ゆっくりできない入浴
最悪の入浴タイム。
チャーシュー当番の日は、朝3時に家を出る。4時にマスターを起こして、店の鍵を開けてもらい、チャーシューの仕込みを始める。麺茹でバーナーに火を着けるのには、一苦労する。なんせ、昭和の年代物の灯油バーナーだ。眉毛や髪をよく燃やしたものだ。他のバーナーには寸胴に尺2杯のお湯を入れ、煮汁を入れてレベルを見る。足りない分はヒゲタ薄口醤油を足していく。チャカマンで火をつけ、豚正を入れネギ、生姜を入れて沸騰してきたら中火にする。完成時間を紙に書いたら厨房を離れる。入れ替わりにマスターの入浴タイムの始まりだ。冬はまだ未明で真っ暗だ!俺は仕込みを終えて、TOYOTAのBbを前に止めて待機していた。すると、警察が職務質問してきた、こんな時間に何やってるの?と、俺はチャーシュー当番なんですと答えた。警察は不思議な顔をして、何も言わずに立ち去った。ある日の忘年会シーズン、朝まで飲んだサラリーマンが大勝軒の前を通った。昭和のバーナーの麺茹で釜は、ガラス越しに炎がメラメラと見える。こんな未明に炎を見た酔ったサラリーマンは、119番した。しばらくすると、大勝軒の周りにはサイレンに包まれた。全裸のマスターは、焦ったに違いない!マスターは、ありがた迷惑も度が過ぎると後で怒っていた!そのサラリーマンは、俺のBbに近寄ってきて、燃えてましたよね?と言った!俺は、いいえ、チャーシュー煮込んでるだけです!と、少し迷惑そうに言った!
まだまだ面白い大勝軒!辞められない。