巫女になる亜沙美
【静岡県浜松フラワーパーク】
東京に行ったついでに、一緒に帰っている火影の故郷を観光する事にした亜沙美とロミータ
「んぐ、んぐ……んうっ!鰻も餃子も美味しかったけど、コレも美味しいねぇ♪」
「やっぱり【うなぎパイ】は最高ね〜♬」
「気に入ってもらえて良かったです」
「でも、ひつまぶし御膳って高級料理なんだねぇ。5000円札が消えちゃったよぉ…」
「元々高いけど、物価高騰が酷いからね〜」
「そうですね。気軽に贅沢できる時代に、早くなって欲しいですよね」
静岡県と言えばお茶の産地として有名だが、すもらの実家がある浜松市では餃子や鰻も有名である
鰻屋に居た他の客たちからは、ハタチくらいの女性と高校生の女子2人の3人だけで【お高い鰻屋】に彼女たちが居たから、かなり注目を集めていたようだ。それと【うなぎパイ】は夜のお菓子として全国的にも有名だ
メルルを朝方病院に送り、その足で帰宅する事にした3人は、今日はまだ何も食べていなかったこともあり、すもらに勧められたお店で鰻や餃子料理を堪能したのだ
「2人はまだ高校生で若いから沢山食べますね。見ていて気持ち良いくらいですよ」
「配信中に迂闊にそういうこと言うと、年上の人達から嫌われちゃうわよ。火影だってまだ20(ハタチ)でしょ?」
「私も学生の時には今より食べてましたけどね。今はそんなに食べられないですよ(笑)」
火影的には多めの注文をしたつもりだったのに、亜沙美とロミータがペロリと完食したので、デザートはいかが?という訳で【うなぎパイ工場】にも足を運んでいた
2人とも【うなぎパイ】を土産用としても買っていた。ロミータは離れて住む両親の家に直送し、亜沙美は母親が長期滞在してるホテルの部屋を聞き出してソコへ送ったようだ
「ねえ亜沙美。こうやって食べたら、もっと美味しいわよ。食べてみて♬」
「んぅ〜…美味しいねぇ♪」
ロミータはソフトクリームを買ってきて、うなぎパイでソレをすくって亜沙美の口に運んだ。うなぎパイにソフトクリームの甘みが乗っかり、亜沙美は御満悦の表情を浮かべた
(ふーん。ロミー先輩って、ただアミちゃんに悪戯するのだけが好きって訳じゃないんだ)
亜沙美の表情を見て、自分も笑顔になっているロミータを見た火影は、彼女が本気で亜沙美を好きなことを認識した
腹ごしらえが済んだので、すもらはお気に入りの場所である【浜松フラワーパーク】に2人を連れて来た
「ロミー先輩。あんまりアミちゃんにエッチぃ悪戯ばかりしてたら駄目ですからね!」
「そうは言ってもさ〜、亜沙美がすんごく可愛いんだから仕方ないのよ〜❤︎」
火影がロミータの座っている目の前に来ると地面に両手を突き、身体を前面に押し出して顔を近付け「エッチぃ悪戯厳禁!」と釘を指している
「先輩がアミちゃんのこと大好きなのは理解しましたけど、配信中は控えるべきだと思いますよ!」
「あのぉ…ロミータちゃん。少しは遠慮して欲しいんだけどなぁ…」
新年を迎えたことで、人気の無い場所に移動した3人は今後の配信生活に向けて、それぞれの目標なりを話し始めたのだが…あまりにもロミータが亜沙美のことばかり嬉しそうに話すので、すもらは積もりに積もったロミータのセクハラ行為への不満を爆発させていた
「配信中のセンシティブ過ぎる行動で活動休止…いえ、実質上の引退になってしまった配信者なんて大勢居るんですよ。分かってます!?」
「もちろん分かってるわよ。ロミーは亜沙美が本気で嫌がる事は、しないようにしてるつもりよ?」
「(¬_¬)だいぶ嫌って言っても、してくること有るよねぇ?」
ロミータは亜沙美の意見は取り入れている。と主張しているが亜沙美の返事からは、必ずしもそうではないことが伺える
「垢BANされたらどうするんですか!?ウチ(コンサートプリンセス)は、まだまだ人数少ないんですから、脱落者なんて出してられないんですよっ?」
王道派を推進する火影としては、攻め過ぎるロミータのやり方には納得出来ないようだ
「ロミーはね、亜沙美と同居してもう4ヶ月目なの。本心で嫌がってる事と、そうでない事の見極めは出来てるのよ。ソレに、配信者としては4年目に入るから、ドコからがレッド判定なのか?は熟知してるから大丈夫よ」
「……本当ですか〜?私はいつかロミー先輩、もしくはアミちゃんが活動休止になるんじゃないかと、ヒヤヒヤしてるんですけどね」
「亜沙美とコラボした後のアーカイブは必ず見て、イエローが飛んできた時は何処が引っかかったのか?毎回 研究してるから大丈夫よ」
「何かあったら本当に怖いから、遠慮してよねぇ…」
「そう言えば…オリビア先輩からメルル先輩の件での返事、まだ来ませんね…」
「何かあったら」という亜沙美の言葉で、今朝のメルルが倒れた件について、昼を過ぎた時間になっても何の連絡も来ないことに気が付いた火影
「何かあったのかなぁ?」
「よっぽど酷かったのなら、逆に連絡来てると思うわ……まぁ、忙しいのかもね?夜の配信が終わるまで待ってみましょう?」
「そうですね…あ!そろそろ2人とも電車の時間ですよね?」
「あ!本当だ。そろそろ帰ろうかロミータちゃん。今日はありがとうね、すもらちゃん♪」
「いえいえです。またコラボしましょう」
「ありがとね火影。さぁ亜沙美、家に帰ったらラブラブしましょうね〜❤︎」
帰る方向に話が進むと、竹取家で亜沙美とイチャイチャする事で脳内が支配されるロミータだった
【竹取家 20時頃】
東京に約1週間出掛けていた亜沙美とロミータは部屋着のストックが切れていたので、2人とも学校のジャージ姿で過ごしていた
「ロミータちゃんは、東京のオリビア先輩ん家でしたゲームの振り返り配信するんだよねぇ?」
「そうよ。亜沙美は雑談配信だったっけ?」
家に帰る途中、夕食の買い物をして早めに食べてお風呂を済ませた2人は、今夜の配信の段取りを始めていた
「そうなんだけど…ここ数日、先輩たちとオフコラボ続きだったから、ソレに比べたら雑談配信はちょっと弱いかなぁ。って思うんだぁ…」
どうやら先輩たちとのオフコラボに刺激を受けた亜沙美は、今夜の配信に対して悩んでいるようだ
(( ≖ᴗ≖)ニヤッ。ここだわ!)
亜沙美に対してアドバイスしたいと思ったロミータは、何やらよからぬ事を思いついたようだ
「今日は1月3日で、まだまだお正月って感じじゃない?最近ね、巫女になってリスナーの願いや1年の豊富をパソコンで絵馬に書いてTwitterでリスナーにプレゼントするのが、そこそこ流行ってるらしいわよ」
「へぇ〜そうなんだぁ…でも巫女服のアバターなんて持ってないよぉ…」
ロミータからのアドバイスに共感した亜沙美だが、浅宮アミの別衣装に【巫女服】が無いことを思い出した亜沙美
「そんなこともあろうかと、昨日ミネア(イーグル)たちと東京観光していた時に買っておいたのよ」
「えっ!?もらっちゃって良いのぉ?」
旅行バッグの中から紙袋を取り出し亜沙美に手渡したロミータ。中には巫女服が入っているようだ
「亜沙美に似合うと思ってね。そんなに高くない(約3万円)から、遠慮なくもらってね♬」
「ありがとうロミータちゃん♪…でも、コレを着てリアル配信するって事だよねぇ?」
「カメラアングルは調整してあげるわ。はい、座って亜沙美…モニターの横にタブレット置いて、配信中にチラチラ見て顔が映らないように気を付けてね」
「本当にありがとう♪いつもいつもありがとうねぇ、大好きロミータちゃん♪」
ロミータに「大好き」「愛してる」を言われ続けた亜沙美は、自分も彼女に「大好き」と言うのに抵抗や恥ずかしさは既に無いようだ
……………………………………………
「まぁまぁまぁ♬すんごく似合ってるわ亜沙美♬スキスキ、ん〜チュッ❤︎」
「あ、ありがとうロミータちゃん…でも、ちょっと露出高いんじゃないかなぁ…油断してたら色々見えちゃいそうなんだけどォ…」
ロミータの買ってきた巫女服は、コスプレ衣装売り場でも【アダルトコーナー】から選んだ物だったのだ
「だから確認用にタブレット置くんでしょ?亜沙美の綺麗な肌をリスナーに晒すのは、もちろん抵抗があるんだけど…亜沙美にもロミーと同じくらい、人気ブイチューバーになって欲しいの。着てくれるでしょ?」
「…う、うん。そうだね!有り難くこの巫女服で配信させてもらうね!」
パッと見、凄く可愛く見える巫女服ではあるのだが、生地が少ないうえに少し薄めなので着てみると恥ずかしさが込み上げてきた亜沙美
「その意気よ!本当に可愛いわ亜沙美。本当は誰にも見せたくないんだけどね♬」
「えへへ、そうかなぁ?ありがとう♪」
自分と同じくらい人気者になって欲しいと言われたうえに可愛いと言われたら、かなり薄着のコスチュームで恥ずかしくても「頑張らなきゃ!」と思ってしまう亜沙美だった
またしてもロミータのエッチぃ思惑に乗せられてしまった亜沙美
果たして際どい巫女服でのリアル配信を無事に終了させ、更なるチャンネル登録者を確保する事が出来るのだろうか?
続く
最終回まで後6話(の予定)




