわからなかったのに、そのような気がしたのです。
その人は何も言いません。眠っているのかしら、とシイラは思いました。
「病室のベッドで寝ましょう、起きてください」
その人の肩は氷のように冷たく、固くなっていました。シイラは思わず手を引っ込めました。すると、その人は不気味な形の白い鳥に変わってしまいました。
もちろん、その鳥に何を言っても返事は返ってきません。シイラは鳥から離れ、細長い部屋の扉をそっと閉めました。そしてまた、奇妙な見回りを始めました。シイラの足音は響きません。窓にもシイラの姿は映りません。さっきの白い鳥が円を描いて空へ飛んでいくのが、シイラには見えました。